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勇者さまと村祭り④

次の日の朝シドロは外の騒がしい声で目を覚ました。

「なんだ?」

寝ぼけ眼を擦りながらドアの方へ近づく。昨日の明るい声とは違い何か責め立てるような声だ。ドアの方に近づくとリオンの声が微かに聞こえてきた。

「だから、まだだめなんだってば!」

「いい加減にしろ!あいつをいつまでおいておくつもりだ!」

村長の罵声が響く。扉の隙間から覗くと村長周りには村人たちがたくさんいる。

「まぁまぁ村長落ち着いて。」

「落ち着いてられるか!あんな腹立たしいやつと娘が1日中いたんだぞ?」

村人が止める声を村長は振り払い怒りをリオンにぶつけている。

「そういうことじゃないってば!傷ついてる人間をそんなふうに扱うってお父さんどうかしてる!」

「お前!いい加減にしないとそろそろ許さんぞ。」

「だから、もう。」

リオンは涙声だった。シドロは無言でその様子を見つめる。そのリオンの様子を見て放っておけなくなったのか他の村人が口を開く。

「まぁまぁリオンちゃんもこう言ってますし。我々もその人と話してみて判断してもいいじゃないですか?」

「そうですそうです。」

村人たちが口々に言った。

「いいよね?リオンちゃん。」

「えっと…。」

リオンは少し戸惑っている。素直にいいと言えない。リオンは昨日聞いてしまったからだ。人と話すと嫌われてしまう呪いにかけられていることを。ここで村人と話してしまっては全員が自分の父親と同じことになってしまう。

「どうしたんだい?」

「おいリオン!何かやましいことでもあるのか?」

リオンは項垂れている。シドロを守る方法が浮かばない。

「リオン!!!!」

村長が大きな声をあげた。

「あっ、だから、その。」

リオンは途切れ途切れの返事をした。

「もういい扉を開けるぞ!」

「待っ…」

リオンの静止を無視しして村長が扉を開けようとした時、扉は向こうのほうから開いた。

「どーもこんにちは村長さん!」

「なっ!お前。」

シドロが扉を開けて村長に話しかける。

「シドロ、駄目だよ。」

「大丈夫だから。リオン、昨日はありがとうな。あとは任せておけ。」

涙を目に溜めたリオンにシドロは優しい声で語りかける。

「村の人たちもわざわざ集まってくれてありがとうございます!歓迎会って感じですか?」

シドロは村人たちに大きな声で話しかける。

「なんなのこの人!」

「ムカつくな!」

「なんて偉そうなんだ。」

シドロに対する批判がどんどんと伝播し繋がっていく。

「でも、すみません。もう残念ながら今日この村を出て向こうの湖の方に暫くいることにしたので!いやー皆さんと一緒にもう少しお話ししていたかったんですけどね〜。残念残念!」

「何を言って…。」

「それじゃあ私はこれで!」

シドロが村人たちに背を向けて森の方へ向かっていく。

「待って。シドロ!」

「リオン!いい加減にしろ!」

村長がリオンの腕を掴み引き止める。

「そうよ!リオンちゃん。」

「あんなやつについていくな。」

村人たちも続いた。リオンは無理にシドロを追いかけることはしなかった。

「……ごめんね。シドロ。」

リオンは小さな声で呟いた。


「さぁ、目障りなやつも帰ったことだし村祭りの準備を続けるとするか。リオンも手伝ってくれよ。」

「うん。わかった。」

リオンは力のない返事をした。

シドロが見えなくなるのを確認した後、全員が散り散りになって帰っていく。リオンもとぼとぼと家の中に入った。ドアを閉めようとした時外から声が聞こえた。

「しかし、困ったな。あいついつまで湖にいる気だろうな。」

「こりゃ、今年の儀式も村でやることになるかもな。」

リオンはさっきは必死だったため、言葉を汲み取ることができていなかった。村人のその会話を聞いてリオンはシドロの言葉の任せておけの意味がわかった。


「まさか、魔物を…。」

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