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屋敷に転移したブランジェはそこが自分の部屋でないことに軽く舌打ちをした。母が見たら冷気の微笑みをくれただろう。

「お、お嬢様!」

驚いたのは公爵家に仕える者達だ。

「ただいまです。眠たいのだけど…。」

直ぐ様伝令が屋敷内を駆け巡った。

知らせを聞いた家令が駆けつけた時、ブランジェは侍女の一人にコートを預けているところだった。

『マリアすら置いて来られるとは…。』

玄関のエントランスに突如現れた公爵家の令嬢は30分ほど前に中央礼拝堂へと出掛けたはずだ。

「ジュゼ、ただいま。」

「礼拝はどうなさったのですか?」

努めて冷静な声で聞く。

「色々あって、眠れそうもないから帰ってきたの。」

家令は軽く眉間を押さえる。

「礼拝堂でのミサは寝るためにあるのではありませぬよ、お嬢様。」

家令の言葉に黙ったブランジェ。

「それでも、お嬢様がお部屋に転移出来なかったと言うことは、奥様の許しを得ていないと言うことでございますね?」

続けて言うジュゼッペの笑顔に頷くしか出来ないブランジェであった。


ラーゼフォン公爵家は、先代国王陛下の王弟が臣下に下った際に賜った爵位が始まりである。歴史は浅いが現当主は宰相の地位に就くほどの才覚と人望を持つ人柄で、夫人は社交界の花と言われる中心人物てある。

ブランジェは、5人兄弟の中で唯一の娘だ。両親から受け継いだ美貌を持つ愛らしさから、彼女の誕生に公爵家はお祭り騒ぎになるほどだった。

しかし、乳さえ飲まず、気付くと猫以上に寝ている娘に両親や家族は不安を覚えた。赤子とは言え寝過ぎじゃない?女の子ってこんなに寝るものなの?と考えるようになった。

家族や使用人達ですら、目を開けたブランジェを見たらラッキーなことが起こるとさえ揶揄されるほど一人娘は寝続けた。

ブランジェの寝過ぎな日常は、彼女が3歳になっても続いたため、両親は、医者に相談した。原因は分からず、魔法や魔力に詳しい機関にも娘を調べてもらうことになった。

そこで、ブランジェの睡眠の原因が『女神堕ち』と言われるものだと判明したのだった。

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