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プロメテウスの福音  作者: 怯間 無男
第1章
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1.西暦2029年

 この世が地獄ではないと錯覚していたのは、いつからだろう?おそらく、生まれたときからだ。一般的には自分が生まれ育った環境を基準にして、あそこは天国のような場所だ、地獄のようだ、と思うものだろう。しかし、実際にはこの世は地獄だった。


 老若男女問わず、悪意をもって人は人を傷つける。理不尽な悪口、暴力、盗み、それは平時でも常に起こっている。

 世界中で毎日。そして、その内に人は戦争を起こす。人はこの世に地獄を作り続ける。それは、人類史をみても明らかである。

 この世の逃れられない地獄を見続けて、心底辟易してしまった。なぜそんなことをするのだろう?その疑問に対して、答えを探し続けた。そして、それを得たように思う。


 その答えは弱さだ。人間がまだ火を持たぬ原始の頃、暗闇で怯えていた猿人だった時から、本質的には変わっていないからではないだろうか。弱く周囲が怖いから、他のものを排除しようと傷付ける。知能が上がったことにより、人類は様々な道具を発明し、大きな力を扱うことが出来るようになった。

 しかし、間接的に力を取り出すことはできても、自分自身に力が備わっていることにはならない。暗闇に囚われた人類を救うには、もっと直接的な力を与えてやらねばならないのだ。


 そして、私達が造り出したこれらの種をばら蒔いてやれば、人は芽吹き、弱さを捨てた真の姿を現すだろう。


 私は役目を果たし、生涯を終える。私が自分自身の命を懸けて造り上げた物が人類への福音となることを祈る。

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