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みなさんのお力でこの話が出来ています。
ご意見ありがとうございます。感謝します。
まったく何て名前を付けるんだ。でもまた移動に二~三時間かかるのか、ちょっと心が折れました。日本時間で十一時、一旦門の外に出てテント張ってログアウトする。
最近いつ外出したかな?全然家を出ていない気がする。これは健康的ではない、散歩がてらに買い物に行こう。
でも思ったより面白いなゲーム。こんなに長時間するとは思わなかった。お金を儲けるてコンセプトはいいな、儲かると楽しいからね。
いやー好物の枝豆がタイムセールだった。十二時前に行って正解でした。早速茹でてビールでも飲むかな、昼間から飲めるってのも隠居生活の醍醐味だな。
酔っ払ってそのままソファーで寝てた。ちょっと飲みすぎたようだ。今VRするとVR酔いしそうだし、変な生体波形が椅子の開発チームに伝わって驚かせてしまう。[生体データを開発元に送ってます]
昼から飲んでますとCONNECTに書いてゲームするのも何か嫌なので、ちょっとゲームを休むくらい良いだろ。
もう少し飲んで昼寝しよう。その分夜やれば良いや。あれ?何か思考がおかしくなってる気がする。
ふあー良く寝た。十九時かあ、風呂にでもはいって酒を抜くかなと。
じゃあ、そろそろ再開しますか。マウントギアを装着しゲームを起動・・・。ゲームが始まりません。代わりにウインドウが表示される。
「サーバがダウンしております。申し訳ございません」
はあ?まったくなんなんだ!一体運営は何をしているんだ!ホームページを見てみるか。
「お詫び。この度は大変申し訳ございません。緊急メンテナンスを実施中です・・・・」
話をまとめると
・お叱り、ご意見、ご要望を数多く頂いている
・チートと呼ばれている不正行為が複数件見つかった
・RMTと思われる不正な取引が多数見つかった
・BOTと呼ばれる人が操作していないキャラが狩を続けているケースが多数見つかった。少ない敵を人が狩る前に全て倒されてしまう。[このゲームでは全自動狩りは禁止]
・ゲームの接続人数が多くゲームを出来ない人がまだ多くいる
・想定していた数倍の人数がプレイしたため、ゲームバランスが崩れている
:敵が少なく狩りが出来ない
:相場の変動が想定以上に早い
:LVが先行したユーザのみ、空いている狩場でプレイができ格差が広がっている
・各種問題解決のために、サービスを継続しながらの実施は困難と判断。強制的にゲームを終了しメンテナンスの実施。ログの解析を行い、規約違反者には罰則規定に沿った対応を行う
・今回のご迷惑に対して、更なるお詫びを検討中
・返金手続きについても受付中
・・・などなど、相当運営はてんてこ舞のようだな。返金まで始めたのか、これは誰かの首が飛んでるかも知れないな、可哀想に。
しかしゲームがちょっと出来ないくらいで怒るなんて大人げないなあ。
・ゲーム再開は、日本時間×月×日の土曜日十五時を予定しております。
ふざけるな!ほぼ三日じゃないか!まったく、仕事に対する責任感が足らないんじゃないか!俺が行って仕事の何たるかをちょっと教えるべきかな。いや、もう俺が取り仕切るべきか?
まあ少し落ち着こう。私としたことが。
うーん。このゲームが出来ない時間は自分に取って必要な時間だ。
理由は・・・私はゲームに関する知識が少ない。そして周りの人は色々と知っている。差がある。
ゲームが出来ないのは皆同じ、この時間を使って私は勉強する事が出来る。周りとの差を減らす事が出来る。よし。
さて、気になることと言えば、蛙と死に戻りの場所と、規約やBOT、RMT、チートの話だな。蛙は後でいいか。死に戻りもゲーム内でNPCに聞けば分かるだろう。
規約違反というか悪いことをする気がなかったし、よく見ずに同意してたな。どんな事が書いてあるのか確認するか。それとBOT、チート、RMTも調べておくべきだな。他のVRゲームとかの情報も確認しよう。
なるほど、自分が操作していないのに、勝手に狩りや何かをするのがBOTか。
ゲーム内通貨マールを日本円や$などの現実世界のお金で売り買いするのがRMT。BOTの稼ぎがマールになり、そのマールがRMTの原資になっているようだ。
ゲームを改変する、サーバ上のデータを弄ったりするのがチートね。
AIカスタマイズも、気を付けないと規約に触れる可能性があるのか。でも他のゲームでもAIカスタマイズは一般的な行為みたいだし、区分はどこにあるんだろうか?
