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 はあぁぁ。私は何をやってるんだ。ただでさえ弱いのにHPが無い状態で戦闘に入れば、ああなることは容易に予想できたはずなのに。

 目先の利益というか損失補填に目が奪われてしまった。反省だ。

とぼとぼと歩いているとプレイヤーにぶつかってしまった。


「おい。どこみて歩いてんだ気をつけろジジイ」

 どこからどう見ても少年漫画の主人公のような好青年が、顔に一致しないようなセリフを吐いてくる。


「あれジジイってどうやって選択できるの?そんなアバター用意されてなかったよな、NPCじゃないのそれ」

 さっきの好青年とは異なる、戦隊ものでいったらブルー、ちょっと影があるような、リーダーの座を狙っているような顔[どんな顔だ]の青年が、先ほどの好青年に話しかけてる。


「いやアイコンは緑だからプレイヤーだろ。・・・確か実年齢に合わせたアバターって選べたよな。

コイツリアルにジジイなんじゃね。だったら鈍臭いのも分かるわ。

てかさなんでジジイがVRゲームしてんの?気持ち悪いんだけど」


「うわーキモーイ。ちょうありえなくなくなくなくなくなーい。あーい」

 どう見ても聖女って感じの女性が残念なセリフを吐いる。


「しかしなんで街の中でぶつかれるの?」

ブルーっぽい青年が言った。そしてブルーが聖女にぶつかろうとしているが全然ぶつかれない。


「本当に申し訳ない。まだゲームに慣れていなくて操作もおぼつかないんです。あまりの下手さ加減にショックでぼーっとしながら歩いていたらぶつかってしまいました」

と素直に謝罪と状況の説明をすることにしました。


「え?兎とか犬相手に負けてるの?プププ、ブハハアハ、アハハハ、ヒー、笑い死ぬ勘弁して」

 と好青年が愉快そうに笑っている。当然私は不機嫌になる。


「おいおい。あんまり笑うなよ。すまないね。ちなみにどれくらい死んだのですが?」

 とブルーが尋ねる。


「兎相手に七戦三勝四負ですね」

 と正直に答える。


「グハハハハ、ッッッッッッッッッヒー、息が息ができない。殺されちゃう。ブブブブー」


「ちょうあえりえないんですけどどおおお。ブギャー」


「フフフ。あっすみません。流石にそれはちょっとありえないほどの下手さですよ」


 相当馬鹿にされていることは分かったが、下手なのは仕方が無い。

街の入口で騒いでいるとハンスが寄ってきた。


「どうしました何か問題ですか?」

「面白かったから許してやるよ。プププ。そうそう攻略サイトとか既に作られはじめてるから、そういうところでちょっと勉強した方がいいんじゃないの?

 でもゲームシステム超えてぶつかれるほどの下手さ加減なんだから向いてないし、ジジイじゃサイトも探せないかな。ブヒヒ」

 何か色々と喋りながら、先ほどの集団が遠ざかっていく。


「いやちょっと私がぶつかってしまってね。でももう大丈夫です」

 とハンスに伝える。

 ハンスは自分の持ち場に戻っていった。ハンスはNPCなのにやさしいよな。ありがとう。



 攻略サイトを探すくらいは全然出来るが、ゲームってそういうもんじゃないと思うんだけどなぁ。昔RPGで攻略サイトを見ながらやった事があるんだけど、もう単なる作業になってた。

 謎を解く事もせず、将来必要なアイテムをクエストが始まるまえに手前の街で買っておくとか、ゲームが終わった後の達成感などは無く、ゲームが用意したシナリオを見てただけだった。

 もう少しだけ頑張ってダメなようなら、少しくらい攻略情報を見ることにしよう。別に修行しにてきている訳でもないし、ゲームは楽しくないとな。


 気を取り直して、再度戦闘と死に戻りを繰り返す。


 LV一のまま戦績が七十五戦二十五勝五十負になって街に戻った時にウインドウが表示された。


「称号:”兎の餌”、”脱兎”を入手しました」


 称号ってなんだ?”兎の餌”ってどういう効果があるんだ。称号の解説が出てきた。

・最弱の兎から見て格下の相手。兎にさえ舐められた相手。


・兎が餌だと思って寄ってくる。


・LVに関係なく敵が逃げなくなる。


 これは酷い。こんなものをギルドカードに登録したら、馬鹿にされまくるに違いない。

 しかし兎狩りをするには楽そうだな。もうひとつの”脱兎”はなんだろう?

