カフェテラスであなたと
*普段に比べて倍くらいあります
人通りも少なくなった夕刻のエーテフ南通り、その道路傍に一軒の喫茶店があった。
店の前には幾つかの日除けパラソルがある程度の距離を開けながら開かれ、その下には小さなテーブルと椅子がセットで置かれていた。
店内でもコーヒーや紅茶を飲むことはできるのだが今日のような天気のいい日は外を選ぶ客の方が多いようだ。
そして彼らも店外のパラソルの下で休憩をとっていた。
両手でコーヒーカップを慎重に持ちながら何度も息を吹きかけ冷まそうとその男性は必死だった。
彼の名はクレハート、普段通りの大型量販店で売られていそうなTシャツとズボン、足元はサンダルというラフな格好で髪の毛も肩ほどまで伸びそれを後ろで結んでいる。
そんな彼の対面に座る女性は先ほどから俯き肩を震わせ笑いを堪えていた。
彼女の名はエルト、空みたいな模様のワンピースに黄色のカーディガンを羽織っている。黒髪のショートヘアーの隙間からピアスが光る。
彼らの周りには買い物したであろう沢山の品が無造作に置かれオープンテラスに国を構えているようだ。
丸いものや四角い大きな箱に入ったもの、袋に山のように詰め込まれた食品などもあるが一番目を引くのは熊のぬいぐるみであろう。
そんな中二人は椅子に座りパラソルの影でコーヒーを飲んでいた。
「プ…!……クク……!」
今エルトは必死である、それは目の前にいるクレハートが必死になって息を吹きかけるコーヒーを冷ましており普段のギャップとかなりの差があるからだ。
いざ戦闘となれば彼の体は鋼のように硬くなりどのような相手であっても前から正々堂々と戦うスタンスをとる。
まだ出会ってそれほど月日が経った訳でもないが彼をどことなく『無敵』だと思い込んでいた。
しかし今の彼は少し熱い程度のコーヒーカップを両手で持ち何度も何度も息を吹きかけている。
これまでも同じような光景は何度も見てきたのだがその度彼女のツボに入ってしまい結局彼がなんとか飲めるようになるまで彼女もまともに食事をできないのだ。
「あまりじろじろ見ないでくださいよ」
そんな彼女を見ながらクレハートは不満をぶつける、本人だって好きでこんなことをしている訳ではない。アイスコーヒーを頼んだのに研修中というバッジを付けた店員がこれを運んできたのだ。
その時点で返却すればいいのだが店員の謝りに強く言うこともできず彼はそれを受け取った。
結果目の前の彼女はすぐに笑い出し今もハンカチで目元を押さえている。
「そんなに俺がおもしろいの?」
一度コーヒーカップをテーブルに置きクレハートは彼女に尋ねる、ただ答えなどだいたい予想はできるのだが。
「えぇ、何故か、とても……クク……」
少し顔を上げ涙目になっている彼女は喋り始めた途端また笑い始める、つぼにはまってしまっているようで今度は机に突っ伏して肩を震わせ始めた。
クレハート自身は何もおもしろくない、それでも以前の彼女のことを思えばかなり元気になっていることは嬉しく思った。
エルトは大国ネルステラ国の姫君である。
しかし国のために自らの自由を代償にすることに耐えられず国を無許可で出た。
その時クレハートとシドも一緒であり追手の心配をしたのだがネルステラからの追手などは来ず今に至る。
ただし彼女を国まで送り届けた際に貰ったタープノルや彼女が持つ王族のタープノルも利用できなくなっていたことからネルステラ国は彼女を見限った可能性が考えられる。
あくまで推測な上に王族である彼女を簡単に手放すことなど考えられないのでどのようにも考えられるのだが。
不安を抱えながらも今はこうして穏やかに過ごすことができている。
そしてエルトには鉱石限定ではあるが物質変換を行うことができる特殊能力がある。
