第3話 名探偵コラット爆誕
「ほうら、コラット様にかかれば、すぐ見つかるのにゃ!」
確かに、コラットの推理は当たり、羊の婚約者は見つかった。羊の農場研究施設で、周りには研究員などの外野がいた。
「もう、変わり果てた姿だけどね」
ボルドはため息をついた。
「真実を求める者に、真実を明け渡すのが探偵の仕事だにゃ☆」
「どれだけ格好良く言っても、残酷なことなのは確かだよ」
羊の女性は泣いていた。変わり果てた婚約者の姿を見て。
「僕らが調べたところによると、彼には特殊な力はなかったそうです。両親が特殊能力持ちなので、隠されていたようです。ですが、無能力が発覚してしまい、農場に送られて、家畜として処理された」
「死んだ人間は生き返らないにゃ。どうしようもないんだにゃ。元気出すにゃ☆」
「そんな無神経な言葉で元気になったら、苦労しませんよ」
「ボルドはうるさいにゃ。ここに、名探偵コラットが誕生したことを宣言するにゃ☆」
「全部僕が調べたことですけどね」
「細かい男だにゃ」
「もう少し、依頼人の気持ちを慮ってください」
「知りたい、と依頼人は言っていた。婚約者の両親が隠そうとしたにも関わらず。依頼通り、真実を求める者に与えるのが、私の仕事だにゃ」
その瞳は大きく見開いていた。幻想的な琥珀色の瞳が鋭く輝いていた。
「真実は人を追い詰めます。これで良かったとは到底思えませんが」
「この世界で生き残ることは容易なことではないんだにゃん。最強種族である雪豹にはわからないかもしれないけど、弱者として生まれた羊の運命がいいものかどうか、わからないにゃ」
コラットは、ビシッと指を依頼人に向けた。
「例え真実が依頼人を傷つけても、探偵である私は伝えなきゃいけないのにゃ!」
依頼人が犯人のように泣き崩れていた。そして、周りは解決か、というような安堵の空気になった。
「あぁ、迷探偵コラット爆誕……」
「ちょっと、こっちにくるにゃ」
コラットが、依頼人を抱きかかえていた。研究所内をしばらく歩いて扉に入った。
そこには、信じられない人物がいた。