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戦国生存記  作者: 現実逃避
32/180

32、現状

天文十六年(1547年)十月

長く城を開けすぎていた為に正直心配だった。

孫六から落城したとは連絡が来てないので大丈夫とは思う。


内山城には家臣とした反武田勢の望月信雅を城代にし、長窪城に須田満国、志賀城に平賀元貞、平賀元成を置いている。


本当は望月城を返したかったが、戦後放置され廃城になっていたので建て直すまでは内山城を任すことにした。


幸隆も松尾城に帰すことにした。今まで気にしながらもよくやってくれていた。後日城に来るようには指示をした。



「やっと帰ってきたが...これはどう言うことだ?」

城に入ると三の丸には多くの怪我人がいた。

まだ、兵士なら分かるが年寄りや女子供を含む民がほとんどだった。

すると、孫六が俺の元にやって来て伏して頭を下げた。


「申し訳ありません!言いつけを守れませんでした!」

孫六に事情を聴くと俺は耳を疑いたくなった。


俺達が武田と戦をしている頃、上田城は義利から三回襲撃を受けた。

全ての戦で追い返したが、三回目の時に惨劇が起きた。


義利が謀反を起こして武田に付くと発表すると、領内の百姓達は伊奈郡や諏訪郡など武田の領地になった後の重税のことを思いだし、俺の所に逃げ出してきた。


その他にも父に従っており、義利の考えに賛同できない者達も集まり、周辺で大移動があり、ごった返していたそうだ。


孫六は言いつけ通り門を開かなかったが、義利の軍が攻めてきて、逃げてきた民や兵を殺していったので見捨てることができず門を開いて民達を迎え入れ、敵を撃退したそうだ。


「いや、よく民を救ってくれた!!」

俺は孫六を労うと、孫六は義利に賛同できない家臣達が集めれられた所に案内された。

居たのは村上家で譜代であり重臣や名のある家臣達だった。


楽岩寺光氏、西条義忠、森村清秀、信田隆生、塩崎八郎、五加重成、高坂範重などだ。


村上三大老の楽岩寺光氏と村上八人衆と呼ばれている六人だった。


「皆、無事だったか!」


「義照様、申し訳ありません!!殿(義清)をお守りすることができませんでした!!」

直ぐに片腕を吊っている光氏が頭を下げてきた。


話を詳しく聴くと、光氏と義忠、清秀の三人は父と共に本陣に居たそうで、義利の謀反で一部家臣と地侍達が義利に付き、本陣に乗り込んできたそうだ。


応戦したが敵の数が多く、山田国政、薬師寺清三等と父を連れて脱出したまでは良かったが、国政と清三が殿しんがりとして残った後、父とはぐれたそうだ。


探したが見つからず仕方なく味方を率いて撤退し、霞城の周辺で義利の軍と一戦した後、ここを目指してやって来たらしい。

ただ、孫六の話だと三度目の襲撃を撃退できたのは楽岩寺達が敵の背を突いてくれたからなので感謝はしている。


「父上は兄上が捕らえているそうだ。今は葛尾城におる。生きておるから希望はあるぞ」


俺がそう言うと三人は直ぐに救出の為に出陣するよう言ってきたが、直ぐには動けなかった。


これから雪になるのと今回常備兵の死者は少ないが負傷者は多かったので動ける状態では無かった。


俺達が帰城した後も民や傷ついた兵士達がやって来ていたので保護したがそれらの対応に追われることになった。



天文十六年(1547年)十一月

俺は重臣、主な家臣達を集めた。他にも逃れてきた者達も参加させた。


参加者は以下の通りだ。


直臣(重臣、家臣)

工藤昌祐、真田幸隆、鵜飼孫六、須田満国


工藤昌豊、馬場信春、出浦清種、矢沢頼綱、望月信雅


義清配下

楽岩寺光氏、須田新左衛門、西条義忠、森村清秀、信田隆生、高坂範重、常田隆永等


重臣の須田新左衛門は砥石城に、常田隆永は松尾城に逃げ込んだらしく、幸隆と頼綱が連れてきた。


「皆集まったな。孫六、状況の説明をしてくれ」

孫六が周辺の状況を説明してくれた。


まず、武田は完全に自国に戻り大人しくしている。一部では反乱の芽が出ているようだが、板垣が中心となって潰しているそうだ。晴信は館から姿を現わしてないようだ。


次に信濃守護小笠原長時だが、正直呆れるしかない話だった。自身の領地の桐原城、大家城が兄に組みしたのにも関わらず、諏訪の地を狙っているそうだ。原因は諏訪から逃げ込んでいる高遠頼継で、俺達が武田に勝利したのを見て長時を煽っているようだ。年が明けたら攻め込むだろう。


馬鹿兄(義勝)の嫁いだ仁科にも、兄義利に組みした者がいたが直ぐに馬鹿兄が「ヨッシャァァァァ!!」と大喜びで出陣し始末して影響は最小限に収まったらしい。

なんでも裏切った者達は、馬鹿兄のあまりにも早い侵攻に驚き降伏しようと使者を送ったが、兄を含め来ていた全員が目と耳を塞いで、「何も聞こえない。何も見ていない」と言って使者を始末し攻め滅ぼしたらしい。