クレハートとシドとパーティを組むことになった彼女ではあったがこの能力が色々な面で有効活用されることもあって彼らと共に幸福探求者として生活している。
三人となったパーティはうまく活動できているようだ。
「それより早く飲まないと冷めるぜ」
「えぇ、そうですね」
なんとか笑いの大波を乗り越えた彼女はティーカップを手に取る。
少し息を吹きかけてから口を付ける、クレハートはその一通りの仕草に気品があるように感じてしまう。元はお姫様なのだからこういう時の作法は当然なのだが。
ふぅと一息つく彼女から目を逸らし通りに目をやりお迎えを待つ、時間的にはそろそろシドがシャトルバイクで来る予定なのだ。
ただし情報屋ミミティコに会うと今朝言っていたのでもしかしたら遅れるのかもしれない、いい情報が入っているのであれば中身を詳しく聞いていることもあるだろう。
再度目をエルトに向けると彼女はサンドイッチを手に取り口元に運んでいた。
彼女がこの街で一番おいしく感じたのがサンドイッチらしい、城に住んでいた頃は食べたことがなかったそうだ。
笑顔でサンドイッチを頬張る彼女を見ながらクレハートはやっと冷めかけたコーヒーカップを手に取った。
「クレハートさんとシドさんってどうやって出会ったのですか?」
サンドイッチを食べきった彼女が再度ティーカップに口を付けながらクレハートに訊ねた。
唐突な質問に机に頬杖を付いてぼにゃり街を見ていたクレハートはゆっくり彼女に顔を向ける。
「以前から気になっていまして、教えていただけませんか?」
シドが来ない以上約束のこの場を動く訳には行かずかといってすることも昼寝もしくはエルトと何か話すくらいしかない。
とは言え話したくないことだってあり彼女の質問もどちらかというと答えたくはないのだ。
「言いたくない」
「そう言われると尚更聞きたくなります」
「言えない」
「ちょっとだけでも教えて頂けませんか?」
クレハートにとってこれほど食い下がる彼女は初めてだ、彼女は相当興味を持っているらしい。
「お願いします!」
彼女は少し声を大きくし目の前で手を合わせて願った。
「あんたが仲間だから話す、他言無用だ」
いつも通りの無表情から真剣な顔つきになったクレハートに驚きながらも彼女は頭を縦に振った。
「俺が生まれたのはベニロンだ、この世界で一番傭兵が集まると言われてるが実際は喧嘩好きや暴力でしか物事を解決できないくだらない奴らが集う国。
まだ小さかったから全然覚えていないが俺の家は火事にあって親は死んだ、奇跡的に生き残った俺は国が管轄する孤児院に引き取られて育ったよ。
孤児院の生活はなんというかいい所だったような悪い所だったような、曖昧なんだ。うまくグループを作って楽しく暮らしている奴もいたらずっと泣き続けている奴もいる、一心不乱に絵を描いてる奴もいたな。
俺はその環境に馴染めず窓際の小さな椅子で毎日本ばっかり読んでた、孤独だったがここにいる奴らは皆色々な理由で親や兄弟と別れたとわかっていたからな」
「金持ちとか子供の欲しい大人が来ては引き取っていった。だいたいそういう子ってのは極端に愛想がいいか極端に愛想が悪いかどっちかなんだよ。
でも一人出て行けば一人また増える、日常茶判事に俺達の血が繋がらない家族は増えては減ってを繰り返していた」
「質問いいですか?」
エルトの質問にクレハートはどうぞと促す。
「愛想がいい子と悪い子しか引き取られないってどういうことです?」
彼女にとってそれが物凄くひっかかっていた。
「愛想がいい奴はやっぱり見に来た里親も欲しいと思うだろうし孤児院の大人達も自信をもって勧めることができる。
