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vs, SJK  作者: 凰太郎
vs, ボクらのファイナルバトル
34/41

vs, ボクらのファイナルバトル Round.2

挿絵(By みてみん)

「では、何故〝日向(ひなた)マドカ〟へと固執していた?」

 クルロリが(さら)に問い詰める。

「それは、彼女が〝特別(・・)〟だからだ。私が生体改造を(ほどこ)したわけではない、見知らぬ(・・・・)ベガ(・・)〉だからだよ。おまけに、絶滅種族〈アートル〉だ! そんな稀少な〈ベムゲノム〉は、私とて入手できん!」

「その情報は承知している。日向(ひなた)マドカを生体改造したのは、(ほか)ならぬ()だから。我々が知りたいのは、その先」

「コレクターなら押さえておきたいだろう! 限定品(レアモデル)は!」

「誰が〝イルクジG ● ョック〟かぁぁぁーーッ!」

 間髪入れずに顔面への鉄拳をブチ込んだ!

 うん、右腕のみ部分鋼質化を発現したので、文字通り鉄拳(・・)だ!

 今度ばかりは(もだ)える間もなく、変態グレイは「きゅう」とオチる。

「このまま宇宙空間へ放り出してやろうか! コイツ!」

 ジュンに背後から羽交(はが)()めにされながら、ジタバタジタバタと憤慨(ふんがい)に荒れ狂い続けた!

「ちょ……マドカ! 落ち着きなさい! 一応、貴重な情報源なんだから!」

「情報を所持していなかったら、ただの〝ド変態ゲスグレイ〟だよ!」

「情報を持っていても、その通りですけれどね」と、他人(ひと)(ごと)で構えるラムス。

 と、(おもむろ)にクルロリが、ボクの正面へとやって来た。

 そして、ボクの顔と自分の(てのひら)を交互に眺める。

「な……何さ?」──ふにん──「ひゃあああぅ!」

 いきなり()まれた!

 ()むほど無い胸を!

「落ち着いた?」

 コクンと小首を(かし)げるクルロリ。

「落ち着くかッ!」

「おかしい? 過去の経験データに(もと)づくならば、この方法で興奮が(しず)まるという話だった」

「何処のどいつだ! んなガセネタ吹聴(ふいちょう)したのは!」

 無垢な瞳が、不可思議そうにボクを(ゆび)さす。

 ……あ、そっか。ボクか。

「事実、星河ジュンが興奮状態へと(おちい)った(さい)日向(ひなた)マドカはこうしていた。でも、効果が無い……おかしい?」

 ワキワキする手をジッと観察し、熟考に(ふけ)っていた。

 この()、やっぱ朴念仁(ぼくねんじん)

「どう? 自分がされた気分は? 少しは反省した?」

 勝ち誇ったかのような口調(くちょう)で、ジュンが(たしな)める。

「うん、こんな感じだった」

 ──ふにょん!

「ひゃあぁぁん!」

 よし! いい反応!

 やっぱ()むなら、ボクのAよりもジュンのFだよね。

「舌の根も乾かない内から、どういう了見だーーッ!」

「おぶぅ!」

 ビンタ炸裂!

「流す! 天の川に流す!」

「星河様、落ち着いて下さい! 一応、貴重な戦力(せんりょく)ですから!」

戦力(せんりょく)を所持していなかったら、ただの〝セクハラオヤジJK〟よ!」

 ラムスから羽交(はが)()めにされ、今度はジュンがジタバタジタバタ。

 朦朧(もうろう)とする意識の中でボクは至福(しふく)反芻(はんすう)

「うう……有り難やぁ、育乳大明神様ぁ」

「まだ言うか!」

 収集つかない(かしま)しさで(いろど)られた直後、機体がズンッと振動!

 一瞬(いっしゅん)感じる浮遊感──それは一息(ひといき)遅れで顕現(けんげん)した!

 ボク達の身体(からだ)が、床から浮いた!

 いや、ボク達だけではない!

 その場に在る固定されていない全ての物体が、宙に浮いていた!

 つまり、無重力の体現だ!

 反して、周囲の環境は轟音を上げて振動している!

 この異常事態に、ボク達は状況を察した。

 機体が……降下している!

「ななな何さ? コレ?」

「おそらく反重力制御システムが機能停止した。このままでは月の重力に引かれて落ちる」

 プカプカと(ただよ)いながら示唆(しさ)するクルロリ。

 うん、カワイイ。

 ってか、アレ?

 いま、トンデモ発言しなかった?

 逆襲のシャ ● 大佐みたいな事言わなかった?

