物資補給所殺人事件その2
「ないんだにゃ」
「何が?」
「コラット様がサイコメトリーするほどの強い思いが。何故だかわからにいにゃ」
ボルド到着後のコレットの一言だった。自分のことコラット様っていう神経がすごい。
「サイコメトリーが使えないのは、痛いな」
「サイコメトリーは、現場を判断する材料のひとつにゃ。だから、頼り過ぎはダメだにゃ!」
ビシッとコラットはボルドに指をつきつけた。
「正直、サイコメトリーができないことだけじゃなく真相の解明が難しいと言わざるえないのにゃ」
コラットは、少し暗い目をして、現場を見渡した。
「この事件は、物資補給所の閉店後に犯人が金庫のある事務所に侵入。金庫の管理をしていた女性と、そこにたまたまいたバイトの女の子2人を銃で射殺して逃走。金庫には銃痕。ただし、お金はそのまま取られずに残ってた。その後、犯人は捕まえられず1ヶ月経っている、と」
ボルドも暗い顔になり、話し始めた。それを受けてコラットと暗い声で言う。
「強い殺意があれば、サイコメトリーしやすい。それがないって時点で、強い恨みがなかったってことなのかも。女性3人の恐怖は弱い。特に、バイトの女の子2人はガムテープで後ろ手を一緒に縛られていて目隠しもされた状態で正確に頭を撃ち抜かれてたみたいだし。目撃者を抹消したって感覚なのかもにゃ。強盗目的ならお金を持って行ってない時点でおかしいにゃ」
「当日は近くで収穫祭が行われてたらしい。人の出入りが激しい日を選んでるのも、計画的なものみたいにみえる。近場の人間の仕業じゃ、ないのかも」
「でもにゃ、現場は碌に保護されず、犯人の痕跡も消えちゃったっていうにゃ。頼みの綱のコラット様のサイコメトリーも不発。解決は無理なんじゃないかにゃ〜」
「解決できない? 名探偵コラットなのに?」
コラットはぷぅーと頬を膨らました。
「ボルドくん、煽るねぇ〜」
「先輩!」
「コラットくんも、どうもね」
ボルドが先輩と呼ぶのは、軍の先輩であるパスティアだ。この現場の管轄なのだ。パスティがいろいろ情報を提供してくれたから、状況を把握することができた。
「名探偵コラットでも解決できないかな」
パスティは面白そうにコラットを見た。