ディセンバー1
俺たちオクトーバー村の人々がノーベンバー村に移り住んだ。お墓の次に村の周囲に木製の壁を作った。ゴブリンやウルフ、スライムと戦った経験から村の守りを固める必要があったからだ。
「私がディセンバー城に行って、護衛の援軍を呼んで来るわ。」
ケイティはノーベンバー町のオクトーバー村の人々を守るために、ディセンバー城に戻ると言う。
「なら、俺もついて行く。」
俺の狙いはただ一つ。
「仕方がない。今回だけ特別よ。」
ケイティも渋々だが了承した。
「町の人々のことは私に任せろ。」
師匠はいつでも頼もしい。
「イリーナ、行って来るね。」
俺はイリーナに出発の挨拶をする。
「アイン、がんばって。」
イリーナも俺に声をかけてくれる。
「すごいーッ!? すごい!」
俺は空を飛んでいる。しかも竜の背中に乗っているのだ。興奮してはしゃがない方がおかしい。
「うるさい!? あんまり大声を出さないで!? これだから素人を乗せたくないのよね。」
竜騎士のケイティがうるさく注意してくる。竜のサブリナを心配しての気遣いだろう。
「仕方がないだろう!? 俺は人生で初めて空を飛んでいるんだから!?」
俺はあくまでも自分の正統性を主張した。
「あっそう。サブリナ、背面飛行。」
イラっとしたケイティは竜のサブリナに半回転して、俺を振り落とすように命令する。
「ギャオ。」
サブリナもケイティの命令を了承して、体を回転させていく。
「うわあ!? 落ちる!?」
俺はバランスを崩し、4分の1ぐらい傾いた竜の背中から落ちそうになる。
「ギャオ!」
その時、サブリナが大声で鳴いた。何かを感じたようだ。途中で背面飛行をやめて、正常な飛行に戻った。
「ホッ!? 死ぬかと思った。」
俺は九死に一生を得て、ホッとした。
「どうしたの?」
ふとケイティを見ると真顔で戦闘態勢に入っている。
「何かが来る!?」
竜騎士のケイティもサブリナの鳴き声の言葉が理解できるのか、嫌な緊張をしていた。
「見えた! あ、あれは何!?」
ケイティは目視で空を飛ぶ竜を見つけ怯えた。
「3つ首の竜!? しかも何ていう大きさだ!?」
俺にも見えた。こちらに向かってくる竜は首が3つあり、近づいてくるにつれ、翼を広げるとまるで空を覆いつくすような迫力があった。尻尾が蛇だったことに気づかなかった。
「ギャオ!」
竜のサブリナが危機を知らせるように大きく鳴いた。
「アイン、しっかり掴まっていなさい! あいつは私が仕留める!」
ケイティは竜騎士の名にかけて、3つ首竜を仕留めるつもりだった。
つづく。




