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vs, SJK  作者: 凰太郎
vs, ボクらのファイナルバトル
36/41

vs, ボクらのファイナルバトル Round.4

挿絵(By みてみん)

『マ……マドカちゃん? コレって?』

 戸惑うモエルへ、ボクは朗々と告げる。

「だから『死ぬ気無い』って言ってんじゃん? 一人(ひとり)で無理なら二人(ふたり)! 二人(ふたり)で足りなきゃ三人(さんにん)! 個人個人が〝可能性〟を秘めてるなら、それが集まれば〝無限の可能性〟になる! それが〝友達〟のスゴさだ!」

『クサいですわね?』

『うむ、聞いてて恥ずかしいな……』

『っていうか、マドカがマトモな教示とかして大丈夫でしょうね? とてつもなく不吉なんだけど?』

 パモカから流れてくる揶揄(やゆ)

 そこ、ウルサイよ!

日向(ひなた)マドカ……アナタの作戦を実行するに当たり、今回は私が全体指揮を取る──それでいい?』

「よかよかダンス ♪ 」

『では、各機、フォーメーションへと移って』

『『『「了解(ラジャ)!」』』』

 クルロリからの指揮を受け、四色のフラモンが分散飛行!

 各機が取り付くべきは、底面四方に据えられた球体ユニット──(すなわ)ち〈光速推進力発生コンバータ〉だ!

「モエル! キミは中央のデッカイ球体(ヤツ)を!」

『……え? あ、うん!』

 フォーメーションは済んだ!

 ここから第二段階だ!

『各機、バーニアのエネルギー供給回路(バイパス)を〈光速推進力発生コンバータ〉へと外部接続(コネクト)して』

 指揮官(クルロリ)の指示に従い、各フラモンが腰部から動力パイプを引っ張り出した。

 そして、ウィンウィンと奇音を鳴く発光球体の一部パネルを開き、緊急差し込み(ぐち)を露出させる。

「こんな御都合的な接続口(せつぞくこう)、よく有ったなぁ?」

 ボクの素直な感嘆に、クルロリが補足説明を添えた。

『本来はエネルギー出力値低下の(さい)に、他ユニットから供給フォローしてもらう(ため)の応急処置用』

『此処に差し込めば、いいわけね?』

 ジュンの確認を『そう』と肯定。

『エネルギー流動方向(ベクトル)を逆転させ、この膨大なエネルギーをアナタ達のバーニア出力へと転化する。その大出力なら、落下質量を双殺可能』

『しかし、大丈夫だろうな? 光速エネルギーだぞ? (まん)(いち)、暴発されたらシャレにならんぞ』

胡蝶宮(こちょうみや)シノブ、その(ため)()が此処にいる。客観的観測から全体の数値データを逐一(ちくいち)算出把握し、各機の出力限界値まで的確に光速エネルギー供給値を調節する』

貴女(あなた)の技量、信頼して(よろ)しいのですね?』

『いい』

 クルロリに断言されると、何故だか不思議と自信が(あふ)れる。

 作戦実行前なのに、もう成功確定したみたいな安心感だ。

 みなぎってくる可能性に任せて、ボクは気合を叫んだ!

「よぉぉぉし、いくよ! みんな!」

『ええ!』『はいはい』『……フッ』

「死なば諸共ォォォーーーーッ!」

『『『不吉な号令するなぁぁぁーーーーッ!』』』

 怒気(どき)られた。

 ここぞとばかりに一斉に……。

 何だよぅ?

 士気アゲようとしただけじゃんかよぅ?

 ()くして、作戦実行!

 五機のフラモンが、スカートバーニアから白い大花を噴き咲かせる!

 その白く(まばゆ)くも長い尾は、まるでウェディングドレスの(ごと)く!

