お祭り広場を抜けて
ククルはエマのMAP通りの場所に辿り着くと、ちょうどマークとアナの2人がいた。
「ククル!」アナが気づいて手を挙げた。
「探したよ、途中気づいたらいなくなってたから」
「ごめーん!!バンド演奏が歩いてる時、人の波に押されて流されちゃった…」
「これから噴水ホールでオーケストラが演奏するみたいだから行こうかちょうど話してたところだったから良かった」マークが言った。
「それが、ごめん!!実はここに来る途中、アムールから来た外人の女の子に道案内を頼まれちゃって、これから行かなきゃいけないの…」
「アムールの女の子!?いったいなんでまたそんなことになったの!?」アナはふしぎそうに言った。
「2人を探してる時、彼女が目の前に突然ぶつかって倒れてきたの。どうやらこのお祭り広場の道に迷ってループしてるから早く抜け出す道を教えて欲しいと頼まれちゃった」
「分かった。じゃあ案内してあげなよ、オーケストラは40分くらいで終わるから、その頃またここで待ち合わせよう」マークが言った。
「うん、ありがとう!」
ククルはエマの待つ噴水へ走っていった。
「お待たせ!」
リュックを下ろして噴水に腰を下ろしていたエマの前にククルが戻ってきた。
「良かった!そのまま逃げられちゃったらどうしようかと思っちゃった笑」
「そんな逃げはしないよ、じゃあまずこのお祭りを抜けましょう」
ククルは細い裏道を迷わず歩き、エマが後に続いた。
「もともとここは敵の侵入を防ぐためにつくられた城郭都市だから、道が迷路のように入り組んで張り巡らされてるの、だから初めて来る人にとってはまるで迷路よね」ククルは細い坂道をスイスイと上がっていく。
「待って!はあはあ、どうりで迷路だと思ったわ。にしてもここはやたら坂が多いわね」
エマは坂道に少し息が上がってきた。
「ちょうどあなた行く場所が町外れの丘の方だから、裏側のルートから出ようとするとどうしても坂が多いの。ところでこの町へは観光できたの?」
「違うわ、観光なんて楽しいもんじゃない、ちょっと知人…っていっても会ったことないんだけど、とある魔法使いに会いにきたの」
「魔法使い!?この町に魔法使いがいるの!?」
ククルは驚いて言った。
「えっ!?何その反応。逆にここには魔法使いは1人もいないの?」エマはククルの反応にクスクス笑った。
「いないわ、ベベリーでは魔法を使える人なんてきいたことない。だからみんな魔法を見たことない人ばかりよ」
「そうなの!?ここはそういう所なの!?魔法を見たことないなんて…私の国では規制があるけど、最近移住してくる魔法使いが多いから、日常で魔法が使われてるよ」
「すごーい!私もアムールに行ってみたい!」
ククルは目を輝かせながら言った。
「ククルさえよければ今度は私が案内するけど!」
「ほんと!絶対行く!実は私、この町からまだ一度も出たことがないの。ましてや国外なんて許してくれるか分からないけど、いつか絶対アムールに行く!」
「えっ!?ここから一度も出たことないの!?旅行もしたことないの!?」
「そう、ないの。私、おばさんと暮らしてるんだけど、14歳になるまでこの町を出てはいけないと言われてるから、全然外の世界を知らないの。うちのおばさんとても厳しい人だから…」
「そうだったの、おばさんは何で町を出ることを禁止するのかしらね」
「それが、はっきりした理由は分からないけど、それが昔から家のルールになってるから…だから14歳になったらいろんな場所に行ってみようと思ってるの。ところで、あなたが会いに行こうとしてる人は本当に魔法使いなの?」
「そうよ、きっとこの町の人には魔法使いであることを知られないようにしてるんだと思う。正直、ここはアクセスしずらいど田舎だし、魔法使いがいないっていってたから、きっと魔法使いがいたとしても気づかれないようにしてるんだと思う」
「ど田舎で悪かったわね!私もその魔法使いさんに会ってみたいな…」
「じゃあ一緒に行く?」
「えっ行っていいの!?」
「ひとり連れてくぐらいきっとダメとは言われないと思う」
「ほんとに!じゃあお言葉に甘えて私も便乗しちゃおうかな」
「私は最後まで道案内してくれる人ができて助かるわ!ところで、ククルは今何歳?」
「今月13歳になったばかり」
「わお!じゃあ私たち同い年ね!」
「ほんとに!ちょっと年上かなって思ってた笑」
「まあ、私は年上に見られること多いから。よろしくね。」
ククルとエマは歩きながらお互いのことや生活の違いを話して盛り上がっていた。そうこうするうちにお祭り広場を抜けて、ローカルバスへ乗り込み、町外れに向かっていた。