補給物資所殺人事件その1
大吹雪の日だった。
キャッツカフェに一人の依頼者がきた。
「力を貸してくれ! 犯人を捕まえたいんだ!」
突然、乱暴にドアが開けられたと思ったら、猫科のくたびれた青年がそこにいた。
吹雪でびしょ濡れになっていた。相当追い詰められている様子だ。
「まずは、いらっしゃいませ。お客様、一旦お座りください。お客様は、落ち着く必要がありますにゃ」
コレットは依頼人を席へ誘導した。
「暖かいミルクを。これはお店からのプレゼントだにゃ」
準備してあったように、出てきていた。コラットは、まるで何も感じていないような当たり前の笑顔だった。ミルクを飲んだ依頼人は、少し落ち着いたようだ。
「何があったんだにゃ?」
「10歳の娘が殺された。死んだのは3人。不可解なことが多い。俺は、娘が死んだ真実が知りたい」
やりきれない思いが伝わってくる。この世界での成人は13歳だ。
「事件の解明をしてほしいってことだにゃ?」
「ああ、そうだ。猫の物資補給所で事件が起きた」
物資補給所はいろいろなところに点在しており、お金を払って食品などを入手する場所の名称だ。
「そこに行って調査だにゃ!」
「1人でいくのか?」
ベンガルがコラットに上目遣いで聞く。
「ベンガルは、キャッツカフェを頼むにゃ☆ 助手はいるにゃ、ボルドを呼んでほしいにゃ。犯人がいるとするならば、危険だにゃ。安全が確認できたら、必要に応じて、呼ぶからその時は頼むにゃ!」
コラットは生き生きしてた。彼女は、探偵の鏡だ。
「猫の領地なら、ボルドは現地でおk?」
スノーシューが連絡を飛ばそうとしていた。
「おkにゃ! お客様、心配いらないにゃ! この名探偵コラット様がいれば、安心だにゃ!」
「なんか、この人で大丈夫か? 不安しかないんだが」
依頼人の顔は不安で曇っていた。
「変な人だけど、腕は確か……だと思うから」
ソマリが引き攣った笑みでフォローした。