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五人少女シリーズ

決戦!ソニックアド○ンチャー2 バトル!!【五人少女シリーズ】

作者: KP-おおふじさん


 衣玖は大好きなヘヴィメタルバンドのライブが終わり、ライブハウスから退出してホクホクした表情で大きく外の空気を吸い込んだ。


 彼女はとてもすがすがしい気分だ。日頃のストレスを全て爆音で流れ落とし、人間に限界が無いことを教えられるようなシャウト。衣玖にとっての心の洗濯である。


 時間は夕方になり、衣玖は穏やかな表情で世界を照らすオレンジの光を見上げようと顔を上げると、そこには紫の閃光が暗雲と共に世界を切り裂かんばかりに轟いているのが見えた。


 ーーーこれはまずいーーー。衣玖はすぐに原因にのみ当たりを付けた。しかし一体”理由”はなんなのだろう。ヘヴィメタライブに合わせた奇抜な衣装とメイクに包まれながら険しい表情を作った衣玖の左腰からヴヴヴとバイブレーションの音がした。ラインメッセージが届いたようで、画面には同居人の留音からの緊急事態を告げるメッセージが通知として表示されている。


『至急帰還セヨ。真凛 ト 西香 ガ バチバチ』


 真凛が怒るということは世界が爆発オチする可能性も生まれてくるという事。次の話で何事も無かったことになるとはいえ、そういう感じはあまり良くないと思う(私見)。


 至急の割にちゃんと変換してるだけの余裕があるのかなんて思わず、衣玖は自前のワームホール発生装置を起動し家に帰還した。



「ルー!はぁ、ハァッ、何があったの?!」


 衣玖は家のリビングにワームホールから侵入するなり、その近くにいた留音にそう話しかけた。空気を読んで息が切れた感じで話しかけると、留音も空気を読んで額から一滴の汗を垂らしながら「アレを見ろ」と大型テレビの方を顎で示した。


 そこにはピンと背中を伸ばし、両膝をまっすぐ揃え胸の前で力んでコントローラーを持つ真凛と、王女様向けの椅子に足を組んでゆったりと座る西香がコントローラーを握ってテレビ画面に向かっている。


 そして画面には……。


「ルー、教えて。どうしてあの二人はあんな風に……ソニアド2で真剣な表情を作ってるの?」


 衣玖は対テロ作戦本部で繰り広げられるような会話のテンションでそう尋ねる。


「よく見ろ衣玖。あれはただのソニアド2じゃない。2バトルの方だ。あたしにも喧嘩の詳しい理由はわからん」


 2バトル……ソニアド2に対戦モードを搭載したタイトルである。アド2にも元々搭載はされていたが、より盛り上がれるような調整をされて登場したのが本作なのだ。まさに今の状況のために作られたタイトルということである。


 選ばれたモードはソニックを中心としたハイスピードバトル。決められたコースを先に走りきったほうが勝ちというルールだ。


「ただ対戦をしているというわけじゃ……なさそうね」


 その異様な空気を感じ取る衣玖。留音はゆっくりとうなずいた。


「あぁ……二人の行動をよく見ろ、ひどいもんだ」


 衣玖が画面を見て息を飲む。そこには西香の操るソニックがチェックポイントでスピンダッシュの構えを取り続けていた。それも一定のリズムで。そして聞こえてくる断末魔『ソニックぅ~……』は真凛の操るエミーのものだ。エミーはもう、数え切れないほどそのチェックポイントで倒されていた。


 じりじりと進む見えない残りタイム。そしてこのステージは超ゲキムズの宇宙ステージ、ファイナルラッシュ。チェックポイントはまだ一つ目で最初のグラインドとジャンプくらいで辿り着けてしまう地点だ。


「衣玖……あいつらはもう既に二十時間……いや盛りすぎた、二十分ちょっとくらいずっとあの対戦を続けているんだ……」


「理由は!?どうして西香のバカは真凛をスピンダッシュ溜めのリスキルハメ技で倒し続けることになるの?!」


 ちなみにリスキルとはリスポーンキルの略。即ち「生き返った瞬間に復活ポイントに攻撃し続けて相手を倒し続ける」という行為である。これを戦略的に使うゲームもあれど、エンジョイで遊ぶ分には控えるべき行動だ。


