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勇者さまと湖の魔物

シドロは湖の近くについて寝転んでいた。水の音、草の匂いが気持ちいい。

「随分とカッコつけて出てきましたね。」

「いいだろう。その方がさっぱりとしてて。」

アリーからは舌打ちのような音が聞こえた気がする。

「それより良かったんですか?あの少女。」

「ちゃんと別れの挨拶もしたし、大丈夫だろ。」

「今のあなたにとって唯一普通に話すことのできる相手だったのに。もったいないです。何か呪いを解く手立てになりうるかもしれないのに。」

「呪いなら自分でなんとかする。教会に行けばそのヒントもあるだろうし。それに……。」

シドロは少し言葉を溜めた。

「……?」

「あのまま俺といるとリオンはあの村の中で孤立してしまうだろう。優しいやつだったから、俺を見限るようなことはできないだろうし。大好きな村の人たちに嫌われていくところなんか見たくないしな。」

リオンは村のことや祭りのこと、村人たちのことを話してくれたリオンのことを思い出していた。その表情はずっと優しい笑顔を浮かべていた。そんな彼女のことの日常を奪っていいはずはない。

「嫌われるのは俺だけで十分だ。」

シドロは伸びをしながら起き上がり呟いた。

「確かにそうですね。」

「おい、少しはフォローをしろよ。」

「………すみません。」

「やけに素直だな。」

「私にもわからないのです。シドロ様のこれまでのことを知っているからこそこんなにも苛立ちや嫌悪を持ってしまっている自分自身に。」

シドロは無言で石を見つめる。アリーはシドロにとって最初レインたちよりも前から旅をしているいわば相棒のような存在だったからだ。今のアリーの言葉は呪いにかかる前のアリーの言葉に少し似ていたので嬉しくなった。

「ありがとう。アリー。気にすんなって!すぐに呪いを解いてそんな気持ちは消してやるからよ。」

「あ、あまり調子に乗らないでください。業務外の会話はなるべくしないようにお願い致します。」

「へいへい。」

アリーがまた元の事務的な会話に戻った。

「それより、本当にこのあたりの魔物を一人で倒すつもりですか?」

「あぁ。そりゃあそのためにここに来たからな。おそらく俺がここにしばらくいるってわかってる以上村人は少なくても今日はこの湖には近づいてこない。」

シドロは村から出ていく時、村人たちの前でこの湖にいることを宣言した。それはここに村人たちを近づかないようにするためだ。明日になれば下見も兼ねて誰かはこの湖に来る。それまでにシドロはここらの魔物を片付ける気なのだ。

「どうしてそこまでするのですか?あなたのことを嫌っている人達のために。」

アリーは疑問を投げかける。

「理由なんかいるか?そこに困ってるやつがいたらそりゃあ助けられるなら助かるだろ。」

シドロは子どもじみた笑顔を見せていた。

「それに、今回に関しては一宿一飯の恩返しってやつもあるかな?」

「成る程。それもそうですね。愚問でした。失礼致しました。」

「いいよ、別に。ってなわけだからアリー、サポートは頼む。」

「承知致しました。敵の解析、分析はお任せください。」

「ありがとな。」

「………っっ。あくまで業務ですので勘違いなさらずに。」


アリーが舌打ちをしながら答えた。シドロは気を引き締める。湖の近くの魔物の気配は強く多いものだったからだ。


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