「まさか……我々(われわれ)が強攻的に突入した事が原因で、システムが破損したのでは?」

 シノブンの指摘に、プカプカクルロリが見解を述べる。

(ある)いは考えられる可能性が、もうひとつ。タイミング的に、ジャイーヴァの意識が途絶えたと同時に機能停止に(おちい)った。そこから推測するに、この母艦のコントロールシステムは、彼の思念とダイレクトリンクしていたのかもしれない」

「あなたのせいかーーッ!」

「おぶぅーーッ!」

 渾身(こんしん)の逆恨みビンタが炸裂!

「確かに〝彼個人の支配王国(ハーレム)〟ならば、理に叶った防衛策(プロテクト)ですけれどね」と、他人事(ひとごと)のラムス。

「クッ……」歯噛みを零しつつ、シノブンは手近なコントロールパネルへと取り付く。「マズイな……制御不能だ! このままでは月面へと墜落するぞ!」

「早くジャイーヴァを目覚めさせないと!」

 ジュンの的確な指摘に、ボクは取るべき行動を起こす。

「そそそうだね! オイ、起きろ! 変態グレイ!」

 黒マントの胸鞍(むなぐら)(つか)んで激しく揺らした!

「う……う~ん……」

「オイッてば!」

長濱(ながはま) ● るねるねってるか~い……」

 幸せそう寝言で何を口走(くちばし)ってんだ? コイツ?

「起~き~ろぉぉぉ~~ッ!」

 (さら)に激しく揺らした。

「う~ん……あ……」おお、いよいよ目覚める(きざ)し──と、思いきや。「ハムうどん、一丁! へい、お待ち! 萌えーーッ!」

「何だーーッ! オマエはーーッ!」

 大外(おおそと)()りで投げ捨ててやった!

「きゅうぅぅ……」

 あ、しまった。

「ジャイーヴァの脳波がアルファ波からデルタ波へと推移。(さら)に深い意識消失へ(おちい)ったと思われる」

 クルロリの分析を受けるや(いな)や、今度はジュンがボクの胸鞍(むなぐら)をガクガクガクガク!

「何やってるのーーッ! あなたはーーッ!」

「だってだってだってコイツがぁ~~!」

 ツッコミどころ満載なんだもん──とは言えなかった。

 さすがに今回の鬼気迫る叱責(しっせき)は、そんな事を(うった)えられる雰囲気じゃない。

「どうすんの! このままじゃ、わたし達全員お陀仏(だぶつ)よ! この艦に搭乗している〈ベガ〉諸共(もろとも)!」

「星河ジュン、それは正しくない。日向(ひなた)マドカは〈全身鋼質化〉すれば、ある程度の衝撃でも生存が可能。彼女だけは生き残る可能性が高い」

「この薄情者ぉぉぉーーッ!」

「クマムシッ?」

 ハリセンビンタが横っ面へと炸裂!

 理不尽だ!

「クッ、やはりダメだ! どうしてもプロテクト突破できない! ジャイーヴァ殿の意識回復が必要だ!」

 操縦制御に悪戦苦闘するシノブンが、焦燥と悲観を(くち)にする。

『任せて! マドカちゃん!』

 パモカから聞こえる救いの声!

 モエルだ!

 キャノピーガラス越しに宇宙空間を見ると、この母艦に取り付く〈ジャイアントわたし〉の勇姿が!

『フルパワーで押し戻す!』

 パモカディスプレイに映し出されたコックピットで、凛とした表情のGカップが決意表明!

「できんのかッ? んな事ッ?」

『……分からないけど、やってみる!』

「ア ● シズの落下は始まっているのだぞ!」

『はぇ? ア ● シズ?』

「もう! 観てないの? 『逆襲の ● ャア』ぐらい!」

『う……うん』

「観とけよぅ? 『ガ ● ダム』シリーズの名作だぞ? あ、今度みんなで『ロボアニ鑑賞会』でもやる? オールナイトで?」

「どうでもいいわーーッ! この局面でーーッ!」

「アストナァァァーージッ!」

 ジュンからの後頭部ハリセン!

 しかも、質量設定高出力!

 勢いよく慣性に吹っ飛ぶボク!

 そして、無重力空間を溺死(できし)(ぜん)と浮遊した……チーン♪

 到底、絶体絶命な局面とは思えない(にぎ)やかさに、モエルは軽く「クス ♪ 」と微笑(びしょう)を含む。

『やっぱり大好き ♡  マドカちゃん ♡ 』

 どんなタイミングで(こく)ってんだ。

 このストーカー娘。

『……ねえ、マドカちゃん?』

「痛ててて……ふぇ? 何さ?」

『その女子会──』

「うん?」

『──行けたら行くね?』

 明るく向けた微笑(ほほえ)みが、通信シャットアウトでディスプレイから消えた。

 ってか、絶対来い!

 片っ端からヲタ趣味に洗脳してやるから!

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