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大賢者の弟  作者: 山宗士心
第1幕 大賢者の弟
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旧友が訪ねて

 長らく会っていなかった旧友が訪ねて来た。


 何でも僕から草木魔法を習いたいと言う人族がいるらしい。


 エルフ以外で草木魔法を修得できるとは思わないが、友の頼みだ。仕事の合間でなら対応しても良い。何なら今からでも良いぞ。


 ここには居ない、王都にいる?


 ああ、僕がキュステに居るか確認しに来たのか。その年になってお使いとは大変だ。


 僕はこの仕事が気に入ってるからね。伯爵領も増えたし、当分ここを離れる事はないよ。


 じゃあこれから王都に戻って、その人を連れてくるんだよね。馬車で往復すると大体半月くらいか。なるべく仕事を片付けておくよ。


 え、キュステには来ない?何で?


 東方伯に会いたくない、と。別にキュステに来たからって絶対領主と会うわけじゃないだろ。


 あー、アイツの孫なのか。ということは、あの “暴風”リリーの子供。そういえば君はリリーに付いて行ったんだったな。


 キュステは街の出入管理が厳しいからな。戦争に勝って国境が東に移動しても相変わらずだ。君が街にいる事も、すでにアイツの耳に入ってるだろう。


 しかし祖父に会いたくない、か。笑えるな。


 いや笑えるだろ。


 キュステの誕生祭が毎年阿鼻叫喚なのは覚えているだろ。君の息子達も泣き叫んでいたじゃないか。


 アイツはいくら子供が嫌がったって気付いてないんだ。孫に嫌われる事で、周りに自分がどう思われているか気付くべきさ。


 ああ、君の言う通り良い人だよ。外見を重視しない大人にとっては、ね。


 ふぅ、この話は止めよう。愚痴が止まらなくなりそうだ。


 で、どうするんだい。流石に王都まで出向く程、仕事は休めないよ。


 なるほど、別の町からの仕事依頼か。それが通れば10日くらいは町に滞在出来るだろう。


 しかしキュステの近隣は伯爵領内だ。どの町もしっかり管理されてる。町の出入りは隠せないよ。


 他の貴族領からの依頼だって?馬鹿言うなよ。僕の仕事内容は知ってるよね。


 食物関係を研究、品種改良して特産物を作ること。


 エルフが出来る仕事は色々あるけど、この街での僕の仕事はそれ。


 僕は一応東方伯に雇われてる研究者だからね。僕への依頼ってことは東方伯への依頼ってことだよ。


 自領で出来ないから東方伯様助けて下さいって、そんな依頼してくる貴族は居ない。何年も働いてるけど助言すら求められたことはないね。


 え、グリューンからの依頼?


 ブラウ川の上流にある町だっけ。あそこって戦後に領主変わったよね。今は誰だっけ。


 ああ、リリーの旦那か。男爵様になったんだったな。


 新米なので助けてくださいお義父さん、そんな感じか。


 あの“土葬”がよく承諾した。彼の誇りも自分の子供には勝てなかったんだね。


 わかった、グリューンからの依頼を待ってるよ。


 君はこれからどうするんだい?一泊して帰るなら、今晩飲みに行かないか。最近ヴルツェルから良い酒が入るようになったんだ。


 愚痴?


 いいよいいよ、聞いてあげよう。久し振りに会ったんだしね、僕も愚痴っていいよね。


 剣術の今後について?


 ははは、何を言ってるんだい。僕は剣を振れないよ。その話は酒場の主人とでもしておくれ。

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