第1話 少年
もう何百回同じ朝を繰り返しただろう。
きっと数時間後には今までと同じ昼がやってきて、また今までと同じ夜がやってくる。
ある日突然訪れた繰り返しの日々。
それに巻き込まれた俺は、延々と同じ時間を繰り返し続けている。
終わりは見えない。
終わる気配はない。
ループが起こった原因は不明。
ヒロインが死んだわけでもない。
何か巨大な陰謀に首を突っ込んだわけでもない。
驚愕的な発明品を生み出して、うっかり作動させたわけでもない。
それは唐突に始まって、今も続いている悲劇。
何度も引き延ばされた、先の見えない出口。
いつまでも終わりがやってこないから、今の意味が薄れてしまった。
今の価値が薄れて、今にも曖昧になりそうだ。
だから、心を保つために色々な事をやった。
ある時は、聖人君子の様に手あたり次第に人々を幸せにして。
またある時は極悪非道の鬼のように、人々を不幸に突き落として。
けれど、それらがもたらした刺激も、膨大な時の前では無意味。
神の心でさえ、すりつぶせるかのような、圧倒的な時間という名の拷問。
代わり映えのない日々に絶望していた。
そしたら。
なんのきっかけも変化もなく突然やって来た、おかしな非日常が。
それは人の形をしていて、まるきり俺とは違う心を持っていて。
繰り返しの日々に彩りを添えていった。
やりつくしたゲーム。
読みつくした漫画。
知り尽くした物事。
それらを蹴って、殴って知らない未知で満たしていく。
突拍子のない行動するばかりのそれは、まるで無垢な子供みたいに純粋で、その無知さに既知の世界で振り回された。
例え世界が、永遠に繰り返されるとしても――
そんな日々も、君と一緒なら怖くはない。
そう思えたくらいに。
飽き尽くした日々。
枯れ尽くした世界。
色なくした日常。
それでも救いがどこからかやってきて、俺はそれに救われた。
鮮烈な輝きを放つ変化。
けれども。
もしも、そのの彩りにすら飽いて、枯れる日が来るのなら。
その時こそ、本当の死がやってくるのだろう。