逆に愛想がない奴はずっと里親が見つからず残っていくんだが後から聞いた話だと裏金で買われていくんだそうな。
そいつ等がどこへ行って何をするかまでは想像に任せる」
クレハートはつまらなそうに答える、目の前で落ち込む彼女にはこれ以上説明する必要もないからだ。
「話を戻す。
俺も愛想が悪い子供だったが運良く裏金などではなく一人の老婆に引き取られた。何故俺を選んだかは知らないが孤児院を出られることだけで俺は心底嬉しかったよ。
老婆……ばあちゃんはいい人で親のことをほとんど覚えていない俺が甘えられた初めての人だったよ。
国のはずれの小さな一軒家がばあちゃんの家でさ、すっごくボロボロなんだよ。それでも中は結構綺麗で俺用の部屋も用意してくれてた。
ばあちゃんはベニロン闘技場にある備え付けの厨房で働いていて俺を養うくらいは大丈夫だよって言ってくれた、でも俺はやっぱりばあちゃんを親とは見ることができず他人行儀でとりあえず住まわせて貰っている間は何か手伝いをしていないと落ち着かなかった。
無理を言って俺も厨房に連れていってもらって材料の皮むきや皿洗いとかしてたな、今考えれば邪魔なだけだったかもしれないけど料理長とかよく褒めてくれたよ」
「それから二年くらい経った冬、ばあちゃんが倒れたの。
俺はすごく焦ったけどばあちゃんは『大丈夫、大丈夫』しか言わない。医者に見てもらおうとしたけどばあちゃんはずっと断っててこの時俺は不安で不安でたまなかった。
朝目を覚ましたらばあちゃんが死んでいるんじゃないかって、俺はどうすればいいのかって。
そんなことを考えているうちにばあちゃんは元気になった。
実際は無理してただけなんだけどさ、以前のようにうまい料理を食わしてくれるようになったけどばあちゃんはご飯はほとんど食べなくなってた。
仕事には行くけどすごく辛そうで結局は仕事を解雇されたよ。ばあちゃんは『しょうがないね』とだけ言ってた。
俺はそれでもばあちゃんが無事ならいいと思って今度は俺が稼いでやろうと思ったんだ。
稼ぐ方法はこの能力、ばあちゃんは絶対に人前で使ってはいけないって言ってたけどこれしかなかった」
「その能力はいつから使えるようになったんですか?」
エルトの二度目の質問、すでに落ち込んでいるような雰囲気はなく気を使う必要もなさそうだ。
「引き取られてすぐだったと思う、開かない瓶の蓋を力一杯握ったら目の前で爆発した。
実際は爆発じゃなくて俺が握りつぶしただけなんだけどね。それを見ていたばあちゃんに言われて人前では使わないようにしてた」
「おばあさんはその、気味が悪いとか思わなかったんですかね?」
「今思えば気味が悪いと思っても当然だよな、でもばあちゃんの態度は何も変わらなかったなぁ」
「いいおばあさんですね」
「うん」
素直に頷くクレハートをエルトはかわいいと感じた、彼はだいたい素直に答えるのだがその度に同じ年齢でありながら弟のように感じてしまう。
それからコーヒーカップに口を付け乾きを癒したクレハートは話を続けた。
「ベニロンでは年に一回闘技大会が開かれる、『ベニロン舞闘会』。それがちょうど開かれる時期だったんだ。
優勝賞金は一度貰えれば何年間かは働かなくてもいいくらい手にはいるから俺にとってみればチャンスだった。
ベニロンの中心部にある円くてでかい闘技場に沢山の人が押しかけて舞闘会のある十日間は国が一年で一番盛り上がる。
出場資格に年齢は含まれず身長が基準値よりたかければ出場できるのだけれど俺は元々成長が早かったおかげでその基準をクリアしていた。
まぁ幼い顔を見て他の出場者に笑われていたが別にそんなこと構わなかった。
