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戦国生存記  作者: 現実逃避
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8、三国当主集結

天文九年(1540年)十一月


「なんとか間に合った………」

俺はそれしか言えなかった。

やっと完全な町1つが完成したのだった。しかも、各当主がやって来る五日前にだ。


大工等皆を集め、三国同盟が終わった後集まるようお触れを出して解散させた。

常備兵達の方は昌祐、昌豊のお陰で見栄えだけは良く出来た。まだ一度も実践訓練はしてないのが問題だが最低限は出来ていた。


俺は全軍常備兵三百人を集めて新しい鎧を渡していった。黒塗りの当世具足だ。この日のために作らせておいたのだった。当日はこの具足を着けるよう下知しておいた。



天文九年(1540年)十一月中旬

それぞれの当主と家臣、兵隊が集まってくる。


まず早かったのは諏訪頼重だ。

話によれば、十一月初旬に信虎の三女禰々が嫁いだそうだ。


諏訪頼重を初め、重臣と兵二千がやって来た。昌祐に直ぐに屋敷に案内をさせた。町の至る所に兵を配置している。父からの援軍(手伝い)は千人だ。


その者達は町の入り口や外周りを警備させている。

案内は俺の常備兵のみで行っている。


次に来たのは父義清と兄義利達だ。正直、ここに来るのは初めてだ。


大須賀や、屋代、小島等の重臣も町が出来ていることに呆けていた。


「義照、よくやった!これなら武田や諏訪の度肝を抜けるだろう!ハハハハ!!」

誉めながら俺の背中をバンバン叩いてくる。


「父上、痛いです………。誉めて貰うのは嬉しいですが、手持ちのお金が底を尽いたので後で全額請求します!」


(こんなの二度とごめんだ!)

抗議の意味も含めて請求するつもりだ。


「わかっておる!!後で渡すから安心せい。ハハハハ!これで、上に立てると言うものだ!」

父は大喜びし笑いながら屋敷に向かった。一応諏訪頼重が来ていることは伝えている。


ちなみに義利兄上にいくら金を使ったか尋ねられたのできちんと答えたら顔が真っ青になっていた。そりゃ、小城が二つも作れる額だもの。父義清がいくらくれるか楽しみだ。


父達は五千の兵でやって来ていた。砥石城等の城や佐久郡の警備を除いたほぼ全軍だ。一応、父の許可を貰ってそのうちの二千人を追加で借りることにした。でなければ手が足らないからだ。


