少女と旅立ち③
村につくと祈りの舞が始まった。村の娘たち二人が舞を、男たちが太鼓を叩きリズムを奏でる。リオンの言った通りそれは流麗で美しい舞だった。その舞が終わった後は村のものたちが村長が前へ出て挨拶をした。
「皆のもの、改めて今日は喜ばしい日だ。娘のリオンと旅の勇者シドロのおかげで長らく苦しんできた湖の魔物たちから解放されたのだ!」
村の民たちが一斉に拍手をした。シドロがリオンに目を向けると少し照れくさそうに笑っている。
「今日は勇者様に感謝すると共に思う存分楽しんでいこう!」
村長の挨拶が終わると村人たちはたくさんの料理を運んできた。
「勇者さまお食べください!」
「あっ、ありがとう。」
色とりどりの野菜が乗ったサラダが運ばれてきた。一口食べると新鮮さを感じる瑞々しかった。
「うん。とてもおいしい。」
「ありがとうございます。他にもたくさん美味しい野菜や果物がありますので食べたいってください。」
「わかった。ありがとう。」
「それでは!」
運んできた女性は皿を置いてどこかへ行った。
「……あーなんかむかついた。」
雑踏の中で、ものすごく小さな声でつぶやいたが聞こえてしまった。
「……ははっ。」
シドロは苦笑いを浮かべた。
「シドロ!どう?楽しんでくれてる?」
リオンが楽しそうに料理を両手に持って現れた。
「あぁ。招待してくれてありがとう。」
「ううん。お礼だもん。当然だよ!」
リオンが笑顔で答える。
「それよりこの果物食べてみて!とっても美味しんだよ!」
手に持った皿を渡してきた。シドロはそれを一つ受け取り口に含む。
「美味しいな。本当に作物が豊かな村なんだな。」
「今年はこれでも魔物たちに荒らされてたから少ない方。来年はきっともっとたくさんの作物が食べられると思う。」
「そうなんだな。ますます魔物を退治できてよかったよ。」
「うん。みんな楽しそうに笑っててとっても嬉しい。守れてよかった。」
リオンが寂しそうに遠く見つめていた。
「ずっとこんな景色を見ていたいな。」
リオンがポツリと呟いた。
「そのために、俺は世界中を旅して救いながら、魔王を倒す。リオンは村のみんなを守ってくれ。」
シドロは決意をこめ呟いた。
「明日には行っちゃうんだよね。」
「あぁ。」
リオンは何かをいいたげだったが、数秒の沈黙が流れる。
「リオン、ありがとな。色々久しぶりで楽しかったよ。」
「…私は別に何もしてないよ。」
「リオンはすごいよ。また、世界を救った後この村に遊びに来るからその時はよろしくな。」
「うん。私も目に焼き付けておかないとね。」
「ん?どういう意味だ?」
リオンはイタズラっぽく笑っていた。
「あーあ。もう!これもってて!」
リオンはシドロに皿を押しつけるとさっきまで祈りの舞を行われていた舞台に飛び乗り舞を踊り始めた。
「リオンねぇちゃんかっこいい!」
「わはは、リオンいいぞいいぞ!」
舞台の上で舞うリオンは衣装を着ているわけではなかったが、とても綺麗で美しく生き生きとしていた。シドロは思わず笑みを浮かべてしまった。
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祭りが終わり、シドロはまた湖の横の洞窟に帰っていった。明日の朝にはまた旅に出る予定だ。
「はぁ、なかなか楽しいお祭りだった。」
「よかったですね。以前まではあぁいうお祭りには時々呼ばれていましたけれど。」
「あんな村の生活を守るためにも早く魔王をたおさないとな。」
「そうですね。」
「さて、もう寝るか明日からはまたしばらくゆっくり寝られないかもしれないからな。」
シドロはそのまま眠りについた。
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その頃村ではお祭りの片付けが終わり、皆が家で眠りについていた。
「お父さん、お疲れ様。」
リオンがお茶を入れて村長の前に置く。
「あぁ。ありがとう。今年のお祭りも上手くいってよかったよ。リオンもありがとう。」
「私は何もしてないよ。」
「いやいや、湖の魔物を退治してくれたのはリオンだ。それがなければ私たちは今も怯えて過ごしていたことだろう。」
「みんなを助けたい一心だったから。」
リオンは照れくさそうにしたを向いている。
「……リオン、悪かったな。」
「なんのこと?」
「あの男だ。大した話も聞かずに追い出してしまった。本当に申し訳ないと思っている。」
「もう気にしてない。シドロも許したって言ってたし。」
「そうか。さて、明日からまた頑張るとするか!」
「うん。そうだね。」
「それじゃあ、私はもう少しまとめたいことがあるからリオンは先におやすみ。」
「うん…。」
リオンはベッドの方に向かって歩いていくが、その足が止まった。
「あのね、お父さん。」
「うん?どうした。」
「実は話したいことがあって。」