俺のことを知っていた料理長には止められたけどばあちゃんのことは知っていたし金がないことも予想していたようで結局俺を抑えきることはできずに送りだしてくれたよ。
俺は一回戦敗退が濃厚と言われていたけどなんてことはなかった、降参させればいいだけだから思い切り殴ればそれだけで皆倒れこんで行ったよ。
勝ち上がっていくと同時に周りから褒め称えられた、悪い気はしなかったけど傭兵の誘いが多すぎて試合が終われば逃げ回ってたな」
「人を殴るのは初めてだったけど可哀想なんて気持ちはばあちゃんのことを考えれば何てことはなかった。
俺のことを殴った相手が悲鳴を上げて指がありえない方向に曲がっている自分の手を見る、次に俺を怯えた目で見るんだ。
戦意喪失してる相手が降参すればそれでいい、もし降参しなかったらこちらから一発殴る。
どこを殴っても骨が折れる音と感触が伝わるんだ、だいたいの相手はそのまま倒れこんで動かなくなる。
武器を使ってはいけないというルールも相まって俺は順調に勝ち進んで行ったよ。
決勝戦は俺の不戦勝だった、相手が試合開始とともに降参してくれたからね」
「優勝賞金を貰ってすぐ家に飛んで帰った、大通りを全力で走って古ぼけたの我が家へ。
玄関の扉を開けばあちゃんが寝ている寝室に入りベッドで寝ているばあちゃんに賞金を渡すともの凄く驚いた表情で俺を見てたよ、それから思い切り俺の頬を叩いた。
『その力を人前で見せてはいけないと言ったでしょ』と言いそれから泣き始めた。
俺は褒めて貰えるもんだと思ってたから呆然としていた、約束を破ったことに悪いと思ったけどそれ以上に初めて泣くばあちゃんの姿に凄く後悔した」
喋りながらクレハートは当時のことを思い出し落ち込んでいた、椅子に深く座り机の一点を見続けながら。
少しの間黙ってしまった彼は姿勢を正してまた話し始める。
「その日の夜はなかなか寝付けなくてずっとばあちゃんのことを考えていた、謝ることよりもばあちゃんを泣かせてしまったことにただただ後悔して。
でもあの時、もっと慎重になっていれば後悔しなかったんだと思う。昼間ばあちゃんを泣かせたこと以上に」
クレハートの話のトーンが急に落ちたことも相まってエルトは少し違和感を感じた。
「玄関のドアが大きな音を立てて開いた、古い家だから家中に響いたよ。
俺はばあちゃんかと思ったけどばあちゃんにはそんな力は残ってない、そんな風に疑問に思っていると何人かの足音が聞こえた。
それはまるで駆け足のような音で俺は外から誰かが入ってきたとやっと気付いた、でもその時には一階からばあちゃんと言い争う声が聞こえて俺は飛び起きたよ。
『強盗だ!』と気付いた瞬間、家の中に銃声が響いた。
生まれて初めて心臓が爆発しそうになった、心臓が音を立てて激しく鳴って、一目散にばあちゃんの部屋に向かったんだ」
「自分の部屋の扉を開けると相当力が入ってたんだと思うけど扉が飛んだよ、それを避けて階段を飛び降りばあちゃんの部屋に続く廊下に出た。
そこには黒い格好の男が三人いたよ、銃の名前はわからないけどマシンガン?ライフル?そんな銃を持ってた。
その内一人が俺に気付いて銃を向けた、でもそれが撃たれる前に俺は懐に飛び込んでた。
手加減なんてできなかった、悲鳴は聞こえたけど構わなかった、本能のままに殺してた。
殴って蹴ってへし折って潰す、俺の体と廊下が真っ赤に染まって三人はバラバラの肉片になってた」
「それから真っ赤に染まった手でばあちゃんの部屋のドアを開けて中に入った。そこは静かでさっき言い争っていたとは思えなかった。
部屋の壁にあるスイッチを押し電灯を点ける、手が震えてなかなか押せなかったけれどたぶん俺は理解していたんだと思う。その場所がどうなっていたかということに。
明るくなった部屋、ベッドの上にはばあちゃんが居た。
