よんじゅに
「また、来たのか。」
執務室でため息を吐く国王ライオネス。
宰相のフィンネルも宰相室から訪れており昼から行う予定の会議について話をしていた。
「昼からの会議前にと思ったのでしょう。」
国王の執務室へほぼ毎日のように訪れる者がいる。
四大公爵家と言われる家の縁の者だ。
四大公爵家の中で一番の新参者であるラーゼフォン公爵家は、政治部門を担いながら広大な農地の広がる豊かな地を納めファフナー王国の食料庫と呼ばれている。
一番古い家柄のボトムズ公爵家は、ファフナー王国の知恵袋と言われる魔法研究や学園の運営に尽力している。
歴史がラーゼフォン公爵家より古いオーガス公爵家は、ファフナー王国の真珠と呼ばれる一大観光保養地を担っている。王国での発言権の大きい家柄だ。しかし、どちらかと言えばハト派と言われる穏やかな思想を持つ種族が多く発言権は強いがあまり自己主張はしない事無かれ主義でもある。その辺りの性質を理解しているラーゼフォン公爵家は昔からオーガス公爵家の良きアドバイザーでもあったりする。
そして、もう一つ。古くから存在するアルドノア公爵家。
ラーゼフォン公爵家が誕生する前に先代宰相を務めていたのが前アルドノア公爵で、一族の大半が吸血鬼族と呼ばれる魔族である。
先代宰相であるフィンネルの父親が臣下に降りた際に宰相府へ誘ったのがアルドノア公爵だった。王弟だったフィンネルの父を次期宰相として育て上げた人だ。
そんな公爵は10年以上前に何者かによって夫妻共々殺された。魔族内でも最強を誇る種族だ。その最高位でもあった公爵夫妻を殺すことが出来る犯人の割出は簡単なようで困難を極めた。また、夫妻の唯一の子息が時を同じくして行方不明となったことも事件を大きくした。
アルドノア公爵一族は次代を公爵の弟であるドルベック侯爵にするように国へ申請していたが、国としては、公爵子息の魔力が今なお尽きずに存在していることから行方不明から40年を目安に審議を行うと言う国の方針を伝えていた。
『だいたい、兄の息子が生きているのが分かるのか』と詰め寄る侯爵に子息と交流の合ったライモン王太子に子息が行方不明になる前に魔力玉と呼ばれる魔石を渡していた事実を知らせた。魔力玉は魔力を込めた者の生命に反応する光玉で戦地に向かう家族が生死を知る手段として昔からファフナー国にあるものだった。
実際に侯爵も騎士であるため自分の魔力を込めた魔力玉を家族に渡しているはずだ。騎士になる者には義務づけられているファフナー王国の風習でもあった。