父達が来て暫くして本命がやって来た。

武田軍だ。しかし、予定時刻よりかなり遅れてやってきた。

先頭は交渉役だった飯富虎昌だ。

俺は常備兵三百人を集めて入り口で待っていた。


「ようこそおいでになられました」

一番前の俺と工藤兄弟は頭を下げて出迎えた。


「出迎え忝ない。こちらにおわすのが我ら武田家が当主武田信虎様だ」

虎昌がそう言うと俺は後ろの方を見た。


老人まではいかないがかなり威圧感がある人物だった。


「その方何者か?」

信虎が聞いてきたので普通に答えた。


「村上義清が三男、義照にございます。この領地を父より預かっております。後ろにいるは我が配下にございます」


そう言うと二人は顔を上げた。すると、飯富を含め武田重臣の何人かは誰か気付いたようだった。


「お主ら、生きておったか!!」

そう言って、信虎の後ろから信虎より上くらいの年の男が出てきた。


「甘利、知り合いか?」

信虎は気付いていなかった。かつて自ら殺した者などどうでもよかったのだろう。後ろの二人(工藤兄弟)とも怒りで震えているのが分かった。


「御館様!この者達は工藤虎豊の子供らです!」


「工藤………っ!!」

甘利は驚きながらも答えた。信虎は思い出したかのように目を見開いていた


「裏切り者の一族か!このような所にいるとはな!」

信虎は太刀を抜いたので、俺も右手を上げて後ろの常備兵に槍を向けさせ弓を引かせた。

これには武田家臣達も驚いて信虎をかばおうとした。


「甲斐では裏切り者かも知れませんが、今は大事な我が家臣にございます。討とうとされるなら父や兄には申し訳ないですが我らも一切遠慮はいたしません」

信虎は、睨んできたが俺も負けずと睨み返した。大事な家臣を殺されてたまるか。


「義照殿と申されたか、父上が太刀を抜き申し訳ない。手を出さぬのでどうか退いて貰いたい」


一触即発の状態の中、若い男が出て来てそう言ったので、信虎を見た後、全員に武器を下げさせた。


「ええい!晴信!邪魔をするな!」


「父上!ここは村上の領地にございます。ここで殺せば、同盟は無くなり、我らはことごとく討ち取られましょう」


晴信は信虎に意見するが逆に信虎の怒りを上げた。


「兄上の申される通りにございます。父上、その者達は既に甲斐を離れております。殺す必要などありません!」

もう一人若い男が出てきた。俺と年は変わらないくらいだった。


「御館様、信繁様の仰る通りにございます。この者達は既に甲斐を離れた者、殺して同盟を無くすことなどすることはありません!」


重臣と信繁に説得されてようやく静かになった。


「……信繁の言うとおりだな………晴信!甲斐に戻った後覚えておれ!!」


そう言うと前に進みだしたので、昌祐と昌豊に案内させた。

武田は、五千もの兵を引き連れてやって来ていた。戦になれば殺されてたのは間違いないだろう。


武田軍が中に入って行きよると、晴信と信繁の二人がやって来た。


「先程は父上が申し訳ないことをした」


「父上は、何分短気で思慮に欠けるところがあるようで申し訳ない」


二人は馬から降りて頭を下げていた。


「こちらこそ、武田家当主に槍や弓を向けたことは申し訳ありませんでした。しかしながら、家臣を守るためには致し方なかったと御理解を頂きたく存じます」


そう言って俺は頭を下げた。


「さて、短い間ですがどうか、我が領地をごゆるりとお過ごし下さい...。戻られた後が大変でしょうし...」

俺が晴信を見ると、信繁も困ったように兄の晴信を見ていた。


「私が叱られるだけだ。気にするでない。しかし、義照殿は我が父上が恐ろしくなかったのか?噛みつくかと思うくらい睨んでおったが?」


晴信は、さっきの光景を思い出していた。あの父に正面から仕掛けた者を見るのは初めてだったからだ。


「呼び捨てで構いません。私の方がお二人よりも年下ですし」

それを聞いて二人は驚き、歳を聞いてきたので答えたらなお驚いていた。


「十三じゃと!...誠にその年なのか!私より上に見えたのだが....」


「わしも年上かと思うておった...」

信繁と晴信に年上と見られていたのか...。まぁ、既に身長が五尺三寸(159cm)はあるからそう見えるのだろう。

この時代、現代と比べて背が低い大人が多いしな。ちなみに、晴信は五尺一寸(153cm)しかない。


ちなみに兄弟で一番でかいのは馬鹿兄こと義勝だ。六尺(180cm)を越えている。そのお陰か槍の腕前も凄い。ただし、猪突猛進の馬鹿である。義利兄上はそれよりは低くて五尺七寸(171cm)を少し越えている位だ。

どうやら、村上家は長身の家のようだ。

ちなみに歳だと、義利兄上が十九歳で晴信と同い年、馬鹿兄(義勝)が十七歳で俺が十三歳だ


「人は見かけによらないな..」


「それは、晴信様にも言えるのでは?噂では詩ばかりやっているうつけと聞いてましたが全く違うようで...完全に油断してました」

俺がそう言うと、晴信も信繁も苦笑いをしていた。晴信はうつけを演じていた頃のことを言われ完全に騙せていたのかと少し残念がった。騙せていたなら、扱うのは簡単だったからだ。


俺はその後二人と後ろにいる兵達を屋敷へ案内するのだった。








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― 新着の感想 ―
[気になる点] >老人まではいかないがかなり威圧感がある人物だった。 老人ほどではないが高齢の割に威圧感はかなりある、と表現したかったのだろうけど、わかりづらいロジックを省略してるから意味不明な描写に…
[一言] 他国での盟約に当主だけでなく長男次男も同行とは。 外交儀礼なんて考えないだろうから酒の魅力おそるべし。
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