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勇者さまと村祭り②

「ね、ねぇどうしたのお父さん?」

「こいつを見てると腹が立ってしょうがないんだ!」

声をあららげてる父親の姿にリオンは困惑しているようだ。

「リオン、こいつを追い出してくれ!不愉快だ。」

「お父さん落ち着いて!」

「……わかった。すぐ出ていくから。」

「あぁ!そうしてくれ!」

リオンはベッドから立ちあがろうとする。

「待って、まだダメだよ。しっかり休まないと。」

「何を言ってるんだリオン。早く追い…。」

「お父さんこそ何を言ってるの?この人は私を魔物から助けてくれたんだよ?そのせいで怪我もしてるし…。そんな人を無碍に追い出せってどうかしてるよ!」

「リオン…。」

リオンの危機迫る表情に村長は無言になった。

「せめて怪我が良くなるまでは置いていていいでしょ?」

「……だがな。」

「……おねがい。」

「わかった。怪我が治るまでだ。」

「ありがとう。お父さん。」

「その間私はこの家ではなく祭りの実行係の家に泊まることにする。こんなやつとは一緒にいられないからな。」

「そうしてくれる。」

「リオン、こいつに余計な感情は持つなよ?」

「当たり前でしょ。」

「お前も娘に何かあったら容赦しないからな?」

村長は捨て台詞を吐き部屋から出ていった。

「リオン。すまない。父親と喧嘩させてしまった。」

「いいよ、別に。」

リオンは振り返らずに答える。

「でも、どうしてそこまで庇ってくれたんだ。」

「変な勘違いはしないで。私はただ、自分を助けてくれた恩を返したいだけだから。」

リオンはようやく振り返って言った。

「それより、どういうことなの?お父さんのあの様子普通じゃなかった。」

リオンがシドロに詰め寄る。

「…呪いなんだ。」

「えっ?」

「前に洞窟にいた魔物を倒した時にかけられた呪いだ。人と会話を交わすとその人に嫌われてしまう。」

「会話をすると、嫌われる。なんなのその呪い。」

「俺もよくわからないんだ。そのせいで長らく一緒にいたパーティのメンバーにも嫌われてしまって別れたばかりなんだ。」

シドロは寂しげに語った。リオンは目を下に落として答えた。

「1人の理由、そういうことだったんだ。」

「あぁ。そうだ。」

「少し疑問だったんだ。最初は生意気な態度とかが原因で1人になったんだって思ってたけど、あなたと話してる時そんな風には思えなかったから。」

リオンは少しだけ笑って見せた。

「すごく、辛かったよね。だからこんなに疲れてたんだね。」

シドロは少し強く瞬きをするだけだった。リオンの一言でパーティのメンバーのことを思い出していたのだ。

「それより、リオン。」

「ん?」

「もう一度聞きたいんだが、リオンは嫌いになってないのか?」

「今のところそうみたい。特に苛立ちみたいなのはないかな。」

「そうか…。」

シドロは顎に手を当てて考え始める。

「リオンは特別な人なのか…?」

シドロは少し揶揄うような言い方にリオンは一気に顔を赤くする。

「はっ?はぁ?何言ってるの。今のは少しムカつくかも。」

「ははっ。ごめんごめん。」

「とっ、とにかく理由はわからないけど今の所まともにあなたと話せるのは私だけみたいだから。何かあったら私に言って。」

リオンはバタバタと台所の方に歩いて行った。

「あっ。わかってると思うけど勝手に外に出たりしたらダメだからね?他の村の人たちに嫌われたらややこしいから。」

その足を止めてリオンは言い残してまた台所いった。

それを確認するとシドロは再び石を取り出した。

「よかったですね。あなたとまともに話せるような人に出会えて。私には考えられません。」

「そうだな。理由はやっぱりわからないのか?」

「はい。よくわかりませんでした。」

「そうか…。」

「十分な休息を取ることができてよかったですね。」

「あぁ。確かにな、でも。」

「…?どうかしましたか?」

「そう長くはいられないよ。」


シドロは台所の方を眺めて言ったのだった。

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