ジュライ6
ここは魔界に続くジュライ道。
「エクスカリパー! チャージだ! チャージ!」
「おお! 安心しろ! もうやっている!」
エクスカリパーもウァズワースの登場に戦慄を覚え、聖なる光を集約を始めていた。
「アイン? あの人って、強いの?」
「強いなんてもんじゃない!? その気になれば山1つ焼き払うだけの炎を使う奴だ!? 」
そう、ウァズワースの実力は、そこら辺の魔物よりも数段上のレベルだった。
「ウァズワース!? どうしておまえがここに!?」
アインは宿敵ウァズワースの出現に戦闘態勢に入る。
「今はおまえと戦う気はない。」
「なに?」
「その子をこっちに渡してもらおうか?」
ウァズワースの狙いはパイアだった。
「パイア!?」
アインはウァズワースがパイアを渡せと言い出したので理解できなかった。
「おまえも逃げてきたパイアを捕らえにきた魔物と一緒か!? なら、パイアを渡す訳にはいかない!?」
「よく言った! アイン! それでこそ騎士道精神だ!」
アインは命を懸けてでもパイアを守ろう誓った。
「パイア! こっちへおいで! 兄さんと一緒に帰ろう!」
その時、じっと静かに我慢していたヒュドラが話し始めた。
「兄さん!?」
アインは驚いてパイアを見る。
「パイア、ヒュドラは君のお兄さんなの?」
「・・・はい。そうなんです。」
パイアもヒュドラが自分の兄だと認めた。
「うおおお!? そ、そうなんだ。狼の口を切り裂けたのも納得できた。」
思わずアインは声をあげて驚いた。
「ん? んん!? ということは!? ヒュドラがお兄さんということは、まさか!?」
「はい。お父さんはテュポーンで、お母さんはエキドナです。兄弟はキマイラ姉さん、ケロベロス兄さん、オルトロス兄さん、ラドン兄さん、ヒュドラ兄さんです。」
「な、な、なんと!?」
「パイアは、由緒正しき魔族のテュポーン家のお嬢様だったのか!?」
アインだけでなく、エクスカリパーもパイアの家族に驚いた。
「さあ、パイア。父さんも母さんも、兄弟のみんなもおまえに会いたがっている。兄さんと一緒にみんなの元に帰ろう。」
ヒュドラ兄さんは妹のパイアに呼びかける。
「嫌! 私は帰らない!」
しかし、パイアはヒュドラと一緒に家族の元に帰らないという。
「どうした!? パイア!? まさか!? 人間にでも洗脳されたのか!?」
「人聞き悪いことを言うな!」
「そうだ! 騎士は拷問や脅迫はしない! 騎士とは、常に正々堂々、正面からぶつかり合うもの! それが騎士道精神だ!」
エクスカリパーは騎士道精神を説く。
「感動の再会劇はもういいかな? 待ちくたびれたぜ。逃げた娘は俺たちがもらう。」
その時、魔物の群れが現れた。狙いはパイアである。
つづく。