「最初はただ和やかに私が遊んでいた……久しぶりにPSストアで見たソニアド2が懐かしいって私が買って……ちょうどクリアして対戦モードがオープンしてることに気づいて、久しぶりに真凛を誘ったんだ。そして私はシャドウを、真凛はエミーを選んだ。いい勝負で楽しかったさ……」


「え、エミーをっ?!場が荒れる原因になりやすいエミーを、どうしてっ……?!」


「可愛いからです……っ」


 肩に力を入れている真凛がボソりと教えてくれた。「あ、そう」と衣玖。


「だがそこに西香が現れた……最初は良かったんだ、『あら懐かしいですわね』なんて言って観戦してて」


「でも、そこで何かが起きた?」


「そうだ。西香のバカがこう言った。『エミーなんてクソザコキャラで主人公に勝てるわけないじゃありませんのww』ってな……」


 衣玖は過呼吸気味に再び息を呑む。「そんな?!」


「そう……そしてバチバチになった。西香が私のコントローラーをひったくるとソニックで戦いを挑んだんだ……そして……エミーはマジでチートすぎた」


 説明しよう。エミーはソニックやシャドウより足が遅く、スピンダッシュも出来ない。だがしかし、リング取得数が少ない状態でも強力な必殺技が使用可能なのである。例えばタイムストップ系の必殺技で比較すれば、ソニックやシャドウは相手キャラの時間を止める類のストップ能力なのに対し、エミーの場合は違う。あくまで「プレイヤーの操作を受け付けなくなるだけ」のタイムストップなのだ。つまりキャラクターは空間に固定されない。例えばグラインド最中にソニックが時間を止めた場合、時間経過後に同じ地点からスタートする。だがエミーの場合はストップ中にも関わらずキャラクターはグラインドを続けるのだ。だがプレイヤーの操作を受け付けないということは即ちジャンプ不可能、落下死を意味する。特にファイナルラッシュのようなグラインドを多用するステージに置いてこの能力は強力極まりないのだ。


 衣玖はその事を察し、なんて壮絶な戦いが繰り広げられているのだと戦慄する。


「じゃあ西香がチェックポイントで無限に真凛のエミーを倒し続けているのは……」


「そうだ。練習に遊んだシティエスケープはもちろん、ここでも途中までは真凛が勝っていたんだ、エミーの必殺技って超やらしいから……それを悟った西香は単純に勝つことを諦めた。そして必殺技を使わせないまま対戦をお流れにし、この不毛な戦いに真凛が飽きるのを待っているんだ」


 そう、西香は自分が勝つか勝負を流れさせて自分が負けたことにしたくないタイプのウザいヤツなのだ。


「西香……いつもの事とは言えなんてヤツ……!」


 ギリリと奥歯を噛みしめる衣玖に対して西香は組んだ足を入れ替え、あくびをしながら言う。


「あーだるいですわ。これってGC版の時ボタン長押しでずっとスピン出来ませんでしたっけ?ふぁー」


 そして対戦はついに一時間を超える。二人とも無言で対戦に挑み、衣玖も留音もだいぶ飽きてきてソファーに座りながらスマホでもいじってる。


 だがそれも長く続けば真凛もステージに慣れ、二つ目のチェックポイントまでノーデスで辿り着けるまでになっていた。


「ハッ!(すごく息を呑む音)真凛がついに死のくるりんチェックを抜けた!西香はまだ最初のグラインドで落ちまくってるわ!」


「だがそれでは……!」


 そう、死ぬと最新のチェックポイントから始まる。チェックポイントは共通で、片方が一つ目のチェックポイントを越えられないまま、もう片方が二つ目のチェックポイントに到達しようと、次にどちらかのプレイヤーが死んだ時に復活するポイントは進行度に関わらず強制的にどちらのプレイヤーであっても二つ目のチェックポイントとなるのだ。


