初の寮と同居人
「さて翼くん。ここが君の部屋だ。好きに使うといい」
「広っ!え、俺一人でこんな使っていいの?」
「いいや、実は共同で使ってほしいんだ。うちの高校は全寮制でね。東もう一つ寮があるんだが、如何せん仲が良くない。だからまぁ、東の奴らには気を付けてくれ」
「え、何それ。東寮の人たちは西側を敵対視してるってこと?」
「まぁそういうことだな。始まりはずっと前の話。もともとは仲良く過ごしていた東と西だが、とある事件を境に険悪になる。その事件というのは、まぁ追々話すよ。それじゃ荷物まとめて、そこにある教科書やらなんやら確認しといてくれ。じゃー僕は先に行くから、後で共同で暮らす子が来たらよろしく言っといてねー!」
「え、ちょ、翡翠さん?!その人の名前くらい教えてっ……てもういないし」
困ったな。それにしても、二人で暮らすにしても広いな。両サイドに二段ベッドがあって、二段ベッドの下は机と椅子がおいてある。上にはベッドで、普通に広い。二段ベッドだからと言って狭いわけではなさそうだ。
んで、そのサイドの真ん中奥に大きなテレビが一台。テレビの後ろは窓か?かなり大きい。普通に体が出せるな。……安全装置とかついてないのだろうかこの窓。絶対に危ない気がする。
まぁ落ちなきゃいいだけだし、別にいいか。というかそれよりも優先しなきゃいけないことがある。それは、戦闘の仕方だ。
「シキ、いるか?」
「おう、いるぞ。どうした?」
「ちょっと話しておきたいことがあってな。お前の能力って羽とほかに何があるの?」
「基本的な身体能力の飛躍的上昇。翼、今50メートル何秒だ?」
「だいたい7,5秒以下くらい。速いと7,2とか?」
「走ることにだけ全神経を注いだ場合、今の翼であれば50メートルは2秒以内にゴールできる。鍛えればさらに上がる。肉体強度や身体能力が向上すれば、自然と攻撃の威力も上がる。大体総合して今の翼の
3,4倍ほど身体能力が上がると考えていい。そして次に呪術。これは悪魔の中でもつ悪魔の中でも使うやつが少ないが、天使へ有効打を与えられる。
指で印を組むことで発動する物がほとんどで、呪いは数が多い。毒や痺れなどのデバフのようなものもあれば、自身に呪いをかけ条件付きで肉体を強化することもできる。その場から動けなくする呪いや、条件を破ったら致命傷を負う呪い等々。つける条件は印を指で作るか、紙に書いた呪印を張り付けるなど色々あるぞ。
……翼、ここまでにしよう。誰かくるぞ」
だれかくる?あぁ、同居人だろう。そんなに焦る必要ないのにな。そう考えているとドアが3回ノックされ、小さな声が聞こえた。
「はーい、今開けますね」
「ワ、ワァ!!」
ドアを開けた瞬間にその子は驚いて反射でぶっ飛び、持っていた荷物を床にばらまいてしまった。
「ご、ごめんなさい!!すぐ片づけますから」
「大丈夫ですよ、手伝います。……あなたの部屋、ここなんですか?」
「は、はい……てことはあなたも?」
「うん、よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします……。ぼ、僕は紫雲薫って言います。専門は機械系で、学籍番号は2616です」
2616.……?
ということは、悪魔…?