他のゲームも含めた状況
・VRゲームは手動操作ではなくAI制御が当然になっている
・人によってカスタマイズしたい部分が変わるため、それら全てを制作側が用意出来ない
・AIカスタマイズは一般的な話、WIKIや掲示板などにカスタマイズしたAIが公開されている
・作成したAI全てをチェックする事は現実的に不可能。何か問題があった場合は、後から規約に準じた罰則が行われる
・BOTの利用はゲームによって異なる。自動狩りOKのゲームもある
このゲームの場合は、
・プレイヤーがログインしてキャラを操作している事、何にも考えないで寝ているような状態で自動でするのはNG
・戦闘で攻撃を当たりやすくしたり、避けるのをアシストするのはOK
・生産はAIに任せてOK[当然起きてること]
などなど、なるほど。今のところ逸脱はしていないようだ。
このゲームの禁止事項やチートと呼ばれる内容は
・サーバ側に高負荷を与えるような行為[DDOS攻撃他]
・ゲームサーバ側の情報やゲームプログラム改変行為全般
自身のパラメータ改変、経験値取得倍増、アイテムドロップ率アップ、アイテムデータの複製や改ざん、・・・
などなど、こちらも私は該当していないようだ。しかし、自分がログインしないでゲームして楽しいのだろうか?わからん。
次は蛙のことでもかんガエルか、なんつって。
さてあの霧は多分毒だろうな。最初に影響を受けなかったのは、称号による影響で軽減もあったのだろうが、何らかの状態異常になるのは、確率があるのだろう。百%毒になるとか嫌だよね。
つまり今までの敵でも毒を持っている敵がいたのかも知れない。
戦った中ではちょっと思い当たらないな。毒を受けたような感じがしない。見かけた中では、蜘蛛、蛇、あたりが怪しいな。
でも毒状態になったら、直ぐに毒消しを飲めたら便利そうだな。今度考えよう。
そういえばアルミラージの攻撃は即死攻撃だったのかな?いや、あれは大ダメージって感じがした。死ぬ感覚慣れしている私が言うんだからあってるだろう。
敵が複数居ることに気がつかなかったのは、まずかったな。
周囲が開けている場所なら気が付けるが、藪や林の中は危険だ。油断せず、周囲に気を配るくらいしか今のところ思いつかない。
街道を脱兎で移動するのは公になってからだろうな、というか、いまのAIで街道出たら、NPCを殺しかねない。
あとは、蛙の飛び込みか。今までの敵の突進は直進が多かったが、蛙は山なりって感じだったな。変化球を始めてみて戸惑ったという感じかな。でも蛙の動きは分かったし、戦闘中に対処出来たから、多分大丈夫だろう。
お、孫娘からCONNECTが来てるぞ。何かな
「ゲーム出来ません>< サーバメンテナンス中だって」
許すまじ。鎌倉の大仏が、中に人を閉じ込めたまま走り出して怒りにくるレベルだよ。お、また書き込みが
「そういえばお爺ちゃん。ゲームやってみた?」
あああ、ついに来てしまった。
孫と同じVRゲームをしていて、死にすぎて変な称号を持っている人が、聞いて欲しくないランキング第三位に入るような一言が。
いや冗談を言ってる場合ではないな。
今のキャラでは会いたくなかった、だって”兎の餌”と”兎のふん”ですよ。”脱兎”はいいとしても。
今の運営状態では、とてもキャラ再作成なんて出来る状態じゃなさそうだし。このキャラ結構いい物持ってるし、脱兎失いたくないし。
嘘は付きたくない、でも今までやってた事言ってなかったのも嘘と思われるかもしれない。どうしよう。もうここは男らしく、正々堂々と話そう。話す?うーん。
決めました話します。経験上、真実に勝る嘘など無かった。じゃないと孫娘とゲーム出来ないかも知れない。書き込みをする。
「実は初日からゲームをしていました。一緒にゲーム出来たらと良いな思って。でも下手過ぎて、変な称号を貰ってしまって。
そんなキャラクターじゃ一緒にしたら迷惑になるかも知れないから、ちょっと言い出せなったんだ。ごめんね」
直ぐに返信があった。
「え?そうなの?そんなの気にしなくて全然いいのに。じゃあ再開したら一緒にやろうよ。教えてあげるよゲームのやり方」
キターーーーーー。神様ありがとう。そして娘よ、孫娘を産んでくれてありがとう。もう死んでもいいかもしれない。いや死にたくない。あ、書き込みがある。
「どんなキャラでやってるの?私は戦士できこりで、獣人熊の女性キャラで、名前はチョコミントです」
