第1話
「失礼します。潟平中佐、出頭しました」
国連軍総司令部がおかれているニューヨーク国連本部。
今はここが中心になって人類移住計画が動いている。
少なくとも表向きは。
「入りたまえ」
野太い声が聞こえると、ガチャリとドアの取手を引き下ろし、部屋の中に入る。
「まっていたぞ中佐」
中に待っていたのは1人の軍人。
誰もが知っているその人は、通りがいい声で自分のことを迎えてくれる。
「これで残りは科学者の3人か……」
自分を待っていた軍人は国連軍総司令部副総司令官。
時間通りにきた自分のことよりも、いまだ来ていない3人のほうを気にしているようだ。
ドアを後ろを向いて閉めると、副総司令官に敬礼し、副総司令官から答礼を受ける。
「潟平中佐、まずそこの椅子に座ってくれ。詳しいブリーフィングはまだだろうが、事前資料に目を通してもらったとは思う」
「はい、受け取りました。一通り目を通しましたが……」
自分は副総司令官を半円状に取り囲んでいる椅子の一脚に座りながらも、副総司令官へと質問をしようとして言いよどむ。
「なんだ、言いたまえ」
「はい、では質問なのですが、これは実現可能なのでしょうか。人間の意識のみをデータとしてアップし、かつ危険が去った時点で肉体を再構築したうえでダウンロードさせるという手法は」