「ふふっ、ありがとう真凛さん。わたくしを二つ目のチェックポイントに運んでくれて!あっこのグラインドめちゃムズでもう嫌気が指していたところですわ!!」


 クリアしてても対戦で遊ぶと難しかったりする。特にこのステージは情報量が多く、欲張ると死に続けるステージだ。


「卑怯だぞ西香!自分の力で突破しろー!」


「うるさいですわよ外野!勝てばよかろうなのですわ!っていうかここも難しすぎません?」


 西香は何度か同じチェックポイントからスタートし、おとなしくグラインドを渡り行こうとした所だった。


「織り込み済みですよ西香さん……今ですっ!エミーフラッシュからのグラインド落とし!!」


 ちょうどリングを溜めた真凛が必殺技を使用する。だが衣玖は目を見開き自分のスマホをどこかにぶん投げてぐしゃぐしゃにしながら言った。


「だめよ真凛!そこでその技を使っては!!」


 真凛のエミーフラッシュが炸裂し、時間の止まる西香のソニック。だがグラインドレールに乗ったソニックの動きは止まらず、しかもそのグラインドは非常に長いため落下死すること無く次のプラットフォームへとソニックを運んだだけだった。


「おほー!おバカですわね真凛さん!だからエミーはクソザコですのよ!おとなしくシャドウを選んでいればせめて時間稼ぎにはなったものを!」


 その通り。エミーの必殺技は確かに強力ではあるが、使い所を誤るとこのようにほとんど意味をなさない場合もある。確実に数秒、擬似的なポーズ画面を作り出すソニック&シャドウのタイムストップ系の劣化になってしまう可能性もあるのだ。


「っく……教えてルー、真凛はシャドウを使っておくべきだったの……?」


 留音もスマホを握りつぶしながらその会話に応じた。


「いや……シャドウではカオスコントロールを使うまでの必要リング数が多いからな……今の失敗を織り込んだとしても、リングを四十枚以上集めきる前に死んでしまうことばっかりな真凛にはエミーが最善のはずだ……」


 真凛の肩肘張った力の入っているプレイングを後ろから固唾を呑んで見守る二人の額にはツツと汗が流れている。


「痛いわね……エミーフラッシュ中に真凛が死んだせいで順位が逆転してるわ。それに西香、超チキンプレイで新しいチェックポイントに到達してしまった……」


 実はグラインドレールにしっかり乗り継いでいれば意外と難しくないステージだったりするのだが、西香はドヤ顔で真凛に向かって「あら?真凛さん、よろしければ自死なさったら?ここのチェックポイントから復活出来ますわよ?」と言うとチェックポイントの中心に立つ。その時点で後ろの二人にはこの後の展開が見える。


「くそっ、見ろ衣玖。西香のヤツやっぱりスピンダッシュの構えを始めた……真凛が落下死して復活するのを待ってるんだ……これじゃまた真凛がリスキルされてイライラしていっちまう……!」


 真凛のイライラはいろいろと大変なのだ。その辺は説明すると野暮ったくなるので別の話参照のこと。(宣伝)


「ほらほらぁ!あっはぁ!真凛さん!!!いつでもいらっしゃいな!あなたが死んだ時はこのチェックポイントに来る時!そしたらわたくしが再びあなたに死の輪舞曲を聞かせてあげますわ!!」


 立ち尽くす真凛。「もう手はないのか……?!」留音は苦々しくそう言うと、真凛は丁寧にステージ攻略を始める。グラインドを一つ一つ飛び抜け、死なないように西香の支配するチェックポイントのあるプラットフォームまで到達した。無駄にジャンプをしないよう心がけると割とサクっと進めてしまうのだ。


「ほう……真凛さん、チェックポイントが更新される度にすぐに死んで楽をするようなクズなプレイをしないことは褒めてあげましょう」


 西香がクククと真凛を見下ろす様に言った。「それお前がしてたやつな」留音が正論を言っている。


「でも真凛さん、だからなんだと言うのです?わたくしのソニックの包囲網は完璧の完璧インザ完璧。わたくしを飛び越えていきますか?ふふ、このさきのグラインドに乗った瞬間、わたくしのソニックの瞬足ホーミングアタックは鈍足エミーじゃ振り切れません。一瞬であなたを葬り去ることになりますわ。真凛さん……受け入れなさい。チェックポイントのリスキルがある限り……チェックポイントを一度も使わないでゴールまで行ける猛者にでもならない限りあなたは一生わたくしには勝てませんのよ!!」


 真凛は悔しさに奥歯を噛み締めた。そんなの無理に決まっている。上方向に伸びるグラインドレールにスピンダッシュで触らなきゃいけないギミックにいつも大苦戦する真凛には不可能に近い話だった。


