少女と旅立ち②
「おぉ。リオン!戻ったか!急にいなくなったんでみんな心配していたんだぞ。」
「ごめんなさい。ちょっと色々。」
「まぁ、いいんだお前が無事なら。」
村長がリオンの肩を叩いて言った。
「さぁ、祈りを捧げ村の祭りを始めようか!」
村のみんなに呼びかける。
「あの!みんな聞いて!」
リオンが大きな声を上げて全員の目を集める。
「どうした?」
「湖の魔物は全部倒した。だから、もう怯える必要はないんだよ!」
村人たちは一瞬の沈黙の後わさわさと話し始めた。
「それは、本当か?」
「うん。シドロと私で全部倒したの。」
「あの男と?」
「うん。みんな聞いて。あの人は世界を救うために旅をしている勇者なの。この村を追い出されたのに命をかけてこの村を守ろうとした。」
ほんとう?湖の魔物が消えた?村人たちは口々に何かを言っている。
「俄には信じられん。それに、お前を巻き込むなんてやはり…。」
「私が勝手に行ったの。シドロは来てはダメだと言っていた。でも、村のみんなのことを守りたい。シドロのことをみんなが誤解したままなのはどうしてもと思って。それで…」
リオンが必死な口調で話す。
「…その男は今どこに?」
「…多分湖のそばにまだいると思う。」
「そうか、わかった。」
それを確認すると村長は村人全員に呼びかけた。
「皆のもの。この祭の日になんと我々の脅威であった魔物は全て倒された。私の娘リオンと勇者とやらによってな。」
「お父さん…。」
「だから今日は喜ばしい日だ!皆でリオンと、その男に感謝をしお祝いをしようではないか!」
その言葉を聞いて、村人たちは大いに盛り上がった!
「リオン!すごいぞ!」
「リオン!ありがとう!」
「リオンねぇちゃんかっこいい!」
リオンへの賞賛があちらこちらから飛ばされる。
「…みんな、ありがとう。」
リオンは少し照れくさそうに笑っている。
「さぁ、みんないけすかないやつではあるが勇者とやらを迎えに湖へ行くぞ!
「おぉーー!」
村人たちは湖へ向かっていくのであった。
ーーーーー
シドロは湖のそばの小さな洞窟で、休息をとっていた。
「ここにまだいる気なのですか?」
「まぁ、あと1日だけな。」
シドロは横になりながら答える。
「リオンが1日待って欲しいと言っていたんだ。聞いてあげない義理もないだろう?」
「それは、そうなのですが。」
「まぁ、アリーの言いたいこともわかる。この村だけじゃなく、あちらこちらで助けを求めている人たちがいるってことは。」
「……」
「だけど素直に少し疲れた。休みながらじゃないと今は体が持たない。なんせ、一人なんでな。」
シドロが少し冷笑しながらいった。
「…あなたはバカですね?私が心配しているのはそうではなく…」
その時わらわらと声が聞こえた。
「なんの音でしょう?」
「リオンの村の祭りの舞だろう。」
シドロは対して気にも留めていない。
「ここは少し離れた場所にあるから祭りを邪魔する心配も…。」
「いた!なんでこんなところにいるの?シドロ」
「リオン?何しにきた?」
洞窟の入り口にはリオンがたっていた。
「みんないました!」
リオンが呼びかけると村の人たちが次々と近づいてきた。
「な、なんだ?」
そして村長が前にやってきて、数秒の沈黙の後頭を下げた。
「この度は我々を救っていただきありがとうございました。」
シドロは呆気に取られてしまった。
「い、いや。それは当然のことをしただけなので。それに、リオンがいてくれたからというか。」
「…いちいちムカつくやつだな。ここは素直に感謝を受け入れなさい。」
「は、はぁ。すみません。」
「お父さん!」
「あぁ、すまない。」
リオンが横から小突いて注意をした。
「我々からできることはほとんどありませんが、せめて村のお祭りを楽しんで行ってくれませんか?」
村長が握手を求めながら言った。
「どうするのですか?」
「どうするって…。」
シドロは少し微笑み言った。
「ここで断る方がどう考えても失礼だろ。」
シドロは村長に握手をした。
「ありがとうございます。ぜひ参加させてください。」
「やったー!」
リオンの喜びの声と共に村の人たちも大きな声で歓声を上げた。
「勇者さまばんざーい!」
「勇者さま最高だー!」
シドロ久しぶりの光景を見てなんとも言えない感情になった。
「シドロ、行こう?」
リオンがシドロ手を引っ張った。
「あぁ。わかった。」
満面の笑顔で村の方へ向かうリオンにシドロもつい笑顔が溢れてしまう。
「…ありがとう、リオン。」
「ん?何か言った?」
「いや、なんでもない。」




