第四話 reason〈前編〉
「お母さん どこ行くの?」
緑色に生い茂る山のふもとにポツリとある木造の小屋。
年は七つくらいだろうか。銀髪の少年は外に出ようとする〝お母さん〟と呼ぶ女性を呼び止めた。
「・・・・・」
女性は振り向き、少年の視線と同じところまでしゃがむ。手を出し少年の頭を撫でる。
少年と同じ銀髪を長く伸ばした彼女の髪は、手入れが細かくされているのをうかがえる。
服は、二人とも簡素な布で丁寧に編まれた服だ。
「帰ってくるよね?」
少年は潤う目で女性に問う。いや、祈っているのだろう。
「ええ・・・きっと・・・」
女性はゆったりとした口調で、少年に答える。
うつろな笑顔が嘘であると気付かれないようにと、ささやくように。
「本当?・・・・・本当に?・・・」
少年はこらえきれなかった涙を一筋頬を伝って流れた。
頭を撫で終わり、離れろようとした女性の手を強く握る。
「ええ・・・きっと・・・」
変わらない返事が返ってきた。
「その代わり・・・」
女性は、握っていた少年の手を放し、ポケットから白いクリスタルが埋め込まれたペンダントを取り出す。
「私が帰ってくるまで、持っててね」
少年は涙をぬぐって静かにうなずいて、ペンダントを受け取る。
「じゃあね・・・いってきます」
「・・・・・いってらっしゃい・・・」
・・・いかないでよ・・・
少年はぎこちない笑顔で答えた。
・・・扉が閉じた。
・・・少年はその場に膝をつく。
ああぁ・・・
結局、止められなかった
うあぁぁぁ・・・
なにがいってらしゃいだ・・・っ!
ああああああぁぁぁぁ・・・
ふざけるなっ・・・ふざけるなっ・・・ふざ・け・・るなっ!!
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ため込んだすべてをあふれさせた。
後悔 嘆き 激怒 ・・・なにもかも。
嗚咽混じりの声は止まること知らず
蒼く澄み渡った空に響き渡る。
小石とごみが散らばる”住宅街”の道。
彼・・・ディザイアは一人歩く。
「今日は何について調べようか・・・うーん・・・」
今日の目的地はダンジョンではなく、”繁華街”の一角にある、
大図書館と呼ばれる場所。
ただの歴史やエッセイの本だけでなく、武器などの解説書などが置かれている。
さらに、この大図書館の目玉は”魔導書”の貸し出しだ。
魔導書とは、魔法を使用するための契約時に使用する、
アイテムといったようなものだ。
ただ、貸し出しにおいて大量のお金が必要になる。
Cランク・・・子供でも扱える程度だったら、一日の食費程度で借りられるものの、Sランク・・・一撃で村一つを破壊しかねない魔法になればCランクの一千倍以上の値段がついてもおかしくない。
いつの間にか道はボロボロな道から、石畳の道へと変わっていた。ランプの街灯も立っている。
道沿いに建てられている家々もレンガなどできれいに建てられて、空気も澄んでいる
二~三階程度の高さしかない街の中にひときわ大きい建物が姿を現す。
神殿のような造りをし、純白の石によって建てられた、この建造物こそ大図書館である。
中心にある焦げ茶色の木のドアをゆっくりと開ける。
真ん中の柱へと道が続き、その周りには本棚がずらっと並んでいる。
柱の真ん中周辺は吹き抜けになっていて、おおっと、感嘆の声もこぼれずにはいられない。
入口のすぐ横にある螺旋階段を上る。コツコツと登る音が階段に響く。
三階、魔導書置き場。階段を登りきるや、他の階とは違う空気に一瞬たじろぐ。
冷や汗で湿る手を握りしめ本棚と本棚の間を歩く。
最後にここに来たのはいつだったか・・・
ここ最近はダンジョンに潜っては家に帰って寝るということしかしてない。
いつからそうなったのかも覚えていない。
「あった・・」
探し始めておよそ十分。無数にある本棚の中の一つ、目的の魔導書を見つけた。
攻撃呪文 ランクB クリスタル アローズ
氷でできた複数の矢を一斉に放つ呪文である。
スピードも並々にあり、飛距離も十五メートルぐらいあり、使いやすさ抜群だ。
本棚からすっと取り出す。
表紙には魔法陣が描かれている。
とても禍禍しく感じる。
聞いた話によると、魔導書から溢れ出る魔力が精神に何らかの支障を及ぼしているのが原因らしい。
四つ奥の本棚を見つめる。
あの本棚にはランクA以上の魔導書が置いてある。
まるで見えない壁があるのかと、錯覚してしまいそうな威圧感を感じる。
それ程の魔力が込められているのだろう。
ただただ恐ろしいばかりだった。
一階の真ん中にあるカウンターにいる図書館の管理人にお金を払い、借りる手続きを終えた。
… たぶん始まりはここからだったかな?
