表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国生存記  作者: 現実逃避
45/180

45、帰国からの~...またか...

天文十九年(1550年)七月

美濃から戻って父達のいる葛尾城で今回の同盟内容を話した。

父達は内容に不服はあるが一応同盟を結べることに安堵した。しかし鉄砲のことと武田から奪い返す方法で頭を抱えていた。


「鉄砲五百丁とは...。それ程の数如何する?」


「いや、鉄砲よりも筑摩郡と北伊那を取り返さなければならんが、将軍家が仲裁したからこちらから手が出せぬ」


・・・鉄砲を生産していることを伝えるのをすっかり忘れていた。


その事を伝えたらやはり、怒鳴られた。まぁ、今回は俺が悪いから仕方ない。

父達は鉄砲を造っているとは思っておらず、全て買っていたと思っていたらしい。

...そんな銭何処にあるんだよ?

後、鉄砲を渡すことに関しては余り反発は無かった。

と、言うのも鉄砲は強力で高価だが、火薬と弾が無ければ宝の持ち腐れだからだ。

流石に俺も火薬と弾は販売していない。その為、道三は自力で集めなければならない。


それと、和議の件は将軍より上の者に許しを得たら良いと言ったら皆納得した。

史実とは違い俺達は朝廷との繋がりが強く、身近に孫の相手をしてのんびりしている公家もいるからだ。


・・・正直嫉妬している。特に産まれてから余り相手をして上げれなかった次男は俺には懐かず、義父にべったりだからだ。まだ二歳だけど...。



俺は父義清に朝廷に使者を立てて大義名分を受けるよう頼んだら、「お前が行け」の一言だった。


周りの重臣からも朝廷との縁が深く、帝からの覚えのある俺が一番だと言うのだった。


...一応、俺って次期当主になるのじゃないの?と思ったが父は何も言ってないので何も言わないことにした。


その後父達は飛騨攻めの話し合いを始めたので俺は城に戻ることにした。


上田城に戻ると直ぐに義父でもある九条稙通の元へ行った。

部屋に行くとやはり、妻の千と一緒におり、孫の千丸を抱いていた。


正直、ずるいと思った。千丸は俺が抱くと泣いてしまっていたからだ。

その度に千が落ち着かせている。


「義父上ハイイデスネー。千丸ヲ抱イテモ泣カレナクテー」


俺は怨みを込めて言った。


「ホホホ、それはお主は子の扱い方が下手じゃからでおじゃるよ。なぁー千丸や~」

稙通は何も気にせず言ってきた。千丸はきゃっきゃっと笑っていたので内心稙通への嫉妬で狂いそうになった。


「はぁ...。九条様、相談したいことがありますのでよろしいですか?」

真面目な話なので義父ではなく、様付けをした。


千や近くにいた女中も分かったようで千丸を連れて部屋を出ていった。


「朝廷に関することか?」

稙通もさっきまで孫相手にデレデレだった雰囲気は無くなり真面目になっていた。


俺は頷き、父達と話したことを説明した。稙通は黙って聞いていた。一応納得はしてくれたが、決めるのは主上(帝)であるとした。


その上で共に上洛してくれることになった。実際に上田城にいたので武田の蛮行を説明してくれるそうだ。


決まると行動は早く、直ぐにもう一人の義父(稙胤)にも書状を書き持っていかせた。それと、上洛するために通る国の領主にも通行許可の書状を出した。


ちなみに通るのは美濃斎藤家、伊勢北畠家、伊賀、山城だ。


伊賀は孫六の伝で百地丹波等伊賀三上忍に送り、山城は三好家に送った。

ちなみに、何故近江を通らず伊勢を通るかと言うと、糞将軍と幕府に近付きたくなかったからだ。


その頃、復旧兼改築中の長窪城に来客が来ていた。

「何卒、村上義照様にお取り次ぎをお願い致します」


男は伏して懇願していた。対応していた馬場信春も困っていた。一つは自分と同じで間者として送り込まれたのではないかということ、もう一つは自分と義照に殺意を持っているのではないかということでだった。


