天文台
「やあ、諸君来てくれたか、放課後にすまないね。おや?君もきてくれたのか、マーク君。男手が必要だったから助かるよ。ありがとう」
ホッブス先生はオシャレな半月メガネを上にクイっと上げた。
「ところで先生、なんでも明日有名な先生が天文台を見学に来るとかきいたんですけど」
マークが不思議そうにきいた。
「そうそう、わしの古い友人でな、今はトルマニアの名門校で教授をやってるフィリップが生徒を連れてこの天文台にくるんじゃ」
「なんでまたこんな田舎の学校の天文台に!?」
アナは首を傾げた。
「諸君は知らないかもしれんが、今やっておるサンプルリターン計画の落下地点がちょうどヴェヴェリーなんじゃ」
「サンプルリターン計画!?」
ククル、アナ、マークの3人は顔を見合わせた。
「簡単にいうと、サンプルリターンは地球以外の天体や惑星から土や塵の試料を採取して、地球に持ち帰る計画のことで、今回フィリップご一行は探査機が持ち帰ったサンプルが落下してくる様子をここから観測するってわけなんじゃ」
「そういえば、掲示板のお知らせに貼ってあった気がする」アナがつぶやいた。
「そうそう、それじゃよ。君たちもせっかくだからここへ見に来るといい。そういうわけで、結構たくさんの生徒がここへ来る予定だから、この天文台の中も片付けなきゃ人が入れないってわけなんだ。」
「分かりました。そういうことなら協力します」
マークがはりきって言った。
「サンプルリターン計画なんて全然知らなかった。」ククルがつぶやいた。
「ははは、まだ諸君は1年生で入ったばかりだし、物理の授業はやっとらんから興味がないと、なかなか知る機会がなかったかもしれんな。まあ、そういうわけで、天文台の昔の古い機材を科学室に運ぶのを手伝って欲しいんじゃ」