「……ソニックとシャドウのスピンダッシュの溜めによるリスキルは強すぎるんだ。攻撃判定が常に発生し続ける上にノーリスク。ただ溜めが切れる瞬間に一瞬の隙はあるが、溜めの再開はそれこそ一瞬だ。そこに差し込むには相当の運の良さが必要になる」


 留音は腕を組み、プラットフォーム状を右往左往する真凛のエミーの動向を見守る。それは衣玖も同じだ。


「真凛……どう攻めるのっ?」


 やがてエミーの動きは止まり、真凛がコントローラーを置いて両手を胸の前で組んだ。


「あら、降参かしら?真凛さん」


 鼻で笑う西香。だが真凛は願うようにこう呟いた。


「……エミー……わたしのエミー……どうか届いて……」


 そしてコントローラーを手に取る。その、正直こんなテンションでもなければ正気の沙汰とは思えない笑っちゃうような行動に後ろの二人が眉を寄せ戸惑う。


「な、なんだ……真凛が画面に向かって呟きだして……」


 そしてコントローラーに力を込める真凛。


「あなたのソニックを好きな気持ち、きっとソニックに伝わってる。だって生き返る度にあんなに耳元で鬱陶しいくらい『ソニックぅ』って言って倒されてるんだもの……だからエミー、あなたならソニックの激ウザいスピンダッシュを……止めることが出来るはず!!」


 そうして真凛はエミーをゆっくりと回転中のソニックに歩かせ始めたのだ。無茶ぶりにも程がある。


「あーっはっは!お馬鹿な真凛さん!そこまで頭がお花畑だとこっちもなんだかちょっと遠慮したほうがいいのかなって気分になりますわ!!」


「意外と律儀な事言ってるわよ」


「でもね!世の中そんなに甘くないの!わたくしはね……!この戦いに負ける訳にはいかないの!特に理由は思い浮かばないですけどねぇ!!っていうかなんで始めったんですっけこの戦い」


 もはや真凛に外野の声は届いていない。


「エミー……もう終わらせましょう。大丈夫、あなたなら出来る……!」


 そして真凛のエミーがソニックに触れ……!その展開によるあまりの恐怖から留音は尻もちをついた。


「う、うわぁぁ!また始まっちまう!死の輪舞曲が!!」


 衣玖も目と耳をしっかりと閉じ、無意識に留音に寄り添うようにしながら叫ぶ。


「やめて西香!もう『ソニックぅ……』は聞きたくない!」


 だがそこで起こったのは全く別の光景だった。


「……な、なぜですの……?!そんなっ!わたくしのソニック!!」


 西香が戸惑うのは無理もない。そしてその戸惑いは室内の全員に共有されている。真凛ですら「えっ?嘘でしょ?」みたいな顔をした。


「一体何が起こってるんだ……衣玖?!この現象は!?」


 慌てて立ち上がった留音は天才である衣玖に知識の提供を求めるが、衣玖もその光景に困惑している以上、知識の引き出しを開けるよりも先に状況を一つずつ理解する事から順を追うのみである。


「こんな事って……どうして……”どうしてエミーは溜め中のソニックに触れて倒されないの”!?」


 まるで海を真っ二つに割るような奇跡が目の前で起こったのだ。回転中のソニックに触れてもエミーは倒されず、弾き飛ばされもしなかった。


「一体これは……わたくしの知らない必殺技が発動しているのですか!?」


 そうでなければ説明がつかない。棒立ちのエミーと、スピンダッシュの溜めをするソニックが触れ合って何も起こらないのだから。だがこの対戦モードに無敵を意図的に発動させる手段はない。


「エミー!!いっけーーー!!」


 なんだか知らないけどまぁいいや、と頭の中で思いつつも叫ぶ真凛に呼応するかのようにエミーは二、三歩ちょっと歩いてソニックにちょっと触れ続けた。少しだけ慣性の乗ったような動き方が滑稽だったがそこでちょうどソニックの溜めが終わり、一瞬の間が開く。溜め時間を熟知していた西香がそれに合わせて指を離し、再び溜めを再開しようとするが、そこでついに真凛が場をひっくり返す!


