ノーベンバー5
「炎!?」
その時だった。空から炎が降り注ぎ、俺に投げられたスライムを焼き尽くした。
「ギャア!?」
さらに炎はキニールを焼き尽くした。隊長がいなくなったスライムたちは逃げ出す。
「なんだ!?」
師匠と俺は炎の飛んできた上空を見上げた。
「竜!? 竜だ!?」
空には大きな翼を羽ばたかせて飛んでいる竜がいた。
「師匠! 竜の背中を見て下さい! 人が居ます!?」
俺は竜の背中に人が乗っていることに気がついた。
「ドラグーンか!?」
ドラグーンとは、竜騎兵や竜騎士、ドラゴンナイト、ドラグナーと呼ばれる竜に関する職業であった。
「降りてきます!?」
ドラグーンは竜に命令して地面にゆっくりと降りてきて着陸した。
「大丈夫ですか?」
ドラグーンは竜の背から地面に降り立った。ドラグーンは竜騎士といった装いで鎧を身につけていた。
「お、女!?」
なんと竜から現れたのは女の騎士であった。
「女がドラゴンに乗っていては悪いのか?」
ドラグーンの女は俺の大袈裟な驚き方に少し不機嫌そうだった。
「すまない。小僧はドラゴンを見るのが初めてで腰を抜かしているんだ。」
不甲斐ない俺の様子を見て、師匠が助け舟を出す。
「あなたは?」
ドラグーンの女は、話の分かりそうな人間だと師匠に尋ねる。
「私はマンス王国の秘密部隊ムーンに所属しているオーガスというものだ。」
なんと師匠は、マンス王国の人間だった。
「ええ!? 師匠は王国の人だったんですか!?」
俺は突然の師匠のカミングアウトに驚いた。
「驚かせたくなくて黙っていた。すまんな。」
師匠は俺に嘘をついていたことを謝ってくれた。
「そちらの所属を聞こう。」
師匠はドラグーンの女に身分を尋ねる。
「私はディセンバー城の竜騎士ケイティです。」
ドラグーンの女は、ディセンバー城の竜騎士ケイティだった。
「巡回警備をしていたら、ノーベンバー町の様子が変だったので来てみたら、あなた方がいたということです。」
ケイティは自分の経緯を話す。
「実は、オクトーバー村がゴブリンの襲撃を受け壊滅、生き残った村人たちはノーベンバー町を頼りにやって来たのだが、一足遅かったようだ。ノーベンバー町の人々はスライムに皆殺しにされたようだ。」
師匠がケイティに俺たちの経緯を語る。
「そうですか。残念ですね。」
ケイティはノーベンバー町の人々のことを悲しむ。
「アイン。オクトーバー村の人々を呼んで来い。町は破壊されてはいない。野宿よりはいいだろう。」
師匠は俺にイリーナたちを呼びに行けと言う。
「分かりました。行ってきます。」
俺は喜んでイリーナとオクトーバー村の人々に会いに行った。
「オーガスさん。魔王が現れたというのは本当でしょうか?」
ケイティは疑問をオーガスに尋ねる。
「分からない。私もそれを調べているんだ。」
オーガスは自分も魔王について調べているとケイティに答える。
つづく。




