快楽(アメリア視点)
やってしまった。ほんの少しだけのつもりだったのに、何度も、何時間もしてしまった。
私の膝の上で寝てるシンジ君が凄く可愛くて、ちょっとだけなら良いと思った。柔らかくて張りのある頬を指で突いて。シャツに手を潜らせて、お腹を直で触って。段々とエスカレートしていった私の手は自然と自分の下腹部に動いていき、無防備に眠るシンジ君の傍で……。
背徳感。やってはいけない事を承知の上で得られる快感。度が過ぎていればいる程、得られる快感は色濃い。毎日シンジ君を想ってシテいた時は気持ちいいだけだったけど、目の前にシンジ君がいる状況でシタあれは、気持ちいいなんてものじゃない。
行為をしている最中、目を覚ましたシンジ君に軽蔑される可能性。
無防備なシンジ君に劣情を剥き出しにしながらも抑え続ける矛盾。
最低な自分と最高の快楽に溺れる自分との天秤。
あの時の私は、自分が自分じゃない気がした。まるで画面の中のフィクションを見ているような他人事。罪悪感で戒めるのではなく、罪悪感というスパイスで快感の刺激を上げる。これまでとこれからの事など忘れ、今にしか頭にない無計画故の贅沢。
その結果、私は経験した事がなかった絶頂を迎えた。二度目、三度目と続けて果てるも、新鮮さは変わらず、手を止める事など考えもしなかった。何度絶頂したのかは分からない。どんな表情と声を出していたのかも分からない。一つ確かな事は、あのアロマが無かったら、部屋の臭いは酷く淫乱とした臭いになっていたという事だけ。
私は今になって自分を強く非難している。眠っているシンジ君を傍に置いておきながら、シンジ君を想ってシテしまうなんて。ソファのシミに違和感を抱いていた時は、本当に冷や汗をかいた。あの子がまだ中学一年生の子供で助かった。
でも、シンジ君もシンジ君だ。あの子は自分がどれだけ尊い存在なのかを分かっていない。優しくて、穢れを知らず、乾いた大地に咲く一輪の花―――いいえ。空から降り立った天使。
そんな天使があんな無防備な姿を晒しては、穢したくなるもの。
あの表情をドロドロになるまで蕩けさせたい。全身を私の爪と歯で傷付け、流れ出る鮮血を舐めたい。私の穢れを無理矢理口に流し込み、あの子の純白を私の中に流し込んでほしい。私の名前しか言えなくなるまで壊したい。あの子を私の中にしまっておきたい。
あぁ。これは愛なのだから。愛は何よりも尊きものであり、尊ぶべきもの。愛は天国への道標となり、そこへ征く為の翼を生やす。
「だからきっと、私は天国へと征ける。この背の愛を育めば、いずれシンジ君を連れて天国へと」
鏡に映る私の背には、肩甲骨とは違う出っ張りがある。母親の胎内でまだかまだかと訴えるように疼く。
やがて激しい痛みを伴って産声を上げる時。私は天使を連れて空へと還るだろう。




