若人の告白~としの青春~
「だから、俺、本当は男だから、お前と付き合うつもりはサラサラない。」
立花清子、きよは、俺の告白に少し困った顔で言った。
「それでも……、まさかお前、実は逸物があるのか?」
「はっ?イチも?」
きよは首を傾げる。
「アレだよ。ちん……」
「ちっ、ちょとまて、なっ、何言ってんだ。そ、そっ、そんなもん、あ、あるわけないだろ……。」
たどたどしく、動揺する顔がまた可愛い。
この動揺っぷりを見てどこが男なのか?世の老若男女に今のきよの姿を見せたら、100人中100人全員、初心な女子だと思うだろう。
「すまん。今のはお前が男だって言うから、本当に男子なのかなと思って、その、な、ってなに、おい泣くなよ。本当すまん俺が悪かったからな。」
*****
この高校に入学して、間もなく1年、俺はこいつのことばかり見ていた。最初は、がさつな女子に見えた。
僕っ娘、いや俺っ娘だし、スカートの裾を気にしないし、俺達男子の女子人気ランキングに勝手に入ってきて、どの子が可愛いとか、
俺のタイプはこいつとか言ってくるし、そういう方向の奴なのかなと俺も他の男子も思っていた。
だけど、男子高校生の刺激的なエロ話に割って入るこいつの顔を見たとき、無理しているのではないかと思った。
周りは気が付いていなかった。俺はあの時のあいつの目を覚えている。少し沈んだ哀しげな顔。いつしか、俺はきよのことばかり考えていた。
そして、夏休み前のこと。俺は意を決して聞いた。
「お前、誰か付き合ってる男子とかいる?」
「はあ?何言ってんのお前、そんな奴いる訳ないじゃん。そもそも、俺、本当は男だし。だから、女にしか興味ないし……」
って言うんだ。告白とか、そういう話は飛んじまった。
どうもこいつの家系は、15歳~20歳まで性別が逆転するらしい。
その間に結ばれると、その性に固定されるとか?何か嘘くさい話をされ最後に、
「まあ、冗談だけどな。」
といわれて、少し寂しそうに笑っていた。あの時の哀しげな、辛そうな顔と今の顔がダブった。
*****
「な、こっこれは違う。泣いてる訳じゃなくて、ちょっと逆まつげが……きゃっ」
やっちまった。
俺は、いつのまにかきよを胸に抱き寄せて、右手で頭を撫でていた。
やっぱ、俺お前のこと好きだわ。でも、これで完全に嫌われた。いや、逮捕か?サヨナラ俺の初恋、そして普通の高校生活。
でも、今だけは。