「ば、馬鹿な!?」


 留音は大仰な”神は一体どうしてこんな事を!?”というセリフが合いそうなジェスチャーと一緒にそう言い、衣玖は冷静にその状況を言葉にする。


「倒された……!西香のソニックが!逆に!!!」


 そう、エミーはただ歩いただけでソニックの一瞬の隙を持って返り討ちにしたのだ。何も攻撃モーションは取っていない。ただただエミーが歩いただけでそれが起きたのだ。そしてエミーはそのチェックポイントの、先程まで西香のソニックが溜め続けていたポイントに居座った。そこから復活するソニックだが、何もしていないはずのエミーに触れるだけで倒されてしまう。エミーにはスピンダッシュ行動が存在しないにも関わらず、エミー側からのリスキルが発生していた。


「そんな……これはどういうことですの!?どうして何もしていないエミーに、わたくしのソニックが倒されるのです!?」


 西香の言葉に衣玖は再びの再びの再びくらい目に息を呑んだ。そして深刻そうに俯くと何かを思い出そうと口元に手をおいて、こんな話をし始めた。


「そう言えば……昔聞いたことがあるわ。エミーには目に見えたスピンダッシュの行動は存在してない。でもそれは2バトルの話。無印アド2の時のエミーはソニックとほぼ同性能でスピンダッシュがあったらしいし、……その名残でボタン長押しで攻撃判定だけが発生しているのかもしれない……とか……」


 つまり、多分バグなのだ。


「そ、それじゃあ衣玖、まさか今のエミーは……」


「えぇ、そのまさかよ……真凛がボタンを定期的に押すだけで、歩ける上に無敵と化している」


 その事実に西香はキー!とコントローラーを握る手を強めた。


「そんなバグみたいな技、わたくしは信じられませんわ!ええい!真凛さん!あとでマドレーヌを買ってあげるから一回だけちょっとそこ離れて!」


「わかりました」


 モノで釣られ動くチョロすぎる真凛に西香のソニックは復活し、少し距離を取ってリスキル地獄を脱した。


「隙を見せたわね真凛さん!喰らえ、ソニックのホーミングアタック!!ッハァ!!」


 だが無残にも、全く何もしていないエミーの体にソニックのスピンは弾かれ、宇宙の彼方へとその身は焼かれ消え去っていく。そして復活するのはそう、既にエミーが陣取ったチェックポイントである。


「そんな……クソザコと思っていたエミーがまさかそんなハメ技を持っていたなんて……しかもどうやらバグっぽい技だなんてそんな……そんなの!わたくしが大好きなキャラになっちゃうじゃありませんの!ちょっと使わせなさい真凛さん!」


 コントローラーごとひったくろうとする西香。


「エミーはわたしのですー!可愛い女の子キャラはわたしがつかうんですー!」


 真凛は渡すまいとコントローラーを遠ざけた。


「いいじゃないの!シャドウで!かっこいいじゃありませんかシャドウ!」


「かっこいいけど、わたしはエミーがいいのー!」


 そんな二人の後ろには、深刻そうに画面を見つめる二人がいた。


「衣玖……」


「えぇ、わかってるわルー。……あなた、GC版の時どうだったのか気になってるんでしょ?」


「あぁ。これが移植によって発生した不具合なのか、昔からあった現象なのかを調べなきゃって使命を感じてる」


「ふっ、流石よルー。私もそれを調べないと……どうやら今日は眠れそうに無いわ」


「でもさ……やっぱ対戦するならソニックVSシャドウだよな……」


「そうかしら。私はメタルもありだと思うけどね。ストイックな戦いになるから」


「いいぜ衣玖……今日はソニックづくしだ!!!」


「望むところよ!」


 マジ神ゲー。それを証明する四人の後ろで、あの子はただニコニコと仲良くゲームで遊ぶ光景を見ながら映画版ソニックのデザインの変更ニュースをスクロールするのだった。


作者はGC版を売ってしまったために手元に無く、実はエミーの謎仕様の真相がわからず、とても気になって眠いときしか眠れません。

どちら様かわかる方がいらっしゃいましたら是非とも教えていただきたいと思います。


でも子供の頃は狂ったように対戦をしまくっていました。本当に神ゲーでしたね。シティエスケープなどの音楽は今でも聞きます。

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[一言] こんばんは!ロクニです。 ぼくはソニック好きでソニアド2バトルも もっているのですが、そんなバグがあったとは! 時間があれば試してみます! それにしてもやはりソニックは神ですね!
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