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第24話
「……もしも、ですよ。もしもここで1階のボタンを押して、そのまま外へ出ていくとしたら、どうしますか」
「仮にも軍人ですよ、これが違法性のある命令ならばまだしも、そうでなければ自分は今回の実験を遂行する義務があります」
自分の責務は明確に理解をしている。
だからこその回答だ。
「そうですよね、ごめんなさい。変なこと言っちゃいまして」
「いえ、疑問は科学の父親でしょう。それがなければ今の人類はいませんよ」
必要が発明の母であるならば、疑問は科学の父となるだろうという程度の話だ。
深い意味はない。
だが、それでも彼女がエレベーターに揺られながら何回も何回もうなづいているのを見ていると、何か意義深い名言でも言ってしまったかのような印象を覚えた。