「しかし、其方の父は我らとの戦で討ち取られたではないか?怨みがあるのではないか?」


「裏切りや奇襲で討ち取られたのではありません。戦って破れたと聞きましたので怨みなどありません!」


信春は悩んだ末、義照に判断を仰ぐことにした。書状を送り、どうするか決めて貰うのだった。その間、目の前の男と家族は城下の屋敷に止めるのだった。



数日後

書状は俺の元に届き、それを読んで正直悩んだ。


「どうしようか...。十中八九武田からの間者だろうし...始末するか...」


「しかし、この者の父親は曲がったことが嫌いで小田井原では見事な最期を遂げた夜叉美濃ですぞ?」


馬場から原盛胤が甲斐を追放されたので召し抱えて欲しいと頼みに来たのでどうすべきかと書いてあった。

恐らく、前に追放された者達が皆召し抱えられたと聞いて送り込んできたのだろう。


俺は知らなかったが、あの夜叉美濃(原虎胤)の子供らしく、武勇も父譲りらしい。それを聞いたら殺すには惜しかった。


後、この前直臣にした原昌胤と同じ一族かと思ったら無関係らしい。


結局悩んだ末、召し抱えるが馬場の元に置いておくことにした。勿論家族は人質としてこちら(上田城)で預かる。馬場には間者だろうから油断するなと厳命した。それと、陽炎衆に監視と盛胤の話が本当かの確認を行わせるのであった。


天文十九年(1550年)十一月

あれから四ヶ月が経ってやっと各地の通行の許可が取れた。やはり三好が一番の時間がかかった。

三千の兵を連れていくと伝えたので、将軍の味方になるのではと思われたそうだ。

俺は近江を通らない理由が将軍に会いたくないから。それにもし将軍が京で戦を起こすなら帝を守るために蹴散らそうと送ったら見張りをつけるけど認めると言うことになった。

上洛は雪が溶けた来年三月にすることになった。



その頃


仁科の木舟城では宴会が行われていた。

「いやはやまさか、江馬時盛も三木直頼がこんなにも早く降伏するとは思わなかったぞ!」


飛騨攻めは村上義清、八千、仁科義勝(馬鹿兄)、四千、高梨政頼、三千の合計一万五千で攻めた。


江馬も三木もまさか、そんな大軍で攻めてくるとは思わず、各個撃破され人質を出して降伏したのだった。


予定では飛騨国人衆が連合で向かってくると思っていたので最低二年はかかると予想していたのだったが、蓋を開ければ連合等せずいがみ合った末、共倒れだった。

残っているのは内ヶ島家のみだった。


「これで残すは武田から信濃を取り返すだけだな!」


「我らも約束を果たして貰った。予定通り、飛騨は盛政殿に預けよう!ただし、江馬と三木の人質は我らが貰う!よろしいな?」


「義清殿、分かりもうした。政頼殿、約束通り水内郡の我が領地の一部をお譲りしよう!」


村上、仁科、高梨の三当主は上機嫌だった。

それぞれが目的があり、全員が目的のものを手に入れたからだ。


村上義清は美濃と木曾郡に繋がる領地が欲しくて今回の飛騨を制圧したことにより目的が果たされ、仁科盛政は村上に臣従し家臣となったが代わりに飛騨と現在有している安曇郡と水内郡の一部を所領として貰うこと、高梨政頼は仁科盛政の領地だった水内郡の一部を貰い、自身の領地を増やしたいのが目的だった。


「後は、反抗する内ヶ島を抑えれば問題無い!義清殿、政頼殿、後は我ら(仁科)で片付け申す。義清殿、来年六月には内政に優れた者を送って下され!正国だけでは正重のように倒れてしまう」


今、仁科の内政を一手に預かっているのは義勝の傅役だった屋代正重の息子、正国だ。と言うのも、義勝配下は武闘派ばかりで内政に詳しかったのは義照から学んだ正重だけだった。


正重は仁科家臣を集めて内政を教えていったが、教え終わる前に正重が過労で倒れてしまったのだった。正国は父にずっと付いていたので内政を学び終わっていたのだ。その為、正重に代わり一手に預かっている。


「分かっておる。一人送るから安心せい!」


宴をしながら三人は今後について話していくのだった。しかし、後に今回の決め事が大きな火種になるとはこの時思っても見なかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「後は、反抗する内ヶ島を抑えれば問題ない!後は我ら(仁科)で片付け申す」 あっ察し、これは負ける、残ったのが内ヶ島じゃ三国合同で攻めてもムリー
[気になる点] 斎藤は鉄砲を売るとは思えないけど(売れば大金)上洛の途中でまた声かけられそうだわ。後どうせ京へ向かって朝廷と話をしたら当然将軍にも会いに来るよな?って将軍家から声かけられてあわよくば金…
[一言] スパイなのが濃厚な者を受け入れる(二度目) それと鉄砲は斉藤が使える使えない以前に普通に売ればいくらすると思ってんのか… 斉藤が仮に使わず売るだけで莫大な利益です
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