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孤独な宴
孤独に苛まれている
端々の言葉に
奏でられない音楽に
胃に残るだけの酒に
人々の間の虚ろに
反応のない発言に
ひとりで弾くピアノに
たんまりとたゆたう瓶に
堅固な社会に
おためごかしの追従に
見るだけのダンスに
誰も手をつけない料理に
過ぎ去ってしまった愛に
返事のこない手紙に
テレビに映るスポーツに
座り心地の悪い椅子に
たそがれた神々に
出てこないセリフに
しまったままの楽器に
酔うためだけの嚥下に
孤独な通勤に
詠まれなくなった漢詩に
訴えのない歌に
ただ通過するカロリーに
二度と会わない友人に
不特定への報告に
死んでしまった演奏家に
耕されない田んぼに
永遠の故郷に
泣かない子どもに
響かない教会に
日々の糧に
僕の大事だったものに
苛まれている
菅原道真公の「飲酒聴琴又詠詩」に捧ぐ。