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シャコンヌ BWV1004
これは自分のために弾かれるものだ
静かなところで、隣に誰も無く。
聴かせるものではなく自分で聴くものだ
三拍子のテンポは神と自分と楽器とに沿う。
幾度となく練習し、楽譜を離れ、向かい合う。
テーマは幾度も繰り返され、対話も何度も行われる。再生する絶望と救い。
三百年のあいだ、そうして奏者は弾いてきた。
聴いて感動する者もいるだろう。
でも、この曲はそうじゃないんだ。
ピアノで左手だけで弾いても良い。
この曲を自分で、自分だけで、自分のみのために弾いたことないくせに、音楽をかたるやつを僕は心底軽蔑する。
甘き死よ、来たれ。