まともな戦が無かっただけにストレスでも溜まっていたのだろうか、かなり徹底的に滅ぼしたらしい。...ある意味裏切った者達は不幸だっただろう。

てか、戦に参加した全員が見て見ぬふりするなんて....。


その後、義父の仁科盛政も動いて家臣の動揺を抑え、国境を固めているそうだ。


問題の義利兄上は葛尾城、青柳城、霞城、桐原城、山家城を抑え、領地は父の本拠地、葛尾城を中心に、埴科郡、更級郡、水内郡、高井郡等、石高にしておよそ八万石近くを制圧したそうだ。


今は残った家臣をまとめ上げ、俺(義照)や馬鹿兄(義勝)に備えているようだ。それと頻繁に武田とやり取りをしている。

それと、高梨と和議を結ぼうと動いている。

後、父達(義清)は葛尾城に閉じ込められ、厳重に監視されている。どうも兄は殺さず追放すると言っているそうだ。


仮にそれなら、移送の道中強襲するつもりでいるので監視を強めている。


兄に付いた家臣は分かっているだけで、


清野信秀、石川長昌、大須賀久兵衛尉、小島五郎左衛門、雨宮正利、竹鼻虎正、滝沢盛政、吾妻清兼、井上政満、綿内満行などだ。

後、弟の義邦も兄に付いたようだ。


兵力は推定6000~10000と俺より少ない。原因の一つに、俺と違って常備兵が少ないことがあげられる。武田の重税を恐れて民が逃げ出したので領民自体少なくなっている為だ。その分俺の方が兵力は勝っている。


こちらに流れてくる者がまだいるので恐らくまだ減ると思う。


俺達の状況は以下の通りだ。


領地

小県郡、佐久郡を中心に五万八千石

(佐久はこの前の戦で手に入れた分)


最大兵力

常備兵 6000(追加で2000程各地で募集中)


領民兵 4800 (男性15~50歳まで徴兵)


地侍の兵 3000(およそ)


兄から逃れてきた兵

およそ2000弱(まだ増え続けている)



計およそ15800


その他

陽炎衆(忍) 900(各地の忍(商人)を含む)



味方(父の家臣)


楽岩寺光氏、須田新左衛門、西条義忠、森村清秀、信田隆生、高坂範重、常田隆永、塩崎八郎、五加重成、など


といった感じだ。


やはり、父の奪還を言う者が多い。俺も父と母や末の弟を救出したいが、やはり、見張りも多く守りも固い。兄達(義利)は俺が忍を持っていることも知っているので警戒を怠ることはないだろう。


と言いつつも数人既に潜り込ませている。正確には謀反を起こす前から入れていた者達だ。しかし、十人足らずなのでまだ動く訳にはいかない。


なので、今後の予定と目標を立てることにした。


1、父(義清)の救出


2、領地の奪還


3、義利兄上の捕縛


4、武田への反抗


5、信濃統一(最悪連合体として)


と大きく目的を出した。

信濃統一に関しては俺がやってしまえば良いのではと言う者もいたが、馬鹿兄のいる仁科、高梨、糞守護(叔父)がまだいるので無理だと伝えた。それに楽岩寺や須田には悪いけど、高梨政頼とは和議を結んで裾花川すそばなかわと須坂辺りで手打ちにしたいと思っている。

でなければ、北から毘沙門天が来るのが目に見えている。

毘沙門天と甲斐の虎を同時に相手なんて死んでも御免だ! そんな事になるなら、直ぐに逃げてやる!


俺はまず、仁科と小笠原に使者を送り、仁科には父と領地の奪還、馬鹿守護には元小笠原家の桐原城、大家城の扱いについて交渉することにした。


仁科には楽岩寺が、小笠原には須田が行ってくれるようになったので頼むことにした。どちらも重臣中の重臣なので相手にも失礼はないだろう。


孫六には義利兄上達と武田の監視、領地の忍狩り、そして、兄に付いた地侍や家臣達の暗殺を任せている。


兄を殺るのは抵抗があるが、他の付いていった者達は別だ。容赦はしない。

自身の決断と兄を怨みながら死んでいって貰おう...。

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― 新着の感想 ―
[一言] 冬の間に暗殺ですか、雪が溶けるのといっしょに消えて無くなってそうですね>義利軍 家臣と地侍が死んでたら領民兵は集められないでしょう 小笠原が諏訪を攻めるのは意外と正解だったり、どっちにしろ困…
[一言] ねがえり兄貴民衆まで巻き込んだ虐殺は悪手だわな。
[一言] 両者とも兵站や今後の収穫に影響する地元での戦いだからこそできる根こそぎ動員ですね。 もともと直接の現金収入がない長男側はじり貧ですが領内での戦闘の危険が出てくると主人公の生産と交易にもかな…
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