幼馴染み-別れ-
「ゴメン。もう無理。別れよう。」
「えっ!なんで?」
「なんて言うか、別の子が好きになった。」
「そう。」
「本当にごめん。でも、ユウお前とはこれからも、友達として……」
「はっ?何それ、振ったその場で友達って、可哀想とか思ったの?馬鹿にしないでよね!」
「ごめん。そんなつもりじゃなくて……」
「あ~あ。もう良いわよ。こうしましょう。私があなたを振れば、あなたも私を気にする必要なんてないでしょう」
「いや……」
「なに?まだ何かあるの。話はもう終わりでしょう。じゃあ、さようなら。新しい彼女と仲良くね。」
私は、自分の分のコーヒー代金を、テーブルに置いて立ち上がり、お店を後にしました。
私、木ノ元優佳は今日振られました。高校から2年間、卒業してからは3年続いた遠距離恋愛。今日は久々に会えて嬉しくて、来年は私もそっちに……っていうつもりだったんだけど。
私の側にいた、以前と違う彼の雰囲気に、私は何となく嫌な予感がした。そして、失恋しちゃいました。
お店を出てから、止め処なく出る涙に彼との甘酸っぱい想い出が溢れてきます。
彼から告白された日のこと。
一緒に通学した日々。
2人で行った夏祭り。
デート。
そして、はじめて一緒になった日。
卒業式のあとでボタンを貰ったこと。
卒業してからも、バイトでお金を貯めて、彼のところに遊びにいったこと。
何で、友達のままでって言われたときに、突っぱねたんだろう。
私は、彼が好きでした。いいえ、今でも好きです。本当は、言いたかったんだ。
あなたが嫌いになっても、私は好きですって。でも、言えなかった。
きっと、ここでそれを言ったら、私はきっと取り返しの付かないほど嫌な女になっちゃうから。