・兎からも逃げ出したい程弱い


・兎から逃げ出せる程の瞬発的な脚力を入手、一回一MPを消費。


 こちらの方がましだな。それにやばくなったら逃げ出せるのかな?一旦逃げてから戻れば、兎の死体が回収しやすいかもしれない。

 しかしやっとMPを消費する技をゲットしたな。でも魔法じゃないっぽいよなこれ。


 そろそろアイテムも溜まってきたし、一旦冒険者ギルドに行ってクエストの報告でもしてくるかな。南門の近くにある冒険者ギルドの出張所に向かう。


 冒険者ギルドに入ると、周りがざわついている。正確にいうと嘲笑されている気がする。


「おいおいあれが噂の爺さんじゃないか?システム限界を超えているらしいぜ。プププ」


「うそ、マジ。スクリーンショット撮っておこうっと」

 あちゃー。なんか私の話が周り中に伝わっているのか。私だけならまだ頑張れるけれども、このキャラで孫娘とのゲームはできないかもしれんな。

 このキャラは操作を慣れるのに利用して、トコトン問題となるところを明確にしよう。次の製品じゃなくてキャラにその失敗を基にした対策を踏まえて、ナイスミドルなおじいさんになろう。


 陰口?は無視してフロアにいるNPCのお姉さんに話しかける。


「すみません。クエストの報告はどちらにすればよろしいでしょうか?」

 どうやら買取と同じところでいいらしい。列に並ぶ。他の人の声は無視する。しばらくすると順番が廻ってきた。


「ギルドカードを貸してくれるかな。はいどうも。今回の報告は兎の討伐と、緊急クエストの薬草、毒消しそうの収集で良いのかな?」

 と受付のおじさんが確認してくる。


「それと兎の買取もお願いします」

 と言って死体を三十羽ポシェットから出す。ちなみに一度に二羽倒した事ものあるので、間違えじゃないですよー。って俺誰に話かけてるんだ。


「兎の討伐が十匹*三回で千五百、薬草が五十個で千、毒消し草が五十個で千、緊急クエストの納品物以上を一度に収めてくれたのでボーナスでプラス二百四十、兎の死体は三十羽で三千、合計六千七百四十マールだね」

「六千七百四十マールでよろしいですか? はい いいえ」


 ”はい”を選択して、お金をゲットする。合計一万一千八百四十マールになった。

 これで木剣が買えるけど、まだ武器を買うには早い気がする。


「クエストの受け直しはするかい?」


「えーと。緊急クエは解除しておきます。兎討伐クエは引き続きお願いします」


「ところで称号をもっているようだがセットするかい?」


「はい。お願いします。二個あるんですけど同時にセットできますか?」


「凄いね一度二個も称号を入手するなんて。基本いくつでもセット出来るよ。上限というのは聞いたことがないね。じゃあ二個セットするよ・・・!! 

オイオイアンタ、なんだいこの称号は!こんな称号見たことがないよ!!」

 おじさんが震えている。そう。笑いをこらえている。ギルドカードを返してもらった。

 ギルド内も騒然している。どうやら称号をセットすると周りからも称号が見えるらしい。


「ギャッハー。”兎の餌”ってなんだよ。しかも”脱兎”だと。どんな効果だ」


「ヒーーダメ。もう笑い死んじゃう」


「これは掲示板で早速報告しないと」


 遠慮しているプレイヤーもいるが、大体が笑っているようだ。笑いたい奴は笑わせて置けばいいさ。

 クエスト掲示板の前に立つが周りからの視線が痛い。堪えて見ていると薬屋からの手伝いの依頼が貼り出されている。


・ポーション作成手伝い。成果給。1本五十マール。初心者歓迎。優しく指導します。


 安い、安すぎる。五百マールで売っているものを五十で作らせて五百で売るのかよ。

 と思ったら、どうやら原材料は依頼元が用意し、作成を手伝うらしい。

 ポーション作れたら戦闘しないでお金を手に入れる事も出来るだろうし、勉強にもなりそうだからこれを受けることにした。



 場所はこの近くとのことなので、早速薬屋に向かうことにした。


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