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戦国生存記  作者: 現実逃避
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1、何事も急に起こる

天文六年(1537年)九月


俺は城の櫓から一人、城下や周りの風景を見ていた。

どれくらい時間が経ったか分からないが見ていて飽きなかった。


「もう、八年も経つのか...」

一人ポツリと呟き、これからどうするか悩んでいた。


現在十歳、しかし中身の年は三十歳だ。仕事から帰り、いつものように家で本を読んでいたところまでは覚えている。しかし、その後目を覚ましたら知らない天井、そして赤子になっていた。


始め何が何だか分からなかったのでなるようになればいいかと思った。

しばらくして、過去の日本に転生してしまっていることに気付いた。

周りの人の話から今が戦国時代で、ここが信州(信濃の国)で

俺は領主の三男だと言うことが分かった。そして、自分がどういう目に遭うかも....。


「若!何をされてるのですか~!殿がお呼びですよ!」

一人で考えながら外を見ていると近習の一人が呼びに来た。


「昌豊か、わかった!今行く!」

俺はそう言うと櫓から降りて昌豊と共に父の元へ向かうのだった。


「若、見てるのは良いですが、また一人で城の外へは出ないで下さいよ。私も兄上も殿に叱責を食らうのですから...」


「分かってるって。昌豊、私がそんなに信用ならないんか?」


「なりません。既に三度目ですので。兄上と私がどれだけ叱られたことか...」

俺は呼びに来た家臣こと、工藤昌豊に聞いたが、直ぐに否定された。


「もうしないって。次やったら父上に何を言われるか...」

既に三度城を抜け出して、工藤兄弟に捕まり、三人で父上に激怒され、次は無いと釘を刺されていた。


「若、お急ぎ下さい!昌豊も急げ!何やら大事な話らしいからな!」

そう言って手招きするのは昌豊の兄昌佑だ。


工藤兄弟は俺が初めて父に無理を言って家臣にして貰った者達だ。


工藤昌豊の方は別名で有名だ。別名、内藤昌豊、武田四天王として有名だが、初めから武田信玄の家臣だった訳ではなかった。


何故なら、二人の父親は武田家臣だったが信玄の父親信虎に父親を殺され一時的に放浪者の身となり、後に信玄によって甲斐に戻されたのであった。


で、その放浪しているところを父上に無理を言って召し抱えて貰い、俺の近習として働いて貰っている。


さて、父の部屋に着いたら兄達もいた。長兄、義利と次兄義勝だ。兄弟は他にもう一人弟がいるが産まれたばかりなのでこの場には居なかった。


「武丸、来たか!、其方を元服させることにした。それに伴い、領地をやる。そこの二人(昌祐、昌豊)と共に管理してみせよ。後、その方の家臣への禄は後一年は出すがそれ以降は自分で支払え」


父の唐突な発表に何も言えなくなった。


「父上、武丸には厳し過ぎませんか?傅役がいないのですよ?私達の時は傅役がいたお陰で難なく出来ていましたが...」


長兄の義利は俺のことを心配してくれていた。

そう、俺には家臣が二人いるが、傅役はいないのだった。正確には戦で死んでしまったからだ。その後俺は寺に入れられたが、数日後に戻ってきたのだ。


「兄上は武丸に甘過ぎだって。二人も家臣がいるから大丈夫だろう。ダメならそれまでだしな。まぁ安心しな!その時は俺が領地を管理してやるからな!」


そう言ってるのは次兄の義勝だ。

正直言おう。こいつはどうしようもない脳筋馬鹿だ。領地管理も全て傅役に丸投げだったのはみんな知ってることだ。ただ、槍の腕前だけは父に劣らないらしい。


「なに、部屋で書物を読み漁り、寺に入れたら、和尚に坊主にするには勿体ない!とまで言わせ戻されたのだ。問題あるまい。それと、元服させると言ったが名は決めてある。義照だ!良いな!」

父はそう言うと上機嫌に部屋を出ていった。

何か良いことでもあったのだろうか...。


「義照、父上が領地について何も言っていなかったが、領地は百五十石だ。何かあれば私に言え。手伝うからな」


「義利兄上、父上の急に事を決めること止めさせることって出来ないですかね?」

俺はそう言うと義利は首を横に振る。


「無理だろうな。まぁ、父上の良いところでもあるだろう。……多分」


「………多分ですか………。兄上のように落ち着いて下さる方が良いんですが………」


俺がそう言うと義利も苦笑いをするしかなかった。

「まぁ、父上は信濃の中でも多くの領地を取ったのだからその手腕と決断力は本物だろう。とりあえず、領地を見てきたらどうだ?」

兄は話を変えてきた。口で勝てないと分かるとよく話をそらしているのだった。

「分かりました。まずは部屋に戻って色々準備します」


兄は頷くと行ってしまった。

どうしようもない馬鹿は既に部屋にはいない。大方鍛練にでも行ったのだろう。


「昌佑、昌豊、部屋に戻って準備をするか………」


「ははぁ!」


「若、義清様は土地をどこに用意されたのでしょうか?義利様は百五十石と申されましたが、場所は言われませんでした」


「あ、………」

昌豊に言われて気が付いたが、場所がどこか聞いていなかったのだった。

直ぐに昌佑に聞いてきて貰うことにした。

俺は昌豊と共に部屋に戻り領地を見に行く用意をするのだった。


そう、俺の転生先は信濃の大名であの武田信玄に二度の大敗を味わわせた村上義清の三男義照だった。



5話か10話くらいまでは毎日投稿しますがそれ以降はゆっくり投稿します。


どうぞよろしくお願い致します

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