ノーベンバー3
「ひ、光り!?」
俺がたくさんの狼たちに襲われて無残に食べられると覚悟した時、変な聖剣エクスカリパーが聖なる光を放つ。
「ガオー!?」
狼たちは光が眩し過ぎて俺から離れ一歩二歩と後退していく。
「我に選ばれし者よ。」
再び剣の声が聞こえてきた。聖なる光は騎士の様な姿を現す。
「エクスカリパーなの?」
俺は光を放つ剣に尋ねてみた。
「そうだ。私は聖剣エクスカリパーだ。」
まるでエクスカリパーは生き物のように自分の意志を持って堂々と答える。
「うわあ!? 剣がしゃべった!?」
俺は剣と会話している。前回とは違い、今回はちゃんと剣としゃべっているのだ。
「おまえ、名前は何という?」
エクスカリパーが俺の名前を訪ねてきた。
「アイン。」
俺は自分の名前を剣に答えた。
「アインか。長い旅になりそうだな。よろしく頼んだぞ。」
変な聖剣エクスカリパーが挨拶してきた。
「こちらこそ。それにしても、なぜ上目線?」
俺はエクスカリパーの態度が偉そうに思え不可解だった。
「エッヘン。私はそんじょそこらの剣とは違う。剣が魂を宿した私は伝説の生き物のなのだ。」
変な聖剣エクスカリパー。彼? エクスカリパーは伝説の生き物だった。自分の意志のある剣らしい。
「伝説の生き物!?」
俺は伝説の生き物というものを知らなかった。
「そうだ。伝説の生き物とは、古い言い伝えに残るような素晴らしい生き物なのだ。」
エクスカリパーは自分のことを偉そうに自信満々に答える。
「エクスカリバーは知ってるけど、エクスカリパーは知らない。」
俺は自分が思ったことを素直に言った。
「グサッ!?」
「あ、傷ついた。」
変な聖剣エクスカリパーは俺の知らないの一言にプライドを傷つけられた。
「とにかく私は偉いのだ!」
「立ち直りが早い。」
エクスカリパーは気を取り直して言い放つ。
「アイン! エクスカリパー・スラッシュだ!」
「狼に襲われていたのを忘れてた!?」
俺は伝説の生き物で変な聖剣エクスカリパーとの会話に夢中になり、狼に襲われていたのを忘れていた。
「いくぞ! 狼! 必殺! エクスカリパー・スラッシュ!」
俺は剣を構え、聖なる光の一撃を狼たちに撃ち込む。
「ガオー!?」
全ての狼たちは光の中に消えていった。
「やった! 勝ったぞ! エクスカリパー!」
俺は剣に話しかけた。
「・・・・・・。」
しかし光らなくなった変な聖剣エクスカリパーは返事をしなかった。
「あれ? お~い! エクスカリパー? 無視か? 黙っても偉そうな奴だな。」
俺はエクスカリパーに敬意を込めて、変な剣、変剣エクスカリパーと呼ぶことにした。
つづく。