熊の女性型か、あんまり気にしてなかったから覚えてないな、というか獣人多すぎるんだよ。そうそう、返信しないとな。
「魔法使いで薬師、人間男性で、名前は”えーす”です」
「え!?お爺ちゃん。えーすさんだったの?兎お爺さんの?うそ!!!!」
ああ。やってしまったかもしれない。社交辞令を信じた私が馬鹿だったのか。直ぐに書き込みがある。
「やったー!お爺ちゃんかなりの有名人だよ。かなり否定的な人がいたけど、今では掲示板とかでも好意的な話で話題になってるし、注目されているよ」
私のどの辺に好感度があるのか理解出来ないけど、それでも肩の荷が一つ降りた気がする。メンテナンスがあってよかった。
「あ、でもいまフレンドの人とPTを組んでやっているから、直ぐには一緒に戦えないかも。出来るようになったら連絡するね」
なんだかなー、今日のこの、良い感じになったり、落ちたりの繰り返しは。でもこれで晴れて一緒にゲームができるかも知れない。
メンテナンスが終わる予定の土曜日十五時。マウントギアを装着しゲームを起動・・・。ログインしてクローネシュタットの南門だ。各種お詫びをもらう。荷物が一杯で受け取れない場合は後日受け取れるとの事。
お詫びの目玉は、経験値百取得宝箱*百個、取得経験値百%アップ巻物[効果は一時間]*三十個、百万マール[全員に同額]
注意事項が案内される。
「レベルアップは計画的に行うようにお願い致します。
敵とのレベル差が四以上あると敵が逃げる仕様です。
具体的にはLV五になると、LV一であるジャイアントラビットが逃げます。
同様にLV六になると、LV二である野犬、ゴブリン、狐、野鳥が逃げます。
急激なレベルアップにより、狩りたい敵が狩れなくなる恐れがありますので、ご注意ください」
ふーん。私は称号があるから関係ないけど、でも高レベルなのに低いレベルの敵が襲ってくるって厄介じゃない?まあメリットだけの称号なんて無いのかもしれないな。
ゲーム時間と日本時間の見直しが行われて、今のゲーム時間は六時。朝になったところだ。ポシェットは一杯なので経験値系はもらえないが、経験値は一万以上ある。ギルドでLVUPをしよう。
南門のギルド出張所に入ると新人の多くがギルド登録に並んでいる。LVUP窓口に並んでいると歓声とピンポンが聞こえる。
「うぁーファンですー頑張ってください」
「今度執事の格好してください!」
「凄い凄い!うさぎおじいちゃんだ!はじめて見た」
「スクショ!スクショ!」
確かに、否定的な意見は減っているようだ。ギルド内にいるとピンポンなる仕様にでもなったのだろうか?うるさい。
LVを五にする。LV六には一万五千必要なようだ。フロアのNPC女性に死に戻りの場所について聞いてみた。どうやら最後に立ち寄った街や村が死に戻り場所になるらしい。仕様と思って納得する。
全身布装備で木の剣を持った、獣人犬戦士が愚痴っているのが聞こえた。
「しかし、経験値取得UPを貰っても、敵が少ないから全然有効に機能していないよねー」
その周りでは、やはり初心者と思われる人が愚痴を言い合ってる。
ふむ。どうやら敵がまだ少ないらしい。人が多い時を基準に敵を出すと、人が少ない時間帯に敵が多すぎて狩りが困難になるようだ。バランスって大変だな。でも私なら敵を出せるな。よし
「ちょっといいかな?兎で良ければ私が用意できるけど」
「え?うさぎおじちゃん。いや、兎を用意って?」
「称号の効果でね。兎が寄ってくるんだよ。良かったらだけど、兎を呼び寄せるけど」
「え?本当ですか」「うぉーー。おねがいします」
ギルド内にいた初心者十数人と野次馬数人で西門側に向かう。
「西門側って兎が少ないんじゃ」という声がヒソヒソ聞こえる。
西門を出たところで声を掛ける。
「みんなAIサポートはオンになっているかな?なってないと戦いにくいからね。大丈夫みたいだね。
歩くと兎が穴から出てきます。少し駆け足すると歩くより多めに寄ってきます。
でも全速力で走るとHPが減るから、全速力では走らないように。
私が先頭を駆けるから、少し間を開けて同じくらいの速度で着いてきて。敵が出てきたら近くの人が狩ってください。
みんなが敵と戦えるように順番でよろしくお願いします」
私が先頭で走り、その後を初心者集団と野次馬が付いて来る。早速穴から兎が二匹出てくる。
「はい。それ狩ってね。どんどんいくよー」
