覚悟
「まず最初に翼。お前はもう悪魔と契約した、ただの人間じゃないってことだけ頭に入れておけ。お前の人生を変える代わりに悪魔の仕事を手伝ってもらう。これが契約内容だ。
次に、さっき翡翠も言っていたがお前は2年A組の36番としてうちに転校してきた生徒となっている。表向きは普通の生徒だが、裏は違う。お前にはこれから天使と戦うためにそして、お前自身の人生を変えるために特訓をしてもらう。昔の二の舞が嫌なのであれば全力で取り組むことをお勧めするよ。
最後に、だ。黒月魔術学園の裏に隠れている悪魔の組織、通称 雲隠という物が存在する。学生ではあるが、もう悪魔と契約したものたちはそこの一員として働いてもらう。
緊急時、もしくは仕事が割り振られた際はしっかりとこなしてもらう。それができるように、訓練を怠らないように。
……とまぁ、こんな感じだ。堅苦しくはなったが、そう気負わなくていい。これは学園長の意向で、新入生が来たときにはこんなふうにやってるらしい。まぁ俺は知らんけど」
シキが笑いながら説明する。なんか安心したな。また初手から殺されるのかと思ったよ。
「そういえば、シキって悪魔なんだよね?」
「あぁ。そうだけど?」
「この学校の先生もやってるの?」
「いいや、そういうわけじゃない。というか、教師は基本人間がやってるよ。悪魔と契約した奴らか、悪魔に命を救われた奴らかが働いてる。もちろん、生徒には悪魔なんて知らない子もいるがな。
正直、知らないのならそれが一番だ。一度かかわってしまったら、その因果から抜け出すことはできない。悪魔は基本人間にバレてはならない。悪魔がいることが人間の間に広まったら、良い印象を持つ者なんてごく少数だろう。それに、天使が人間を味方につけたら俺らに勝ち目はない。だから、互いのためにも適当にやるわけにはいかないしな。
っていう理由で、悪魔は教師ができないんだ」
なるほどな。シキも苦労してんだな。まぁ苦労してなかったら俺のところになんて来るわけがないか、
せっかくもらったチャンスだ。人生変えるために。今までの無力の自分を消し去るために。覚悟を決めるぞ、俺。やるべきことをやるんだ。
「それじゃあ翼。まずは、学園長のとこに挨拶に行こうか」
「うん。その前に、手錠外してもらっていい?」
「あぁ悪い、忘れてたよ」
こうして、俺の悪魔としての生活がスタートした。