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MAJOR

作者: くらむ


 ひとりで

 とてもおそいボールを投げて

 そのまま

 バッターボックスまで走り

 バットを振った

 そのまま

 キャッチャーになり

 ボールをとり

 そのまま

 審判になり 

「ストライク!」

 と言った

 そのまま

 観戦の席に座り 

 誰もいない球場を眺めていた

 それからまた

 マウンドの上に立った


 ひとりで

 とてもおそいボールを投げて

 そのまま

 バッターボックスまで走り

 バットを振った

 弱い当たりだ

 とても遅いセカンドゴロ

 そのまま

 セカンドになり

 ファーストになった

 審判になり

「アウト!」

 と言った

 そのまま

 観戦の席に座り

 誰もいない球場を眺めていた

  

 ぼくは気づけないだろう

 次の瞬間には

 ぼくすらここからいなくなっているということに 

 それまでぼくは歌う

 

  えがいた夢と

  ここにあるいま

  二つの景色見くら

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