「うわ!本当に出てきた。凄い凄い」
大きく円を書くような感じで走る。兎が出てきて、初心者が倒す、兎が出てきて、初心者が倒す、野次馬がはしゃいでる。初心者は、殆どその場にいるだけで、兎が出てきて倒せている。
そしてピンポンの音が定期的に聞こえる。なんだろうこのゲームのBGMにでもなったのだろうか。それにしちゃ前衛的だな。
途中夕飯休憩を挟んで、同じことを繰り返す。時間経過に伴い、新人と野次馬が増えていた。
もうすぐゲーム時間で十八時、大分あたりが暗くなって来た。そろそろ兎が出て来なくなるかなと思っていると、
「きゃー」「うぁー」「いてて」「早い!早いよ!」
数人死に戻りが発生している。どうやらエリートが出たようだ。しまった失念していた。
「よし。私が戦う、みんな逃げてください」
瀕死の初心者の前に立ち、槍を少し短めに構える。
二体の兎はアイコンタクトを取り、兎Aが私の正面、兎Bが私の右側に移動する。挟み撃ちをするつもりだろう。
私は正面の兔に駆け寄り槍を出すが避けられる。何度か小刻みに突くが全て避ける。脱兎を使って無いと狩るのが難しい。
足音が聞こえたので、とりあえずサイドステップを使い、左に移動すると、顔のあったあたりを兎Bが通過する。
兎Bに攻撃をするため槍を向けなおすが、兎Aが既に足元まで来ており、サイドステップで更に左に避ける。
なんかサイドステップばかり上手くなっているな・・・。しかし、早すぎて槍では攻撃が追いつかない。
走りながら槍をポシェットにしまい、木の杖を出す。そのへんに落ちている兎の死体を拾い、杖の先端を兎の口の中に思いっきり突っ込む。
「うぁあー」「ちょっとエグい」「うははは」
兎グリップを着けた木の杖を構える。少し持ちやすくなった。兎Aは私の左、兎Bは私の右、両方が同時に走ってくる。
私は右斜め前に数歩走ってから、兎Bに向かいなおす。兎Bが顔目掛けて飛んでくるので、上半身をひねって避ける。
「なにあれカッコイイ」
攻撃する余裕もなく兎Aが足元に突っ込んでくる。私の右足に体当たりし体制を崩す。兎Aは走り抜ける。
何とか踏みとどまるが、背後に強い衝撃を受けて、地面に転がる。
兎Bだろうが視界に見えない。探していると兎Aが倒れた私の方に
駆け寄ってくるのが見える。
兎が飛んだ瞬間、すごい数の石が兎Aにあたり、兎の軌道がずれる。同様に兎Bにもすごい数の石が飛んでいる。怯んでいるようなので、兎Bに近づき木の杖[兎グリップ付き]で殴る。
初心者も兎Bの周囲を囲み、木剣や木の杖で殴りまくる。
「ジャイアントラビットエリートを倒しました。経験値九が入りました」
「ジャイアントラビットエリートを倒しました。経験値十八が入りました」
兎Aは野次馬が対応して倒してくれたようだ。
剥ぎ取りナイフを刺すと肉と皮が一個ずつと二個ずつが入ったが、持てないので、周囲の初心者にあげた。どうやら複数人で倒すと経験値やアイテムは自動分配されるようだ。
野次馬をしていたプレイヤーが、念のためと言って教えてくれたが、通常は他の人が戦っている敵を殴るのは、このゲーム内では横殴りといってマナー違反らしい。
今回は内輪のイベントのようなものだから別に構わないと思うけど、普段は気をつけたほうが良いとのこと。中には怒る人がいるらしい。
規約以外のローカルマナーまでは知らなかったので、お礼を言っておいた。
会話しながら西門に向かう。正確には一方的に話しかけてくる。
「あの避けるモーション凄いですね。どうしたんですか?」
「兎を杖に差すのはどうかと思います」
「助けてくれてありがとうございます」
「兎狩り楽しかったです。またお願いします」
なんだろう。子供を引率してる保育士のような気になる。しかし気になることがあった。
「あの石の攻撃はどうやったんだい?凄かったね」
周りがキョトンとしている。
「あれは初期魔法のストーンショットですよ。えーすさんも覚えてますよね?」
「いや、魔法は一つも覚えていないけど」
周りが騒然とする。
「うそでしょ」「何で?何で?」「縛りプレイ流石です。マゾ尊敬します」
「いやだってLVUP窓口に行っても出てきませんでしたよ?」
「そんな事は無いはずです。スキルを覚えたいって言えば出ますよね?」
あっ、そういえばLVUPしたいとしか言ってなかった。
8/16 誤字修正。メンテナンスのスが抜けてました。