第5話
「実験はみなさんの意識をデータ上の世界で再構成することになっています。肉体は冷凍保存あるいは冷凍睡眠状態によって安全に保管します。実験のため今回は小規模に実施しますが、それでもかなりの電力や場所を使用することとなります。今回はテック・カバナー財閥をはじめとする数多くのバックアップや完全後援のためさほど気にすることはありません。パーソナルデータとなるのはいわゆる意識そのものとなり、それをデータ世界で再現する形となります」
誰かが手をあげようとするが、それを遮る形で質問はまとめて後で、とアルフレッドは答えた。
「冷凍保存をしている状態であっても意識をつなげ、最終的に蘇生するためにそれぞれの脳とコンピューターを接続するための必要な手術や器具を取り付けさせていただきます。今回は器具組と手術組の2つに別けます。また冷凍ではなく冷蔵保存とし通常の冬眠に近い状態とします。実験のため1週間を期限として起きていただく計算です。実験開始日は3日後、もしも同意いただけない場合にはこの場でおかえりいただくことも可能です」
何かご質問は、とアルフレッドが居並ぶメンバーを順番に目で追っていく。
そのうちの一人、半円状に並んだ椅子の一角に、自分が来るよりも先に座っていた女性が手をあげた。