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露出狂の噂話

第1部

第1章


本日は晴天なり。という言葉が好きだ。


なぜかはわからないが、晴れであるだけで気分が晴れ

やかになれるのは人間皆同じなのではないかと思うのだ。


雨になれば憂鬱だし、曇りなら不安になる。古来より人の心は空に例えられるのはこれも影響しているのではないだろうか。ちなみに今日は

「暑いわ!!」

ムカつくくらいの快晴であった。


「なんなんだよ、本当」


晴れで気分が上がるという先程の理論を完全に崩壊させるレベルに不快指数MAXな彼は空に輝く太陽を睨みつけた。「俺晴れって嫌いなんだよな。焼けるし。」まるで女が言うセリフだ「まさか学校登校日初日に寝坊するなんてなーはっはっは」と笑った。全く笑える状況ではないはずなのだが。


「まぁ、しょうがないさ。まさか自分の寝相の悪さで目覚まし時計を叩き壊すなんて誰も予想できないだろ」


彼の寝相の悪さはもはや芸術作品レベルのポージングを作り出すことで(家族の中では)有名なのである。


妹氏によれば、『もはや起こすことを躊躇するレベル』らしい。


「ねぇ聞いた?露出狂が出たんですってよ」「まぁーやぁねぇ、物騒で…」マダムはこんな日差しの中でも元気に噂話をなさっているのか、見習わなければ。「がアッ!」頭部に激しい痛みが襲う。よそ見をして歩くものではない、彼は電柱に頭を激突させてしまったのだ。


「何してるのよ、高鳶君」彼の目の前には仁王立ちの女が手を腰に当て立っていた。


厳密に言えば高鳶は倒れ込んでいたので、パンツ丸見えの女をローアングルから見上げる形であった。さながら美少女フィギュアを覗き込むような気分である。うむ。レースが凝っててよろしい。


「コンニチハ、キリサキサン、ホンジツモ、ヨイオヒガラデ」


「あからさまに動揺しないでよ!私の方が恥ずかしいんだから!」


霧崎は顔を赤らめ、ぷぅと頬を膨らませ、しゃがみこんだ。


「それに!何でロボットみたいな話し方してるの!?」

変態!と高鳶の額を指で弾いた。通称『デコピン』である。しゃがみこんでも、足の隙間からパンツが見えていたことは言うまでもない。


パンツを見ながらデコピンなど、男からすれば完全にご褒美状態である。ありがとう神よ。


「ん」額を弾いた手で高鳶の手を引いた


「悪いな、ちょっとよそ見しててさ」「馬鹿ねぇ、でも私もたまにやるし、似た者同士ね、私達」


と彼女はバッグから袋を取り出し、バリッと破いた。中からクロワッサンを引っ張り出すと、ぱくりとかぶりついた。


「お前朝飯食べてなかったのか?」「ん?うん。お母さんが朝食作ってたら全部炭にしちゃってさ」ふふ、おいしいとピースサインを高鳶に突きつけた。


「それより聞いたか?露出狂が出たんだってな。お前気をつけろよ?」「うん?露出狂?」「さっきばぁさん達が話してたんだよ、露出狂が出たって」「ありゃ、それはちょっと情報が抜けてるかなぁ」


ただの露出狂じゃないんだよね、と霧崎は振り返った。「露出狂は露出狂でも、女の子の露出狂なんだってさ」


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