俺の生活は狂い始めたのは。
まだ話すことではないけどね…
帰り道。繁華街の大通りから裏路地に入ったところに大きな人影があった。
ワインのビンなどが入っていただろう木箱に座り寝ているのだろうか
180はあるだろう背丈の頭が船を漕いでいる。顔付きは青年…俺に近い感じだ。
その横の地面にはボロボロの布が敷かれその上には輝く剣や盾、鎧が置かれていた。それぞれに3〜4桁の数字が書かれた紙が置かれている。おそらく値札だろう。
俺はつい立ち止まってしまった。
「ん?…おお!?お客さんか!いらっしゃい!」
紅に染められた髪に、燃える火のような橙色の目をしたその人は嬉しそうな顔をしてこちらを見た。
「すみません。今日お金使い果たしちゃって…」
「いえいえ結構ですよ…それより…」
長身の男性はまじまじと俺をみつめてきた。
「………あのー…」
なんなのこのひと?!っと叫びたい衝動を抑えて恐る恐る声を掛ける。
「あ、すみません!…しかしあなたはいい目をしておられる…もし良かったら私にあなたのオーダーメイドウェポンを作らせてはくれませんか?」
「えっ…オーダーメイドウェポンですか?!」
使う人に合う武器を鍛冶師が命を込めて作り上げる世界に一つだけの武器。
オーダーメイドウェポン。
鍛冶師自身の精神力を削るためと、もう一つ理由があるため、余程のことがないとやってくれないのだが…
「そんな…大丈夫ですよ…第一お金が無いですし…」
「ああと…じゃあ逆に聞きますがオーダーメイドウェポン…欲しいですか?!」
「それは…欲しいですけど…」
「そしたら、お代は…制作費の方はけっこうです。素材採取と、その時に私をつれて行っていただければ」
これがオーダーメイドウェポンを作ってくれないもう一つの理由戦い方を見極めるため一緒にダンジョンに行かなくてはならないのだ。命を賭してまで作らなければならないのだからそれは簡単に許諾されるわけが無い。…のだが
「そんなの無料とかわらないじゃないですかそんなのあなたが損じゃないですか」
「いえいえ私は得しますよ」
「えっ…?」
「あなたの武器を作ることで私は新たな経験を積むことができますから…もっと強い武器を作ってみたいんです」
それは彼の確固たる決意だった。
あえて彼風に言うなら…
「いい目をしておられますね」
「え…あっ…あはは、そうですか?」
「ええ。きっと世界一の鍛冶師になれますよ」
「そんな大層な…」
「それでは…オーダーメイドウェポンお願いします」
「承りました。申し遅れました。名をトルクと言います。よろしくお願いします」
「あ、俺の名前はディザイアオルティディナと言います。よろしくお願いしますトルクさん」
ガシッと握手をする
「オルティディナ…」
「?」
「いえなんでもないですよ」
「それでは明日にですね…」
〈後編〉に続く
皆さんお久しぶりですgrfで…ちょ!?待って?!
わかったわかったわかった。もうわかった。だからもうわかったって。もういいからもうわかったから。お前の言いたい事も言ってる事もわかったから。
だからさ、その勝利約束されてそうな剣降ろそう?そこの黒い二刀流の人も落ち着こう?
え、もう一人いる?まるで将棋だな
っと茶番はここまでにして
ほんっっっっとうにごめんなさい!
延期につぐ延期に挙げ句ゲームにハマるとかもうどう謝ればいいのか…ごめんなさい
なんでもします(ん?今なんでもするって…
それでは後編の告知をして終わりたいと思います
トルクと共に向かったダンジョン。階層は未曾有の15階層!
そしてやつは再び姿を現す…<逃げるなよ>
reasen〈後編〉ゴールデンウィーク前には出せるといいな(´・ω・`)






