第22話
「……では早速始めます。実験会場へご案内します」
科学者がようやく説明を終えたようだ。
1時間も2時間も待っていたような気がしたが、会議室の時計を見ると結局30分ほどだったようだ。
ぞろぞろと歩いていく間に、昨日の夜に来た科学者が自然な歩幅で俺の横に並んで歩きはじめる。
「……何かありましたか」
前を向きながら歩き、すぐ傍らの彼女の気配を感じつつ、俺は話を切り出す。
「いえ、特には」
簡単に彼女が答えるが、何かあるのは間違いないだろう。
「……そうですか」
それでも会話はこれで終わりだ、と俺は話を切る。
彼女は俺にあわせるように少し早歩きになりながら、それでも俺と一緒にいたいようだ。
「私、今回の実験で、一緒に入ることになったんです」
「では仮想空間上でも一緒ということですか」
それが良かったといえるかどうかはやってみないとわからない。
「もしもここが仮想空間だとして、仮想空間の仮想空間に入るっていうのも興味がありました。どんな感じなんでしょう」
エレベーターの前につく。
みんな順番で入っていくが、俺と彼女の前でちょうど定員となってしまったようだ。
フロアは彼女が知っているらしく、俺ら2人だけがいったんここに残される。
「夢中夢っていうのは、すでにご存じだと思いますが。おそらくはそんな感覚になるのではないでしょうか。夢と判断することなく、夢の中で夢を見る。多層構造の世界で、我々は夢を見ているのかもしれませんね」
それが真実といえるか、疑問は極めて多くある。
でも回答を得るにはあまりにも情報がなさすぎる。
「そうかもしれませんね」
彼女は首肯した。




