第3話 後輩と幼馴染②
それから1年、私はまたしても正午からの連絡を絶っていた。
もうそろそろあの時の傷も癒える頃だろうな。そう思っていた矢先のことだった。
正吾が消えたという報せを受けたのは。
3日も家に帰って来ない。連絡もつかない。
当初、正吾の母親は友達の家に泊まりに行ったと思っていたらしい。
だけどいつもであれば、連絡をくれる正吾がしてくれないと不安だった。
2日経っても連絡が来ない。さすがに心配になった母親は
迷惑とは分かっていながらも彼の大学へ行き、聞いて回ったそうだ。
そしたら、信じられないことが起こったようで、
なんと誰も正吾のことを知らないと言われたそうだ。
さらに追い打ちをかけるかのように高校までの友人にも母親は連絡を取ったが、
どの人も大学の人と同じように知らないの一点張りだった。
まるで最初から正吾はこの世界に存在していないようで、怖くなったらしい。
だから、母親は幼馴染の私に最後の希望をかけて、電話をくれた。
私自身、正直そんな夢みたいなこと信じられなかった。
だけどそれは真実だったようで、高校までの共通の知り合いに
電話をかけても誰一人として知らないと言われてしまった。
だから私は真実を確かめるべく、彼の大学へと向かった。
幸いにも、もう卒業に必要な単位は取り終わっていたので、
長期でこっちにいることが出来る。
そして今、私は彼の情報を聞くために大学の校門をくぐった。
(え、なにここ??)
私の目の前には信じられない光景が広がっていた。
目に映るのは一面の青と白。一瞬何なのか分からなかった白い物体。
だけど、それが何なのかはすぐに気づいてしまった。
そう、それは雲であり、今私のいるこの場所は空の上だったのだ。