海辺のバス停で
目の前に海が見える丘の上のバス停。
ククルとエマは乗り継ぎのバスを待っていた。
エマはバス停付近をうろうろ落ち着かない様子で歩いた。
「まだ来ない!もう随分待ってるのにまだ来ない!」
「今日はお祭りの臨時バスがたくさんでてるから、こっち方面行く人なんて私たち以外いないのかも…それでなくても2時間に1本しかないバスなのに、今日はもう来ないのかも…」
「最強のどど田舎ね!」
「どうせ田舎ですよ…!?あっ、どうしよう!忘れてた!!!」
「どうしたの?」
「アナとマークと待ち合わせしてたんだった!エマとの話に夢中ですっかり忘れてた!」
「えっ!そうだったの!?」
「別れてからもう1時間以上過ぎてる…ヤバい、どうしよう!エマ、何か2人と連絡とる魔法はない?」
「魔法じゃなくても、電話とかないの?」
「そんなもの私が持ってるわけないじゃない」
「じゃあ、メッセージを送るから、私に向かって友達への伝言を言って」
エマは人差し指でクルクルと円を描いた。
ククルの伝言は円の渦の中に包まれ、2人の場所めがけてキラリと空へ飛んでいった。
「すごーい!エマってほんとに何でもできるのね!」
「こんなの小学生でも簡単なことよ」
「魔法ってほんとにすごい、自分にはできないから全てがすごくみえるよ」
「そっそう?あなたも魔法が使えると良かったのに」
エマは照れ臭そうに言った。
「実は小さい頃、私魔法使いになりたかったから、いつか大人になったら自分にも魔法が使えるかもしれないってずっと思ってたんだ。でも大人になるにつれて、自分にはその力がないと分かるとショックだった。だから、せめて魔法使いのお友達が欲しいってずっと思ってたの」
「そうだったの、じゃあ私たちの出会いも偶然じゃないのかもね」
「そうかも!まさかあのお祭りで本物の魔法使いに会えるなんて夢にも思ってなかった」
その時、ブオーーーンとガスを吹かせたオンボロバスがバス停に到着した。
「やっと来た!!ってか、来てくれてよかった」
エマはホッとして胸を撫で下ろした。待ちくたびれた2人はそそくさとバスに飛び乗った。