幼馴染み~馴染みの距離~
あれから、一週間、今日は日曜日。学校もなく、バイトは休んでいる。何か、何もやる気が起きない。
一人暮らしのアパートで、ため息をついて過ごしていると、チャイムがなった。
そこには、幼馴染みのノブ君。時々、皆で会って飲んだりするけれど、家に来るのは何年ぶりだろうか?小学生の時以来ぐらいかな?
「なんか、2人で合うの久しぶりだね。」
って、作り笑顔を作る私。そんな私にノブ君。いやノブの第一声は
「お前、太った?」
だった。私は、ノブの脛を蹴り飛ばした。
「うぉ。いってぇ。何すんだよ。」
脛を蹴られたノブは、両手で脛を押さえながら、涙目で言います。
「あんたこそ、デリカシーなさ過ぎ。女の子に太ったって、何よ。」
「キレるってことは認めるんだな?」
「太ってないわよ。胸が少し大きくなっただけだっての!」
「上げて寄せて、やっとBカップぐらいで、よくそんな嘘言えんな。」
「うぅ。ってなんであんた人のバストサイズ知ってんのよ!」
「おっ。まさかの図星だった。やっぱ俺見る目あるわぁ。ぐふっ。」
私は、変態の股間を膝蹴りすると、ノブは股間を両手で抑えて、ぴょんぴょん跳ねながら、悶絶する。
「お、おまっ、おれ……の…む……こを。」
「ウフフ。」
私は、そんな変態の姿を見て、吹き出した。
「死ぬかと思った。」
ノブはそんなことを言いながら、立ち上がります。
「で、何か用があったんじゃないの?」
「いや、あったんだけど。お前に蹴られて忘れた。」
「何よ?玉蹴ったぐらいで忘れるって、あんたの脳みそは玉か?」
「お前なぁ、年頃の娘が異性に向かってたまたま言うなよ。はしたない。」
「私は、あんた以外に言わないわよ。」
「お、おう。そうか。」
私が、ノブを見ると変態顔がさらににやけて気持ち悪くなっていた。
「なによ。ニヤニヤして気持ち悪い。」
「いや、なんかお前、さっきよりいいなと思ってさ。」
「いいなって?」
「さっきは、なんか作り笑いっぽかった。」
バレてた?って、もしかして失恋のこと知ってる?私は、咄嗟に言葉を取り繕います。
「そんなことないわよ。ってか、ホント何しに来たのよ。冷やかしなら帰ってよね。」
「おう。じゃあ帰るわ。」
「へ?」
「いや、だから帰る。それとも、俺がいないと寂しい?」
「そんなことあるかー。はいはい、はよ帰れ帰れ、しっし。」
ノブの後ろ姿をアパートに2階の廊下から見送る。なんか、変態に見透かされるのは悔しいような、嬉しいような。いや悔しいに決まってる。だから、悲しんでなんていられない。変態につけ込まれないように、今度こそ幸せを掴んでみせるんだから。