少女の頑張り
ふぅ。漸くです。
漸く水魔法を安定して使い熟せるようになり、先生方から草木魔法を習う許可が下りました。
長かったですね。夏のプールを使って練習を始めてから、秋を過ぎてもう12月です。魔力検査まであと3カ月。周りの皆はもう諦めたらと言いますが、ここまで頑張って諦める事は出来ません。
気合を入れて頑張りましょう。
言霊は便利です。水魔法の時もそうでしたが、習い始めたばかりなのにあっさりと草木魔法を使えてしまいました。
「ロミルダが毎日温室の手伝いをして植物の扱いに慣れているからだよ」
エステル先生が褒めてくれました。ありがとうございます。これからもお手伝い頑張りますね。
そしてこれからが、一番大事なところです。言霊無しに自分の思った通りに魔法を使う、これが一番難しいんです。
ダメです。年が明けてもう2月です。魔力検査は来月に迫っています。はぁ、もう諦めた方がいいんでしょうか。
魔法訓練の時間、皆と離れて1人草木魔法の練習をします。1人で練習するのも辛いですが、先生が学校に行っているので仕方ないのです。
「やあ、今日も頑張ってるね」
地面を伝って魔力を送り植物の成長を早める練習をしているとゲオルグ様が声を掛けて来ました。
はい、頑張ってます。なかなか上手くは行きませんが。
「そうか、やっぱり時間が足りなかったかな。今使える魔法を用いて魔力検査で行う演技を考えた方が良いんじゃないか?」
な、ゲオルグ様までそんなことを言いますか。
私も若干心折れそうでしたが、気持ちを入れ替えました。まだ時間は有ります。もう少しやらせてください。
私がそう言うとゲオルグ様は満足そうにうんうんと頷いていました。強情なのは師匠譲りだとボソッと口にしてますけど、私の事を言ってます?
「それならもっと頑張れるように褒美でも用意しようか。魔力検査で上位入賞したら何か1つ欲しい物をプレゼントするよ」
え、本当ですか?
う~ん、でも1つかぁ。今欲しい物は2つ有るんですよね。1位になったら2つになりませんか?
いきなり2つおねだりするのはやり過ぎましたかね。ゲオルグ様も強欲なのは師匠譲りかと言ってますし。ちょっと調子に乗ってしまったかもしれません。それにしても師匠って誰の事でしょうか。
「絶対に手に入れられない物を言われても困るから、取り敢えず何が欲しいのかだけ聞いておこうかな」
あれ?
案外口に出してみて良かったのかもしれません。それならおねだりしておきましょう。
桃の苗木と薬草学の本が欲しいんです。もしどちらか片方というのなら苗木が欲しいです。
「薬草学の本なら共用の本があるでしょ。あれじゃダメなのかい?」
あの本は既に読み終わりました。大変参考になる面白い本でした。
でもあの本には薬草の育て方はそれほど詳しく載ってないんですよ。種蒔きの時期や植え替えの方法、水を上げるのに良い時間とか。そういった育て方が載っている本を読んでみたいんです。
私の言葉を受けてゲオルグ様も納得してくれた様子です。ゲオルグ様もあの本は読み終わってるはずですから、私の考えはすぐに理解してくれたのでしょう。流石ゲオルグ様です。
「ロミルダの希望はわかった。でも本は探さないといけないから確約は出来ない。その代りに桃の苗木は準備しておくよ。だから魔力検査に向けて頑張って」
ありがとうございます、ゲオルグ先生。男爵家の名を広めるために頑張ります。
強かなのは師匠譲りかと言ってゲオルグ様は笑って去って行きましたが、私って強かでしょうか。自分ではよく分からないので今度父と母に聞いてみましょう。
でも、やる気は出て来ましたよ。上位入賞を目指して頑張るぞ、えい、えい、おー。
3月の初日、ゲオルグ様に誘われて王都を訪れました。主目的は冒険者ギルドに行って魔力検査の会場を視察する為です。視察が終わったら、王都の図書館に行きます。図書館には農業学の本が有るみたいでそれを私に見せたいんだとゲオルグ様が言ってました。残念ながら本を借りて村まで持ち帰ることは出来ないと言うので、今日の夕方までに出来るだけ目を通したいと思います。
ギルドに入ると、ゲオルグ様の顔見知りだと言う受付のお姉さんに中を案内してもらいました。ゲオルグ様は頻繁に魔石を買ってくれるお得意様だから案内を引き受けてくれているんだとマリー先生がこっそり教えてくれました。冷蔵庫やら暖房器具やら村の各家庭に魔導具を配布して頂きましたから、沢山の魔石を購入した事でしょう。いつもありがとうございます、ゲオルグ先生。
ギルド内では、測定試験をする小部屋を確認し、技能試験を行う競技場の内部まで案内してもらいました。競技場は武闘大会で見ましたがあの時は観客席から見下ろすだけでしたね。
草木魔法を使うつもりの私としては屋外の競技場で行う技能試験は大歓迎です。しっかり固められてはいますが足元は土ですからね。これで私のやりたいことが出来そうです。ふふふ。1位は貰ったも同然です。
当日は係員の誘導もあるし、行列が出来るから迷う事は無いだろうとお姉さんが教えてくれました。はい。精一杯頑張ります。今日はありがとうございました。
さて、あとは心置きなく図書館に籠りましょう。さあゲオルグ先生もマリー先生も急いでください。
お昼?
それは帰る船の中で食べるので大丈夫です。さあさあ、行きましょう。




