ディセンバー5
ここはオクトーバー村の人々が過ごすノーベンバー町。
「今日も町長をがんばるわよ!」
気がつけば村長から町長に格上げになったイリーナの町長としての一日が今日も始まる。
「まず、お墓参り!」
イリーナは亡くなったノーベンバー村の人々のお墓に手を合わせてご冥福をお祈り申し上げる。
「次に町長としての町の巡回!」
小さな村とは違い移動距離は3倍から4倍はある。
「村人の近隣トラブルの話合い!」
誰がどの家に住むとか、どこからどこまでが自分の家だとか、本当にうるさい。
「お店の価格チェック!」
人々が高値で安い商品を買わされないように注意する。
「さすがイリーナ! 村長の娘だ!」
町の人々もイリーナの町長ぶりに感心する。
「ありがとうございます。これからも町長をがんばります。」
イリーナも人々の声援に満更でもない様子に見えた。
イリーナは一日の仕事を終えて、自分の家に帰宅しようと歩いていた。
「アインがいないと順調に進む!」
いつものイリーナは、アインへの恋心で長としての仕事がどこか抜けてしまう。
「アインがいない・・・。」
子供の頃から、いつも一緒にいたアインがいないことをイリーナは寂しく思う。
「寂しい。」
一人になったイリーナは何とも言えない寂しさに襲われる。
「ワン。」
その時だった。道端に1匹の野良子狼がいた。
「おまえも一人なの? 私と一緒ね。」
「ワンワン。」
イリーナはひょんなところで子狼と共鳴した。
「かわいい子犬ね。」
この時、イリーナの子狼に対する認識は子犬だった。
「おいでおいで。」
「ワン。」
子狼は駆けていき、イリーナの胸に飛び込んだ。
「キャ。くすぐったい。今日から私があなたのご主人様よ。」
「ワン。」
イリーナはペットとして子狼を飼うことにした。
「名前は何にしようかしら? お腹が空いてるから、シーチキンという名前にしよう。よろしくね。シーチキン。」
このような理由で愛犬ならぬ愛狼の名前はシーチキンに決まった。
「ワンワン。」
シーチキンもお腹が空いているのか、自分の名前を気に入っていた。
「さあ、お家に帰ってご飯にしましょう。」
「ワン。」
イリーナはアインのいない寂しさから子狼と一緒に暮らすことにした。
「どうした?」
オーガスはノーベンバー町から出て、ノーベンバーの森に来ている。
「ウァズワース様、大変です!? ノーベンバー町の周りに蛇が集まってきています!?」
ウァズワースの部下のゴブリンのクポクポは、既にノーベンバー町はたくさんの蛇の囲まれていると。
「何事も起こらなければいいのだが。」
オーガスはゴブリンたちに村の周囲の警戒を厳しくするように言うのだった。
つづく。