布団を真っ赤に染めて冷たくなったばあちゃんが」
「俺はそっとばあちゃんの傍まで行くと冷たくなったばあちゃんの手を取って泣いた。
声を上げて赤ん坊みたいに泣いて、床に座り込んでも泣き続けた。
一言謝ることも自分を引き取ってくれたことに感謝していることも言えずに俺はまた後悔したんだ。
この人にしてあげられたことなんて何一つなかった、むしろ強盗が入る要因を作った俺は死神なんだと思う。
楽をさせてあげることも代わりに金を稼いであげることも何もできなかったんだ。
……。
それから暫くして銃声と悲鳴に気付いた近所の人が来てくれた。
廊下の有様から通報を受けた警察も来て、でも俺が泣くことを止める人はいなかったな」
「ばあちゃんの葬儀は近所の人達がやってくれた、俺は狭い箱の中にいるばあちゃんを見てるだけ。
火葬場に行って骨になったばあちゃんを見ても俺は涙を流さなかったよ。
たぶん枯れてしまったんだと思う、それとも涙腺が壊れたのかも。悲しいという気持ちは山ほどあるのに俺は泣いてあげることができない人間になってた。
それからすぐ小さな墓を立てて、俺は家の中に引き篭った」
そこまで喋りきってからクレハートは俯いて泣き続けるエルトの頭を撫でた。
話の途中で彼女が泣いていたことに気付いてはいたが喋りきることを止めれなかったのだ。
「そのあとシドと出会って旅に出たんだよ、はいこれまで!」
声のトーンを上げて話を無理やり終わらせてみたが目の前の女性が泣き止む様子はない。
今になって思えばエルトが知りたがったのはシドとの出会いで自分の昔話ではないのにと気付く、あぁ俺は馬鹿だと内心ただ呆れた。
「……そんなことないです!」
時間が経ちエルトが泣き止みはじめたが急に彼女は顔を上げ立ち上がるとまだ涙を目に溜めながらクレハートに言った。
「おばあちゃんは絶対あなたのことを死神だなんて思ってませんよ!
あなたが約束を破ったことには怒っていたかもしれませんけど、自分のために頑張ってくれた子供を嬉しく思わない親なんていませんよ……」
そう言って彼女は立ったまま泣き始める。
先ほどから客はいないものの店員からの視線が痛いのだ、確かに泣かしたのは自分なのだがけっして悪口を言った訳ではない。
しかし自分に向けられる『女を泣かした男』という視線にクレハートは耐え切れなかった。
「とりあえず座れ。
別にばあちゃんが俺のことをどう思っていようが今更別に関係ないんだよ。
俺はただばあちゃんに感謝している、それを伝えれなかったことだけが後悔でそれ以外は」
「クレハートさんの気持ちはちゃんと伝わってますよ!
だからそんなに自分を卑下しないで下さい!……じゃないとおばあちゃんが可哀想じゃないですか。
あなたのことを引き取ったことも、あなたと暮らしたことも、あなたが一緒に働いてくれたことも……全部、全部、おばあちゃんにとっていい思い出ですよ」
彼女をなだめようとした結果途中で話を途切れさせられたクレハートだったがエルトの言葉に胸の中が熱くなっていた。
「……なぁ。
ばあちゃんは本当に俺を引き取ってよかったと思ってくれたと思うか?」
エルトの目を見ることができないクレハートが彼女に質問する。
「……!!
はい!おばあちゃんはあなたを引き取って良かったと思ったに違いありません。
私が保証しますよ!」
その質問に彼女はさきほどの泣き顔から一転して笑顔で答えた。
彼女の一言はけっしてばあちゃんの一言ではない。
それでも俺は救われる気がした、たぶん誰かに言って欲しかったんだと思う。
『自分を苦しめるなよ』と。
……シドに言ってみるかな、久々に墓参りしたいって。
分割のタイミング見失ったばい