『ク……ウッ! 信じる……信じているもの……クルロリを……マドカを!』

『ま……まだ死ねませんわよ! (わたくし)の手料理で……ヒメカを笑顔にして差し上げなければいけませんの!』

『と……止まれ! (いな)、止めて……みせる! 猫カフェにも行けないまま終われるか!』

『マ……ドカちゃん……みん……な!』

「グ……ウッ! ナ……ナメンな! ボクの……ボクたち(・・・・)の青春は──」

 闇から振り下ろされる暴圧の拳を、宇宙の花嫁達が希望に押し返す!

「──いつだって全力全開(フルパワー)だぁぁぁぁぁーーーーッ!」

 そして────。







 五機のフラモンを(いしずえ)として、巨大宮殿は鎮座(ちんざ)した。

 規格外の重石(おもし)満身創痍(まんしんそうい)に背負い耐える鋼鉄乙女達は、神罰を下されながらも尊厳を守り抜いたかのように誇り高い。

 灰色の荒野へと降り立った四人のセーラー服少女達は、その亡骸(なきがら)を感無量に見つめる。

 あ、訂正。

 一名(シノブン)だけブルマ体操着だったっけ。

「……付き合ってくれて、ありがとね」

 宇宙光に輝く白銀(かお)を朽ちた巨体へ向けて、ボクは素直な感謝を(つぶや)き漏らした。

「それにしても、よく止まったわね」

 不意にジュンが、いつもの抑揚で事後感想。

 うん、きっとわざと(・・・)だ。

 沈んだ空気を打ち消すために。

「うむ、流石(さすが)の私も、正直生きた心地がしなかったが……」

 シノブンは()ちた巨影を眺め続けた。

 その武勇に哀悼(あいとう)を捧げるかのように……。

 如何(いか)にも〝戦士気質〟の彼女らしい。

「ま、クルロリ様がバックアップに付いていらしたから、()して心配はありませんでしたけど……」近場の岩へと腰掛け、ラムスは『おかずをクッキング』を読み始めた。「……もっともマドカ様の発案だけでしたら、絶対に乗りませんでしたけどね。地獄逝きの片道切符ですもの」

「どういう意味だーーッ! この性悪豊乳メイドーーッ!」

「さて?」

 ペロッと小舌を出して、小悪魔的にはぐらかす。

 このヤロー、帰ったら覚えてろよ?

 出されたおかず、全部食っちゃるからな!

 ヒメカに回す前に!

 と、巨大フラモンのハッチがプシュウと白い呼気を吐いた。

 開いたコックピットから飛び出して来たのは、Gカップのプリテンドフォーム!

「マドカちゃ~~ん!」

「うわっと?」

 勢い任せに抱き着かれ、そのまま押し倒される。

 ──ガンッ!

「ぎゃおす!」

 慣性を加味したタックルで、後頭部を打ったよ!

 灰色の岩盤に!

「いッッッたいな! モエル!」

「……生きてる……」

「うん?」

 抱擁に寄り添う頭が、か細く漏らした。

「……生きてるよぉ……わたしも……マドカちゃんも……みんなも……生きてる……生きてるよぉ……」

「だから、最初から言ってんじゃん! 死ぬつもりなんか無いって!」

「ふぇ……ふぇぇぇぇぇん! ふぇぇぇぇ…………」

 子供みたいに泣きじゃくる。

 ったく、仕方ないなぁ?

 ボクはあやすように撫でてあげた。

 彼女の気持ちが落ち着くまで……。

「えぐっ……えぐっ……マドカちゃん……」

「……何さ?」

「ふぐぅ……お(れい)に……好きなだけ()ませてあげるね?」

「絶対ヤダよ?」




「シクシク……感謝のつもりだったのに……」

「シクシク……丁重(ていちょう)に辞退します……」

「二人揃って泣き崩れるなーーッ! 鬱陶(うっとう)しいーーッ!」

 ジュンのツッコミ怒声!

 パモカハリセンが後頭部を叩き抜けた!

 うん、ボクの後頭部だけ……何故ッ?

 モエルはッ?

 モエルは御咎(おとが)め無しッ?

「ああ、やっと面倒な役目から解放されましたわ ♪ 」

 本家ツッコミ役の健在ぶりに、ラムスがホッとした様子で(つぶや)いた。

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