ジュン4
ここはマンス王国の城下町の検問所。
俺は師匠と再会し、王国の騎士というサンダーバードとシーサーペントと戦うことになったのだが、騎士社会では階級がものをいうらしい。
「師匠って、すごい人だったんですね?」
俺は自分の師匠が偉い人だと知って嬉しくて興奮する。
「そうでもない。私は秘密部隊だから影の存在だよ。」
師匠は謙遜して控えめに答える。
「お話中に申し訳ありませんが、もうすぐ、ここを大司祭様が通られます。ですから検問所での騒ぎは辞めていただきたいのです。いくらムーンの方でも、大司祭様の通行の邪魔をされると、逆心有りとみなされます。」
「分かった。」
大司祭という者が門を通るので、検問に並んでいた人々も左右に退いて、大司祭が通れる道を作った。
「来たぞ。」
「うわあ!? 大きな馬車!?」
恐らく大司祭を乗せた大きな馬車がやってきた。
「んん!? あれは!?」
アインの目の前を通過していく馬車には大司祭と女が乗っていた。
「イリーナ!?」
思わず声を出して目を疑ったアイン。
「師匠!? イリーナですよ!?」
「どうした? アイン? 何をそんなに興奮しているんだ?」
俺とイリーナの事情を知らない師匠は俺の取り乱し方に戸惑った。
「イリーナなんですよ!? イリーナはさらわれたんだ!?」
「なんだって!?」
師匠は初めてイリーナがさらわれたことを聞き驚く。
「起きろ! エクスカリパー! あの馬車を破壊するぞ!」
アインがエクスカリパーを鞘から抜き出そうと剣に手をかける。
「ダメだ! アイン! 今は抑えろ!」
俺の手を師匠が掴み止める。
「なぜです師匠!? イリーナを助けないと!?」
「あれを見ろ!」
「え?」
師匠が指先先には騎士のサンダーバードとシーサーペントが、こちらを厳しい視線で見つめていた。
「今、ここで騒ぎを起こせば、私でもおまえを助けることが出来なくなる。今は耐えるんだ! 我慢しろ!」
「グググググッ!?」
俺は師匠に自制を求められ剣を抜くのをとどまった。
「イリーナ!」
馬車は止まることなく城下町に入っていった。俺の声、俺の伸ばした手はイリーナに届くことはなかった。
ここは城下町ジュンの酒場。
アインたちは検問所を超えて門から城下町に入ることが出来た。そこでアインは、これまでの出来事を師匠と二人の騎士に話すのだった。
「ワッハッハー!」
師匠は俺の話を聞いて声をあげて馬鹿笑いした。
「そんなに笑わなくてもいいでしょ。」
俺は少し恥ずかしくて照れた。
「すまん、すまん。貧乏だった、おまえが城主!? ワッハッハー!」
「師匠!?」
まだ笑いが収まらない師匠を俺は怒る。
「偉く出世したものだ。結婚式の当日に花嫁のイリーナをさらわれるのがおまえらしい。」
「どう、俺らしいんですか?」
愉快に話す師匠とは逆に、俺は不機嫌。
「だが、おまえの話が本当だとすると、あの大司祭はイリーナをさらった悪の大神官コンドールというのが化けた姿ということになる。」
「そんなことがあるのか!? 大司祭様には竜王と呼ばれる最強の騎士が護衛についていたはずだが!?」
「ドラゴンキングなら俺が倒しました。巨大な竜の化け物でしたが。」
「なんと!? 護衛の騎士まで倒したというのか!? 信じられん!?」
アインのこれまでの歩みに師匠だけでなく、サンダーバードとシーサーペントも取り乱す。
「何はともあれ、イリーナを助け出すことが先決だ。」
「我々も大司祭様の周辺を探ってみましょう。」
「これも乗り掛かった舟だ。やってみるさ。」
「ありがとうございます。サンダーバードさん、シーサーペントさん。」
「イリーナを助け出すぞ!」
「おお!」
アインたちはイリーナを助け出すために、大司祭の周辺を探ることにする。
つづく。




