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05:モンスターがあらわれた! コボルトでは勝てそうにない! そんでちょびっとカッコイイとこ見せちゃうオッサン

そいつが木の下闇から姿をあらわした。


熊、だ。


「ラズゥ…」


ゴールデンレトリバー氏が愕然とした様子で呟く。


ラズゥ。それがあの熊の名称なのだろう。


熊…ラズゥが姿をさらけだす。


それは、やっぱり異世界の生き物だった。


頭部と上半身こそ普通の熊だったけど、下半身が岩のように黒光りするモノで出来ているのだ。ちょうど、木彫りの熊のような。そうして背中には銀色に鈍く輝くタテガミがあった。


「御使い様、逃げてください。時間は我々が何としても稼ぎますゆえ。行くぞ!」


ゴールデンレトリバー氏が雄たけび、コボルト達がラズゥに突っ込んだ。


逃げろ、と言われた僕は。

でも、情けないことに足が竦んでしまって動けずにいた。


コボルト達が果敢にもラズゥに立ち向かっている。


ただ、攻撃はしてない。

あくまでも時間稼ぎで、逃げに徹している様子だ。


何時までも動かない僕に業を煮やしたのか、麿眉柴ちゃんが戻ってきた。


「御使い様」


僕の手を強く引っ張る。

それでようやくに僕は一歩を踏み出せた。


ベショリと股間が濡れていることに気がつく。


余りの恐怖に僕は失禁してしまっていた。


恥ずかしい? そんなことを思う余裕もない。


「ギャン!」


ボクサー・コボルトがラズゥの振り上げた爪に斬り裂かれた。


血が木の根の這う地面に広がって、臓物がぶちまかれる。


なんだ、これは…。


「なんなんだよ!」


僕は叫んだ。恐怖のあまり、叫んでしまった。


ラズゥと目が合う。


「鑑…定」


逃げるように、僕は呟いた。



--------------------


アンノウン

種族:ラズゥ

性別:♀

年齢:45


レベル:   34

HP : 1080

MP :  160


こうげき:800

ぼうぎょ:600


ちから  : 650

すばやさ : 150

きようさ :  50

かしこさ :  80

せいしん : 120

こううん :  60

かっこよさ: 500


スキル:死の乱舞


--------------------



こんなの。

勝てるのか?


コボルトに目が向く。

なかでも一番強そうなゴールデンレトリバー氏に自然と目がいった。



--------------------


オール 【職業:戦士長】

種族:コボルト

性別:♂

年齢:26


レベル:     18

HP : 90/120

MP :     20


こうげき:35

ぼうぎょ:25


ちから  :  30/ 50

すばやさ : 150/210

きようさ :  70/ 80

かしこさ : 100/120

せいしん : 140/150

こううん : 180/180

かっこよさ:  80/200


スキル:剣技 lv5

   :盾 lv3

   :小隊指揮 lv1


BAD:疲労(ステータスの値を減少

   :空腹(ステータスの値を減少


--------------------



これは……どうしようもない。


なんせラズゥの『ぼうぎょ』は600。ゴールデンレトリバー氏の『こうげき』35とはけたが違う。


ほかのコボルトは軒並みゴールデンレトリバー氏よりもレベルが下で、能力値も随分と見劣りしてる。

数で押すというのは通用しなさそうだ。


因みにチラリと見た麿眉柴ちゃんは、こんな感じだ。



--------------------


チッチ 【職業:戦士(仮)】

種族:コボルト

性別:♀

年齢:13


レベル:     6

HP : 30/50

MP :    30


こうげき:23

ぼうぎょ:15


ちから  :  20/ 25

すばやさ :  90/140

きようさ :  40/ 70

かしこさ :  60/ 80

せいしん :  60/100

こううん : 250/250

かっこよさ:  50/110


スキル:剣技 lv2

   :盾 lv1


BAD:疲労(ステータスの値を減少

   :空腹(ステータスの値を減少

   :恐怖(すばやさ・かしこさの値を減少


--------------------



よろよろと麿眉柴ちゃんに手を引かれるまま僕は後退さった。


ギャン! チワワ君が犠牲になる。

無造作にラズゥが振るった一撃で、まっぷたつに裂かれた。


血しぶきが、僕の頬にまで飛んでくる。


チワワ君は14歳だった。

先に殺られたボクサーは16歳。女の子だった。


まだ子供だ。


「スズカ…」


顔も知らない。思い出せない。誰かの名前が口をついて出る。


大切な存在。自分なんかよりも、よっぽど大切な。


そうだ! なにを怯えてる!


僕は立ち止まった。


「子供はさ…」


麿眉柴ちゃんがグイグイと引っ張るけど。


「大人が守らないと…」


その場で踏ん張って、僕は声を上げた。


「駄目だろうが!」


魔法! 僕には魔法が使えるはず!


そこに全てをかける。


イメージ! イメージする。


全ては想像力だと僕のなかの何かが教えてくれている。

だから、それに従って。

あの化け物…ラズゥが凍り付く『絵』を脳裏に描く。


針金のように固い毛を。


こおらせる。


鋼のように固い皮膚を。


凍結させる。


肉を。


こごえる。


血を。


てつかす。


心臓を……心臓から…熱を…命を抜く。


全ては練れた!


「フリーズ!」


瞬間。時間が止まったかのようにラズゥが身動きを止めて、真っ白に染まった。


いきなりのことに、コボルト達が距離をおいて見守る。


麿眉柴ちゃんのチッチが震えているのが掴まれた手から伝わってくる。


「ざまぁ、みろ」


勝利を確信しての呟きに、耳のいいコボルト達が一斉に僕を振り向く。


そして。


風が吹いた。


ピシリ! 静寂のなかを、枝がしなるような、皿にヒビ入るような音がした。

ピシリ、ピシリ、音が続く。

ピシリピシリピシリ。


ラズゥの白い巨体に蜘蛛の巣のような割れ目が走り、最後に。


ガチャン!


と盛大な音をさせてラズゥは粉々に砕け散った。


「よっしゃ!」


と僕は快哉を叫んだ積もりだった。


けれど、急激な眩暈めまいと脱力感に襲われた僕は、そのままバタンと前のめりに倒れてしまった。


≪レベルが上がりました!≫


そんなミカの声を聞きながら、僕は気を失った。

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